「日本脳炎」ってどんな病気? 予防接種は打ったほうがいいの?

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監修:Doctors Me 医師

日本脳炎」という病気を知っていますか?

幸い、現代の日本においては、あまり身近な病気ではありませんよね。しかし以前は名前の通り、小さな子どもやお年寄りにたくさん見られた、非常に恐ろしい病気なのです。

今回はこの日本脳炎の特徴や予防接種について、医師の話を伺いました。

日本脳炎ってどんな病気?

日本脳炎の原因


日本脳炎は、日本脳炎ウイルスに感染した蚊の一種である、コガタアカイエカに刺されることで感染する疾患です。日本では主に日本脳炎ウイルスに感染した豚などを刺して血を吸った蚊に、ヒトが刺されることで感染します。

ヒトからヒトへの感染はありません。

日本脳炎の症状


原因となる蚊に刺されてからのウイルスの潜伏期間は約6~16日間といわれています。

症状としては、いきなり高い熱が出たり、頭の痛み、嘔吐、痙攣といったものが出現し、意識障害を起こしたり身体の麻痺といった神経系の障害を起こします。

日本脳炎は不顕性感染(罹っても症状が出ない場合)が多いと言われています。

数値としては感染した人の0.1%~1%、つまり100人~1000人が感染して1人程度が日本脳炎を発症するといわれています。大多数は感染しても無症状で気が付かないと言われています。

発症は低い確率のようにも思いますが、一度発症してしまうと大変重症になり、2割から4割程度の人が死に至ります。また運よく死を免れてもそのうち半数以上の方に何らかの深刻な後遺症が残ると考えられています。

幼児や老人の場合では死に至る危険性が大きく、また小児の場合には特に重度の障害が残ることが多いと言われています。後遺症はパーキンソン病様症状や痙攣、麻痺、精神発達遅滞、精神障害などです。

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日本脳炎の治療法は?

このように日本脳炎はウイルスによる感染症であるため、発症してしまうと特効薬はなく、対症療法での治療ということになります。

先に述べた通り、日本でも子供や高齢者を中心として、例えば1960年代には1年に1000人もの患者が発生していたのですが、予防接種の普及により劇的に減少し、2013年には9人の発生にとどまっています。

しかし、いまだに完全にゼロではなく、政府の調査によると日本脳炎ウイルスを持った蚊は今でも毎年発生していて、日本国内でも日本脳炎に罹患してしまう可能性が十分あると考えられています。

日本では特に西日本での発症が多く確認されており、年間10例ほどの発症が確認されています。

また、世界的にも南アジアや東南アジアを中心として患者の発生が報告されており、年間3.5万人~5万人が発症していると言われています。現在でも1万人以上がこの日本脳炎で命を落としていると報告されています。

日本脳炎の予防接種は効果があるのか?

日本脳炎は感染原因が蚊ですので、自力で予防するのは難しい病気です。夏には蚊に刺されないような対策も推奨されていますが、やはり蚊への対策だけでは完全な予防が難しいです。

日本脳炎のワクチンは接種することで日本脳炎にかかるリスクを約75~95%減らすことができると言われています。日本脳炎に特効薬はありませんから、このワクチンが現在では唯一の防衛策となるでしょう。

ただし、日本脳炎ワクチンは不活化ワクチンです。不活化ワクチンはウイルスの感染力を失わせた(=不活化した)ものですので、自然感染や生ワクチンに比べて、これで身につけられる免疫力は低いと言われています。

そのため、1回の接種では不十分ですので、数回に分けたワクチン接種を受ける必要があります。

日本脳炎ワクチンは全部で4回受けることが決められていますので、この4回を全部受けた場合の効果が、上記の「リスクを75~95%減」にあたると考えられます。

日本脳炎のワクチン接種回数


日本脳炎のワクチン接種は全部で4回。3歳以降に接種を開始する場合が多いです。

1期は3歳以降に1回、2回(1回目接種後6~28日後)、3回(2回目接種の約1年後)を受けます。2期は9歳頃に1回受けます。

こうして少しづつ時期を開けて接種の回数を重ねることで、より強い免疫が獲得できますので、できるだけ決められた時期と回数を守って予防接種を受けましょう。

追加接種などは期間が開くので忘れやすくなっていますので気を付けましょう。他の予防接種との同時接種も可能です。

また、できるだけ蚊の発生する時期の前、つまり夏が来る前に予防接種を受けることが勧められています。

日本脳炎の予防接種の安全性は?

2004年(平成16年)に日本脳炎ワクチンで重篤な副作用が出たことがあります。

当時はマウス脳由来のワクチンが使われており、女子中学生が重篤な急性散在性脳脊髄炎(ADEM)を発症しました。(※ADEMについては後述します)

そのため、平成17年から21年度までの間、このワクチンに関して政府による積極的勧奨が行われなくなり、原則予防接種が中止されていた時期がありました。

現在ではマウス脳由来の旧日本脳炎ワクチンは使われておらず、安全な新しいタイプのワクチンが開発されました。

細胞培養によって作られたワクチン(ジェービックV、エンセバック皮下注用など)が使用されるようになっています。

ワクチンの副反応


もちろん、ワクチンを接種することで副作用が出る場合もありますが、その多くは発疹や発熱といった一時的なものです。新ワクチンは、旧ワクチンと比較して、副反応が少ないとも言われています。

多くの場合の副反応は
・注射を打ったところが赤くなる、腫れる
・発熱する
・鼻水、頭痛、せき

などです。これらは他の予防接種をしたときにも起こりうる副反応です。

ただ、ADEM(急性散在性脳脊髄炎)とよばれる神経系の病気が日本脳炎ワクチンで発生することも、きわめてまれではありますが、報告されています。

ADEM(アデム:急性散在性脳脊髄炎)


急性散在性脳脊髄炎(きゅうせいさんざいせいのうせきずいえん)とは、ワクチン接種後などに突発的に起こる病気です。神経系の病気である脳炎の一種です。

ワクチン接種後、数日~4週間以内に急性の頭痛、発熱、嘔吐などの症状が見られます。意識障害を伴うことも多いと言われています。

日本脳炎の予防接種は受けるべきか?

日本脳炎のワクチン接種に関しては、上述のような重篤な事例があったために不安視している人も少なくないでしょう。

しかし、日本脳炎の多くは不顕性感染といって、感染していても症状がでないのです。

これはつまり、本人も知らない間に蚊に刺されて自覚症状のないまま感染していたということです。もし発症していれば、重篤な症状が現れたかもしれません。

また、地球温暖化などの影響で、日本脳炎感染が増えるのではと不安視されていることもあります。

このように日本脳炎発症の確率を考えるとやはり予防接種を受けないことはより大きなリスクを伴います。ワクチンを受けるメリット、デメリットをよく考えて、医師と相談しながら予防接種を考えていきましょう。

日本脳炎の予防接種への理解を深めましょう

日本脳炎という病気の恐ろしさや、予防接種の必要性など、知っておくべき事柄をまとめました。

リスクも全くないわけではありませんのであとは個人の考えによるものだと思いますが、小さなお子さんの場合などは発症すると無事で済むかどうかわかりません。

後悔しないためにも親御さんなどは、予防接種のメリットやデメリットをしっかり把握したうえで、予防接種を受けるか受けないかを決めましょう。

(監修:Doctors Me 医師)
  • このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません
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