しっかり寝ているのに日々の疲れが取れない…、そんな悩みをお抱えの方は多いのではないでしょうか。

実は疲れをしっかりと取るためにはいくつかのポイントがあり、そこを抑えていなければどんどん疲れが蓄積されていってしまいます。

いったいどのようにして疲れを取っていけばいいのでしょうか。

要チェック項目


□精神的疲労はストレスから、肉体的疲労は筋肉の凝りからくる
□疲れをとるには睡眠や食事、体の状態が重要
□ずっと疲れが取れないのは病気の兆候…?

疲れの原因

まずは疲れがたまるメカニズムから説明していきましょう。

精神的疲労


主にストレスからくる疲労です。ストレスは交感神経系の働きを活発にしてしまい、脳が休めなくなってしまい、疲労を感じてしまうようになります。

あるいは過労・睡眠不足なども脳が休む時間を十分に取れないので、疲労の原因となってしまうことも。

肉体的疲労


主に長時間労働からくる疲れです。パソコンで事務作業をしていると、ついつい長時間同じ姿勢になってしまうことってありますよね。そうなると全身の筋肉がこり固まり、疲労感として体に残ってしまうのです。

さらに仕事になると精神的な疲労も伴うので、疲れがより蓄積しがちになってしまいます。

ちなみにスポーツなどで全身の筋肉を動かしたときの疲労は、仕事の疲労に比べると解消されやすくなっています。全身の筋肉を使い、さらに体を動かしたときの爽快感も脳に好影響を与え、疲労が残りにくいのです。

このように疲労には精神的なものと肉体的なものがあります。さらに両方の原因が組み合わさって疲れにつながってしまうことがあるのも厄介ですね。いったいどのように対処していけばいいのでしょうか。

疲れをとるには睡眠が重要


まず疲れが取れない原因として、”睡眠の質が悪い”ということが挙げられます。

疲れをとるためには質のいい睡眠が最も効果的なのですが、生活リズムが不規則で体内時計がずれていると、質のいい睡眠の妨げになってしまうのです。

質のいい睡眠をとるには、メラトニンというホルモンが大きな役割を果たしています。

このメラトニンは、入眠後3時間ほどで分泌がピークになるのですが、その間は深い睡眠、いわゆるノンレム睡眠の状態に入ることができるのです。これこそが質のいい睡眠で、疲労回復には非常に重要な時間といえるでしょう。

しかし厄介なのは、このメラトニンが分泌されるメカニズム。メラトニンは朝に日の光を浴びてから15時間ほどで分泌が始まり、それから体眠くなるにつれて分泌量が増え、入眠から3時間でピークを迎えていきます。

つまり毎日朝に日の光を浴びていないと、メラトニンの分泌される時間がずれてしまい、ノンレム睡眠が十分にとれないのです。

そうならないためにも、体内時計のずれはしっかりとなおしておきたいところ。朝に日の光を浴びるのはもちろん、休日でも寝すぎないことが重要です。

できるだけ食事も同じ時間に取ることができればなお効果的。また睡眠前にストレッチをして、筋肉をほぐしていくと、血行が良くなってより睡眠中の疲労回復効果が高くなります。

食事バランスが悪いと疲れも取れにくい


また食事のバランスによっても、疲れが取れにくいということがあります。

ビタミンB群不足


身体のエネルギーとなるのは糖質や炭水化物ですが、それら体内に摂取しても、ビタミンB群がなければ効率よくエネルギーには変換されません。

なので、これが不足しているという人は、うまくエネルギーが生成できず、疲れが取れにくい傾向にあります。

ビタミンB群を多く含む食材としては。豚肉やレバー、豆類、魚介類、卵などが代表的ですね。また糖質や炭水化物の取り過ぎも相対的にビタミンB群不足となってしまうことがありますので、注意してください。

鉄分不足


鉄分は血液でヘモグロビンとして存在し、体中に酸素を運ぶ役割があります。なので鉄分が不足してしまうと、体が酸素不足に陥ってしまい、疲れやすい・疲れが取れにくい状態になってしまうのです。

鉄分はレバーやパセリ、ミソ、魚介類、卵黄、納豆などに多く含まれています。

ミネラル不足


ミネラルにも様々なものがありますが、特にカルシウム・マグネシウム・ナトリウム・リン・ヨウ素などが疲労回復に大きくかかわっています。

体内に摂取した食べ物の消化・吸収や、老廃物の排出など、代謝に関する様々な働きをサポートする働きがあるので、もしミネラルが不足してしまえばスムーズな代謝ができなくなり、疲れが取れにくくなってしまうのです。

