日本人の国民病とも言える頭痛。市販の頭痛薬で対処している方も多いと思いますが、薬の種類もたくさんありますよね。実は、自分に合った頭痛薬を選ぶにはちょっとしたポイントがあります。

 

目次

 

頭痛は痛み方によってタイプが違う

 

日本には慢性的な頭痛に悩む方々が約4000万人以上いると言われています。

 

この悩ましい頭痛は大きく分けて、他の原因によらない頭痛(一次性頭痛)病気や怪我・傷などによる頭痛(二次性頭痛)に分かれます。

 

主に市販薬で治療を試みようとするのは、軽度の一次性頭痛であり、この中には片頭痛や緊張性頭痛、群発性頭痛が含まれています。

 

また、逆に市販薬連用が原因となって起きる頭痛(薬物乱用頭痛)も存在します。

 

片頭痛の症状

片頭痛は片側性・拍動性の痛みが4時間以上続くとされ、動作により痛みが悪化することが特徴的です。

 

前兆がある方と無い方がいますが、発作中は光や音に過敏になることや、嘔吐を伴うことがあります。

 

緊張性頭痛の症状

筋肉の緊張により起こる緊張性頭痛は、両側性・非拍動性の圧迫感を伴う痛みとされ、一次性頭痛では最も有病率が高くなっています。

 

群発性頭痛の症状

群発性頭痛は片側性ですが、発作は高頻度で短時間(15分~2時間程度)かつ激しい痛みとされており、目の充血や鼻閉・鼻漏など、目や鼻の症状も伴うことがあります。

 

薬物乱用性頭痛の特徴

頭痛が1か月に16日以上あり、週に3日以上治療薬を服用する日がある場合は、薬物乱用性頭痛が考えられることもあります。

 

 

市販頭痛薬の成分と種類

 

市販の頭痛薬としてはロキソプロフェンやイブプロフェン、アスピリン、アセトアミノフェン、エテンザミドなどが有名な鎮痛成分であり、これらは炎症反応を抑えることにより鎮痛作用を発揮します。

 

また、よく市販薬に配合されるカフェインも鎮痛作用の補助として使用されています。

 

アリルイソプロピルアセチル尿素やブロムワレリル尿素は、痛みを感じにくくする成分(鎮静剤)として市販薬に配合されていることがあります。

 

しかし、鎮静剤の成分は眠気を誘発することがあるだけでなく、ブロムワレリル尿素に関しては依存性もあるとされ、多用には注意が必要です。

 

上記の市販薬に加えて、葛根湯や呉茱萸湯、釣藤散などの漢方薬も頭痛薬として効能を持ちます。

 

 

効き目が評判の頭痛薬でも自分には効かない…その理由は? 

 

人の見た目や性格がそれぞれ違うように、薬を飲んだ後の吸収や代謝、排出は個人差があり、その差は効果実感に直接的に関係します。

 

また、心理的に「この薬は効く」と思いながら服用する場合と、「効かない」と思いながら服用する場合では効果が変わってくることもあります。

 

そのため、評判の頭痛薬が効かない場合でも、他の成分が配合された市販薬であれば効果が出る可能性があります。

 

どこの薬局に行っても選びきれないほどの頭痛薬が陳列されているのは、人によって効果が実感できる市販薬が異なるためだと考えられます。

 

薬を飲むタイミングも重要

効果が遅いと感じるのは、痛みの発現から薬の服用までに時間が経っている可能性があります。

 

上記で挙げた鎮痛薬の作用は、痛みの原因である炎症反応がこの先悪化しないよう抑えることであり、すでに起きてしまった炎症を無かったことにする作用ではありません。

 

よって、「痛みが出たらなるべく早く飲む」ことが早く効果を感じるポイントになります。

 

 

自分に合った頭痛薬を選ぶポイント

基本的には、妊娠・授乳中である場合や高血圧などの持病がある場合、心臓・腎臓・肝臓の悪い方は一度かかりつけの先生や薬剤師に相談することが推奨されます。

 

特に当てはまらない場合、市販薬を買うポイントは効果と副作用のバランスを考えることです。

 

 

効果の面から選ぶ場合

効果の面では、もし以前に主治医からもらった鎮痛剤でよく効いたものがあるのなら、その成分が入っている市販薬を選ぶと失敗する確率は低いでしょう。

 

服用していた鎮痛薬の名前を薬剤師に聞けば、すぐにその成分と市販で買える商品が分かると思います。

 

副作用を考慮した場合

副作用の面では、胃が弱い方は胃薬配合の商品、夜に頭痛が多い人はカフェインが入っていない商品などが推奨されます。

 

どうしても痛みがつらい場合

痛みがつらい方には鎮静剤入りの商品を勧めることができますが、眠気・だるさを感じることがあるので、運転や危険な作業、テスト期間中などは避けたほうがいいかもしれません。

 

 

薬剤師から一言アドバイス

統計的にも頭痛で医療機関を定期受診する方は少なく、多くの方は市販薬で対処しようとしています。

 

しかし、繰り返す頭痛の場合や生活に支障がでている場合は、体の中でも特に大切な「頭」という部分であることから、迷わず医療機関を受診することをおすすめします。

 

注意したいのは、頭痛の原因や分類は複雑で診断も難しいということです。

 

そのため、頭痛を繰り返す場合には頭痛ダイアリーという記録(頭痛日数、頭痛の性状・強さ・持続時間、随伴症状、薬剤服用日数、服用効果、生活への支障度など)をつけて、先生に詳しく情報を提供しましょう。

 

正しい診断によって、あなたに合う治療薬が分かるはずです。

 

日本頭痛学会 慢性頭痛の診療ガイドライン2013

プロフィール

薬剤師 志村駿介
大型調剤薬局にて調剤業務を経験。その後、市販薬やサプリメント、健康機器の販売業務にて人々のセルフメディケーションの手助けを行う。現在は薬学博士取得のためヨーロッパで最新の薬物治療や医療制度を学びながら、Malta Medicines Authorityにて医薬品の安全性評価や規制の仕事を行っている。