男性型脱毛症(AGA)は、前立腺がんのリスクが上がるって本当?

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Doctors Me 医師

男性ホルモンが多い人は、前立腺がんになりやすいと言われています。ということは、男性ホルモンが関与しているという男性型脱毛症(AGA)の人は、前立腺がんになりやすいともいえるのでしょうか?

今回は前立腺がんと男性型脱毛症(AGA)の関係について医師に伺いました。

そもそもAGAとは

AGAは男性ホルモン(テストステロン)が関与した生理的現象のひとつ。男性ホルモン(テストステロン)は前頭部や頭頂部の毛根部分で5α-還元酵素Ⅱ型という酵素の働きでテストステロンからジヒドロテストステロンというより活性の高いホルモンに置き換えられて男性ホルモンの受容体というものにくっつきます。そうするとトランスフォーミング増殖因子(transforming growth factor-β)というものが作られ前頭部・頭頂部の毛髪の成長が妨げられるのです。AGAは上記のメカニズムで20歳代後半から30歳代前半にかけて見られ、最初は毛が柔らかく細く、短くなって最後には脱毛してしまうものです。

AGAの主な治療法

男性ホルモン(テストステロン)から活性の高いジヒドロテストステロンに変換する5α-還元酵素の働きを抑える飲み薬と血流を改善させる塗り薬での治療がまず考慮されます。治療は副作用などの有害なことがない限り1年以上続けるべき、と推奨されています。ただし、下記のことについて注意をする必要があります。

<飲み薬の注意点>
・前立腺肥大や前立腺癌の健診に用いられる採血検査の腫瘍マーカーPSAの値が変化
そのため、内服中はPSAの測定値を2倍にして基準に当てはめること。
・内服中は前立腺の大きさが小さくなる傾向にある
そのため、前立腺肥大症のお薬としてほぼ同じ作用機序の薬が医療用医薬品として販売。ただし名称は異なります。ちなみに、前立腺肥大症の患者さんがこの前立腺肥大症薬を続けていると薄かった頭頂部の毛髪が生えてくるということも実際に見られていますしこのお薬を6ヶ月以上内服中の場合もPSAを2倍にして評価する必要があります。

前立腺がんとは

前立腺がんも約90%は男性ホルモンが関与しているとされ、日本人のがんで増加率が高くなってきています。それは健診でPSAが測れるようになったことや診断技術の向上、高齢者に多いがんなので高齢化社会も原因のひとつと考えられるでしょう。なんと85歳の男性では2~3人にひとりは前立腺がんがあると考えられています。亡くなるまで症状が無く、亡くなってから剖検をして初めて前立腺癌が見つかることもあるというくらいかなり高齢者では多い疾患なのです。また欧米人に多く日本人ではまだ少ないので食生活などの生活習慣も前立腺がんには関与していると考えられています。

AGAの薬を服用中の人は、ここに注意

多くの前立腺がん患者さんは年齢的に高齢で前立腺肥大も合併していることが多く、排尿障害を訴えることも多々あります。この前立腺肥大に対しては、先ほどの5α-還元酵素を抑えるお薬を用いられていることもありますが、この場合、PSAの測定値の正しい評価が必要になります。ゆえに、同様に男性型脱毛症のお薬を飲んでいてPSAとの関連性を知らずに検診を受け、正常値だったからと安心してはいけません。きちんと2倍にして評価する必要があるのです。

医師からのアドバイス

AGAと前立腺疾患(前立腺がんや前立腺肥大症)には男性ホルモンが関係している点では共通項があるのは事実です。しかし男性型脱毛症がある人に特別、前立腺がんが多いという危険因子としては今のところ挙げられていません。検診などを受けられるときには内服中のお薬をしっかり申告されて評価の誤りにつながらないようにすることが大切です。

(監修:Doctors Me 医師)
  • この記事は、医療・健康に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法、専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません
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