急性砒素中毒の症状

急性砒素中毒によりもたらされる症状としては、激しい嘔吐が生じます。また、まもなく下痢や腹痛といった症状も起こります。さらに、血圧低下が起こることもあります。こうした病状は、数日以上に渡って継続する傾向にあります。
神経的な症状としては、脱力感や知覚障害、さらに、けいれんや精神障害といった問題が起こることもあります。加えて、肌の紅斑や色素の沈着、顔面のむくみといったことが起きます。さらに重体化してくると、大幅な血圧の低下や急性の腎不全といった問題がもたらされます。服毒した砒素が、結晶化されたものである場合には、以上のような病状が遅れて生じることが多い傾向にあります。

急性砒素中毒の原因

急性砒素中毒が生じる原因としては、砒素を体内に取り込むことによる、組織への化学反応があります。砒素は、体の組織や酵素に対して結合を引き起こし、それらの機能を阻害します。砒素には有機のものと無機のものがあり、無機砒素のほうが毒性が強く出る傾向が強いです。また、無機砒素の中でも、三価である亜砒酸の場合には、毒性が強く現れます。
こうした砒素成分を含む薬剤は、害虫の駆除剤として用いられてきました。そのため、身の回りにある砒素を含む薬剤を誤って飲み込んだり、あるいは故意に服毒した場合に、急性砒素中毒の各種の病状が生じます。もし、これらの砒素による各種の中毒症状が認められる場合には、早期の解毒措置を必要とします。

急性砒素中毒の治療法

急性砒素中毒に対する予防方法としては、砒素を含む薬剤を服毒しないことが方法としてあります。害虫の駆除剤などは、厳密に管理して誤飲や故意の服毒を防ぐ対策が必要です。
それでも万が一、急性砒素中毒に陥った場合には、毒性を排出したり、毒性を中和させるための治療に取り掛かる必要があります。まずは、早急に患者の消化器官から、中毒の原因薬剤を吐き出させることが必要です。下剤や活性炭などを用いて、体外へと原因薬剤を排出します。また、キレート剤を用いることにより、体内に侵入した砒素成分の排出を促進させていきます。