お子さんが風邪を引いた際、痰が「ゴロゴロ」と長引くことがあります。

 

喉に痰が絡んで辛そうにしている症状を、親としてはなんとか緩和してあげたいですよね。

 

今回は、その疾患や対処法を、小児科の武井先生に詳しくお話を伺いました。

 

 

原因

ウイルス

 

子どもの痰は、大人と異なり、自分で出すことができないために、ゴロゴロと続くことがあります。またそこの部分に空気が流れる事により「ぜーぜー」という喘鳴の音が聞こえることがあります。

 

症状が続く場合には、以下の病気が考えられます。

 

RSウイルス感染症

夏から冬にかけて、2歳未満のお子さんを中心に細気管支炎・肺炎を引き起こす可能性があるウイルス性疾患です。発熱が数日続き、ぜーぜーした呼吸、肩や体など全身を使う呼吸になることがあります。

 

気管支喘息、喘息性気管支炎

寒暖差や気圧低下、何かの風邪のウイルス感染により、慢性的に気管支にある炎症が発作的に悪化したために、呼吸困難や喘鳴が特徴的であります。小さいお子さんでは、喘息性気管支炎と診断されることがあります。

 

クループ症候群

寒暖差や何かの風邪のウイルスにより、声を出す声帯の部分に炎症が起きて、犬が吠えるようなせき込み(ケンケンという様子)、悪化した場合には息を吸い込むときにゴロゴロという喘鳴が聞こえることがあります。

 

風邪

喘鳴などの苦しい様子がなければ、痰の絡む咳でゴロゴロいう多くは風邪のウイルス感染であります。風邪では、鼻水が喉へ流れ込んで、息の流れでゴロゴロという音がします。

 

 

子どもの痰と大人の痰の違い

子どもと大人

 

子ども 

子どもの痰は、成人と異なりどちらかというと、喉から流れた鼻水であることが多いため、透明白色であることが多いです。

 

大人

成人では、自分で痰を集めて出すことができるため、黄色から緑色であることが多く色調も濃いことが多いです。 

 

 

注意が必要な症状

小児科で診察される子ども

 

黄色であれば、何かの細菌感染による気管支炎の可能性があります。また、濃くどろっとした黄色・緑色の痰が出た場合には、副鼻腔炎の可能性があります。いずれの場合にもので、小児科あるいは耳鼻科を受診してください。

 

頻度は低いですが、赤色の痰が出た場合には、喉から気管支までに炎症にともなう出血が考えられますので、同様に小児科・耳鼻科を受診してください。

 

 

長引く原因

子どもの喉

 

子どもの痰は、成人とくらべてゴロゴロ・ゼロゼロが長引く傾向があります。この理由としては、赤ちゃんは大人とちがって自分では痰を出すことができないため、喉の奥にとどまってしまい、呼吸をするたびにゼロゼロと聞こえ、少し息苦しく聞こえます。 

 

 

治療法

子どもの鼻水の吸引

 

病院を受診した際に、口や鼻から鼻水と痰を吸引します。また、絡んだ痰を切りやすくする薬も処方されることが多いです。

 

これに合わせて、ぜーぜーやゼロゼロといった喘鳴がある場合には、気管を広げて炎症を抑える吸入を行うこともあります。こうした対応によりお子さんも楽になるものと思われます。

 

 

自宅でできる対処法

加湿器の前の子ども

 

自宅でできる子どもの痰の対処法としては、以下が挙げられます。

 

・背中をさする

・たたいてあげる(タッピング)

・部屋を加湿して水分を多く取り痰を柔らかくする

・寝たり起きたりという体位をこまめに変える

 

 

最後に武井先生から一言

 子どもに添い寝する母親

 

子どもも成人と同様で痰が絡むことは不快であり、眠れないなどの生活に支障がみられることがあります。

お子さんの症状を見ながら、痰が絡みにくい環境や対応を行い、改善がなければ医療機関を早めに受診し薬を処方してもらいましょう。

 

プロフィール

監修:医師 武井 智昭
慶応義塾大学医学部で小児科研修を修了したのち、 東京都・神奈川県内での地域中核病院・クリニックを経て、現在、高座渋谷つばさクリニック 内科・小児科・アレルギー科院長。 0歳のお産から100歳までの1世紀を診療するプライマリケア医師。