水分不足


身体を構成するのもそうなのですが、血液やリンパだって主成分は水分です。

なのでもし水分が不足してしまえば、体に栄養が行き渡らない、老廃物がうまく輩出されないなどのことが起き、代謝機能が低下して疲れが取れにくくなってしまうのです。

常温の水をゆっくりと飲むと、効率よく吸収されていきます。

身体の状態は大丈夫か

また当然ながら体の影響で疲れが取れないということもあります。特に目が見えていないところで問題が起きているということもあるので、要チェックです。

運動不足


運動不足になってしまうと、全身の筋力が低下してしまいます。血液は心臓から送られるのですが、体中をスムーズにめぐっていくためには筋肉の働きが必須。

もし筋肉が衰えていると、全身の血行が悪くなり、そこから全身が酸素不足になってしまって代謝が悪くなってしまうのです。

肝臓が疲れている


体内に入ってきた食べ物は、胃や腸で消化・吸収され、そして肝臓で一旦貯蔵されます。そしてその栄養素を体内で利用できる形に変換して、体内へ送り出すのです。

例えば体内に摂取された炭水化物は、体内でブドウ糖に分解されます。そこから肝臓でグリコーゲンという物質に変換され、貯蔵されます。そして来るタイミングでまたブドウ糖に戻され、エネルギーとして使われていくのです。つまり肝臓は体内の工場のような存在ですね。

またアルコールなど体にとって有害になる成分を分解して、体外へと排出する解毒作用も持っている重要な器官です。

しかし肝臓が疲れてしまっていると、体へ栄養を送り出す機能や有害な物質を分解する機能が低下してしまい、エネルギー不足や体内に有害物質が溜まったままに。そうなると代謝異常から慢性的な疲労、倦怠感へとつながっていくのです。

肝臓は沈黙の臓器と呼ばれているように、その異常には気が付きにくい場所で素。実際に疲労で悩んでいる人でも、その原因が肝臓であると考えている人はまだまだ少ないでしょう。肝臓をいたわるためにも、食べすぎ・飲み過ぎ・睡眠不足などは避けていきたいところです。

目の疲れ


目の疲れも厄介ですね。目はもともと体の中でも、かなりのエネルギーを必要とする器官です。目の疲れから全身の疲労感・倦怠感・脱力感などにつながってしまうことだってあるほど。

特に近年はスマホの普及によって目を酷使している人が多いですから、これが原因で疲れが取れないという方も増えてきているかと思います。

なかなか日常生活からパソコンやスマホを切り離すことは難しいかと思います。なので長時間使用する場合は、1時間ごとに15分程度の休憩を挟むなどの工夫をしていきましょう。

それでも疲れが取れない場合は…

さてここまで様々な体の疲れが取れない原因を紹介してきました。

精神的疲労は周囲の環境も大きく関係しているので、すぐに改善というのはなかなか難しいかもしれませんが、肉体的疲労は筋肉のこりや緊張が原因なので、ある程度対策は可能です。

今回紹介した方法で、毎日の生活の中で取り入れていくべきものを、ご自身で考えて行ってください。

しかしこれらの方法でもなかなか改善しないという方は、もしかすると病気やその前触れなどの可能性もあります。

睡眠時無呼吸症候群


その名の通り、睡眠中に一時的に呼吸が止まってしまう症状です。寝ている間に十分な酸素を取り込むことができないので、いくら寝ても疲れが取れない、寝た気がしないという状態になります。

テレビなどのメディアでよく取り上げられるようにもなり、知名度自体は上がってきたものの、やはり自分で気が付くのは難しいので、心配なときは家族の方に一度聞いてみると良いでしょう。

糖尿病


糖尿病の症状としても、疲れが取れないということがあります。本来必要だったはずの糖まで排出されてしまうので、エネルギー不足になってしまうのですね。

貧血


貧血は血中のヘモグロビン濃度が低いために、全身の組織に必要な酸素を供給できてない状態のことを言います。貧血になると、少し運動しただけでも息切れを生じたり、疲れやすくなります。

などなど。今回紹介したのは一部ですが、いずれにしてもずっと疲れが取れないという状態が続いているのは何かの病気の兆候かもしれません。

どれだけ疲労解消の工夫をしていても全然疲れが取れないという時は、医療機関への相談をお勧めします。

たかが疲れといって侮ることなかれ

いかがだったでしょうか。普段の生活の中に疲れを抱えているという方は少なくないかと思いますが、その疲れが様々な悪影響を与えてしまうこともあります。

そうならないためにも、普段の生活の中に工夫を取り入れていきたいですね。

もし疲れが取れない状態がずっと続いているのなら、医療機関への相談もお忘れなく。

(監修:Doctors Me 医師)