毎年、立春を過ぎた頃からくしゃみ、鼻水、目のかゆみが止まらない花粉症の人は増加しており、低年齢化が進んでいます。

1年の始まりという期待を持つ春先が憂鬱となってしまいますが、その対策をしっかりとることにより症状の緩和も可能となります。

 

Doctors Meでは2020年花粉症対策特集として、花粉の飛散情報や花粉症の対策など、花粉症にまつわる様々な情報を、アレルギーを専門とする武井先生に解説していただきました。

 

 

花粉症の原因とメカニズム

 

花粉が目や鼻の粘膜内に入り、身体が花粉を異物だと認識すると花粉に対する抗体を生成します。抗体ができた後に再度花粉が体内に入ると抗体と反応し、ヒスタミンなどの化学物質が分泌され花粉を体外に排出しようと働きます。

この花粉を体外に排出するための作用が涙やくしゃみ、鼻水など花粉症の症状となって現れます。これが花粉症のメカニズムです。

 

過去に症状がない人も要注意

花粉症とこれまで診断されていない人でも、ある年から急に花粉症となってしまうこともあります。それは、花粉を吸い込む量がある程度の許容量(ゲージ)を超えてしまうと症状が急激に発生することがあるからです。

昨年まで症状を感じていない人も油断は禁物です。

 

アレルギー症状と花粉の関係は?

花粉症は気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患がある方では、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどのアレルギー症状が日常生活に支障がでるほど悪化する場合もあります。花粉症以外のアレルギー症状のある方は花粉が飛散する時期は特に注意が必要です。

 

 

スギ花粉・ヒノキ花粉はいつから飛んでいつまで続く?

スギ花粉は2月上旬から飛散が始まり、関東では5月中旬まで飛散します。3月からはヒノキ花粉の飛散も始まります。

 

2020年のスギ花粉飛散予想

予測されるスギの飛散時期は以下のとおりです。 *1

 

2020年のスギ花粉飛散予想

 

・東北地方

2月下旬から4月末まで(ピークは 3月上旬から下旬)

 

・関東地方

2月上旬から5月中旬まで(ピークは2月下旬から3月下旬 )

 

・関西地方

2月から4月中旬まで(ピークは3月上旬から中旬 )

 

・九州地方

2月上旬から4月上旬まで(ピークは 2月下旬から3月上旬 )

 

2020年のヒノキ花粉飛散予想

予測されるヒノキの飛散時期は以下のとおりです。 *1

 

2020年のヒノキ花粉飛散予想

 

・東北地方

3月下旬から5月上旬まで(ピークなし)

 

・関東地方

3月から5月中旬まで(ピークは4月上旬から下旬 )

 

・関西地方

3月上旬から4月下旬まで(ピークは4月上旬から中旬)

 

・九州地方

3月上旬から4月下旬まで(ピークは3月下旬から4月上旬 )

 

 

花粉飛散量の目安。今年は去年より多い?少ない?

今シーズンの花粉の飛散量予測について例年比と昨年比でまとめてみました。*1

 

2020年の花粉飛散量予測(例年比)

 

2020年の花粉飛散量予測(昨年比)

 

日本気象協会によると、2020年春の花粉飛散量は関東から九州にかけては例年より少ない予想となっています。

特に東海から九州にかけては2019年より非常に少ない地域が多くなる見込みです。

また中国地方や近畿地方でも非常に少ない所があると予想されています。

 

スギやヒノキ以外の花粉にも要注意

スギやヒノキ以外にも、花粉症を起こす植物にはハンノキ、シラカバ、イネ科、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどがあります。

それぞれの植物の花粉の飛散時期は以下のとおりです。*2

 主な花粉の飛散時期カレンダー

 

・ハンノキの花粉は関東地区では3月中旬から4月中旬まで

・シラカバの花粉は北海道地域で4月下旬から6月上旬まで

・イネ科の植物の花粉は関東では5月上旬から6月中旬まで

・ブタクサの花粉は8月下旬から9月末まで

・ヨモギの花粉は9月上旬から中旬まで

・カナムグラは9月から10月まで

 

 

自分でできる 花粉症の対策

花粉症の症状を緩和させるために重要なことは、花粉を体内に入れないことです。花粉は口と鼻から侵入していきます。マスクを適切に使用することが重要であり顔にあったサイズのマスク、ノーズクリップの形を鼻に合わせるなど、マスクの使用方法を検討してください。

 

 

飛散の多いときの外出を控える

花粉が飛びやすい日はインターネットで予測が出ていますので、花粉の多い日はなるべく外出を控えることも効果的な対策となります。

 

部屋や衣服に気をつける

花粉は室外で飛んでいますが、窓から入ってきたり、衣服に付着した花粉が室内で飛散します。窓を開けずに空気清浄機を使用したり、掃除機をかける前に床や畳を拭き花粉を巻き上げないようにすることが大切です。

花粉の付きやすい毛織物などのコートの使用等は避け、帰宅時は衣服や髪をよく払ってから入室しましょう。

 

食事も花粉症対策に

食事では、乳酸菌や食物繊維を多くとることで症状の緩和が期待できます。この理由としては、免疫反応の中でアレルギー反応を引き起こすヒスタミンの分泌は、腸内の細菌のバランスを安定させることによりある程度抑制できると考えられています。

乳酸菌の代表的な食品としてチーズ、ヨーグルト、味噌、キムチなどの発酵食品がおすすめです。

 

 

 

花粉症は医療機関でも治療を受けられる

花粉症のシーズンで重度の鼻水、くしゃみ、目のかゆみなどがあれば早めに医療機関を受診して、花粉症のアレルギー症状を抑えることが重要です。 以下のような場合は、医療機関を受診した方がよいと考えられます。

 

・他の病気の治療中

・症状はあるが花粉症なのかどうかはっきりしない

・黄色い鼻水が出ている

・吐き気や熱やだるさなど鼻や目以外の症状がある

・症状がひどくて長い

・市販薬で改善しない

・妊婦や授乳婦

・18歳未満

 

医療機関での治療方法

・初期療法

花粉が飛散し始める前や、花粉症の症状が出る前から服薬を始めることで、症状の発症を遅らせ、花粉のピーク中も症状が軽くて済みます。また、全体としては必要な薬の量を減らすこともできます。抗ヒスタミン剤や抗ロイコトリエン剤を使います。

 

・導入療法

花粉症の症状が強くなってしまってから治療を始める場合は、ステロイド剤を飲んだり点鼻することがあります。

 

・維持療法

初期療法や導入療法で、ある程度症状を抑えられた状態を保つための治療で、抗ヒスタミン剤やステロイドの点鼻薬を使います。

 

・免疫療法

花粉症の原因となっている抗原を少しずつ量を増やしながら体に入れて、体の反応を弱めていく方法です。

スギ花粉に対しては舌の下から薬を摂取する「舌下免疫療法」があり、3年程度で症状は改善傾向になるとされております。

 

・レーザー治療

鼻の粘膜をレーザーで焼き、アレルギーの反応を抑えて症状を緩和させる治療法です。

体質を改善するものではないため、2~3年に1回、再治療を受ける必要があります。

 

参考資料

*1 2020年 春の花粉飛散予測(日本気象協会 tenki.jp)

*2 花粉症環境保健マニュアル(環境省)