近年では女性の社会進出が目立っているため、仕事をしながら子どもが欲しい、というかたも多いかと思われます。
しかし、仕事と不妊治療を並行するのはまだまだ難しい社会なので、これから現代が抱える問題の1つと言えるでしょう。

そこで今回は「不妊症・不妊治療」のこと、そして仕事との両立など、働く女性に向けた疑問を、医師に聞いてみました。

不妊症・不妊治療の基礎知識

不妊症とは、通常の夫婦生活で妊娠が困難であるものをいい、妊娠するためには何らかの治療を要する状態をいいます。

どのくらいの期間妊娠が成立しないものを不妊症と呼ぶかについては、1~3年くらいまで開きがあるようですが、現在では1年間健康な男女が夫婦生活をもっても妊娠しない場合、不妊症と診断されることが多いようです。

また不妊症の方に見られることがある月経不順とは、規則正しく生理が来ない状態をいい、その種類としては以下のような症状が挙げられます。

・39日以上のサイクルでしか生理が来ない稀発月経
・24日以下のサイクルで頻繁に生理が来てしまう頻発月経
・生理が8日以上も続いてしまう過長月経
・生理が2日以内で終わってしまう過短月経

またストレスなどによって排卵が止まったり、排卵時期がバラバラになってしまうために生理が来る時期が一定しない、といったケースも見られます。

それから、不妊症のうち、女性側に原因があるものの30%を占めるといわれる排卵障害は、原因不明である場合も多く、不妊治療に伴う検査で初めて自覚する方も多いようです。
甲状腺の問題や肥満、多嚢胞性卵巣症候群、ストレスなどとの関連が取りざたされています。

仕事と不妊治療の両立は、なぜむずかしい?

不妊治療は特に、女性の生理周期に合わせての通院や注射などをすることも多く、例えば卵の育ち方や生理の日にちなどによっては、連日通院をする必要が出てきたりする場合があります。

また、次回以降の受診や治療の予定が前もって立ちにくいことも多く、仕事をしながらだと急な欠勤や早退の必要が何度も出てくる場合が多い、などが一般に仕事と不妊治療の両立が難しいといわれる理由だと思います。

不妊治療の前に…セックスレスの原因と対処方法

セックスレスの原因はカップルによってさまざまですが、仕事や子育て、ストレスなどによる精神的・肉体的な疲労や意欲の低下、スキンシップの減少、産後のセックスレスなどが考えられます。

対処方法も一概にいうのは難しいのですが、2人の問題ですので、率直に話し合って、問題を共有して対処していくというのが大切だと思います。

不妊治療の「人工授精」「体外受精」とは?

人工授精


精子を直接子宮内に注入して、妊娠の確率を高める治療法です。

体外受精


卵子をいったん体外に取り出して、身体の外で受精させ、その受精卵を培養した後で子宮内に戻す治療法を言います。

不妊治療を受けるタイミング、そしてこれからのこと

不妊治療を受けるタイミングは人それぞれです。
1つの目安として、若いカップルであっても通常の夫婦生活で1年以上妊娠しない場合、30代以降で初めて妊娠を目指すケースではできるだけ早く、診察や検査を含め受診されたほうが良いと考えられます。

仕事と不妊治療の両立はなかなか難しいことですが、悩んでおられる方の非常に多いテーマでもあります。

時間的制約のあるものですから、後悔のないようにパートナーとよく話し合ったうえでどういった治療をおこなうのか、あるいはおこなわないのかという決断をしていくことが大切ですね。

(監修:Doctors Me 医師)