皆さん、産後の「床上げ」という言葉をご存知ですか? おそらく妊娠・出産するまで知らない方も多いかもしれませんが、これから出産される方はもちろん、ぜひパートナーやご家族のみなさんにも知ってほしい大切なことです。
そこで今回は産後の床上げについて、医師に解説していただきました!

床上げって何?どれくらいの期間必要?

床上げとは、昔の生活環境から生まれた言葉です。出産が終わった母親は、子供が出産したと同時に育児だけでなく家事などで忙しくなるイメージがありますね。
しかし、この時にもっとも必要とされているのが床上げです。床上げは、産後徐々に育児をしながら家事に復帰していくことをいいます。

昔は、母親の体か回復するまでは、お布団を敷いたまま、いつでも休養できるようにしていました。その後、回復した時に、お布団を片つけると言う意味から、床上げという言葉が生まれたのです。

この床上げまでの期間は大体3週間と言われています。

産後の床上げが必要な理由は?

産後の体は出産した際に受けたダメージが大きく、
・出血
・切開部の痛み
・骨盤の緩みからくる腰痛や血流障害
・ホルモンバランスの乱れ

など、さまざまな変化が起きています。

そのため、身体的なダメージだけでなく、精神的なダメージも多いのです。しかし、育児や家事をしなければいけないといった責任感から、十分な休養がとれず、産後うつと言った病を引き起こすこともあるのです。

産後うつは、マタニティーブルーと呼ばれる多くのお母さんが経験する精神的に不安定な状態をいいます。このマタニティーブルーは産後2日目から現れ、10日後には軽減していくそうですが、先述してきたような母親への大きな負担が重なり、解決できないままでいると、深刻な鬱へと進行していってしまうのです。
このような身体的・精神的なダメージを少しでも軽減できるように、床上げを上手に行う事が大切になってくるのです。

産後は母子別室のほうがいい?

産後直後は母親の休養のため、母親と子供の同室をすぐに行わず、十分な母親に休養を取ってもらいながら少しずつ子供と接する機会を増やしていくのが、母子別室の病院の特徴です。
普通分娩の場合、何もなければ6日目をめどに退院しますが、家庭でも休養できる場所と時間を確保できるようにしましょう。赤ちゃんは1ヶ月検診の際に特に異常がないと言われたら外出を始めますが、ママもこの1ヶ月を目標に少しずつ慣らしていくと良いでしょう。

しかし、全く動いてはダメというわけではありません。体を回復させるためには、無理しない程度の活動も必要です。そのため、ご家族の協力のもと、少しずつ出来ることを行って行きましょう。

医師からのアドバイス

特に現代社会では、両親と一緒に住んでいる世帯が少ないため、里帰りする方も多くいます。しかし、里帰りができない場合や、近くに両親がいない、パートナーも仕事で忙しいとなると、どうしても母親のだけで行わなければならず、さらに負担が増える結果となります。 そのため、産後うつに女性が多く、問題にもなっています。

少しでも、母親の負担が増えないよう、そして十分な休養が取れる環境作りができるように多くの方の理解を求める事も大切です。何よりもパートナーには、床上げ期間の重要性を理解してもらうことがとても重要になってきます。

(監修:Doctors Me 医師)