エピジェネティクスとは
エピジェネティクスとはDNA配列からなる遺伝子が転写・翻訳を経てたんぱく質になる過程で、DNA配列以外に修飾するシステムそのもの、あるいはそのシステムに関する研究分野を指しています。例えば、DNA自体のメチル化やDNAが巻き付いているヒストン蛋白のメチル化・アセチル化によりDNAのほどけやすさが変わる機構や、たんぱく質に翻訳されないRNAによるメッセンジャーRNAへの影響などが研究されています。
エピジェネティクスの症状
エピジェネティクスは、簡単にいえばゲノムのすべての遺伝子情報から必要な情報と必要でない情報とをどのように使い分けしているかをみる遺伝学で、病名ではありません。このエピジェネティックな調節メカニズムの異常によっておこる病気として最初に報告されたものにレット症候群という遺伝子病があります。この病気は約1万人から1万5千人に1人がかかるという遺伝子病です。男の子はかかることがなく全てが女の子であり、症状は1歳を過ぎたあたりから現れます。今までできたことができなくなったり、特徴的な症状としては手をもむような行動や手を口に持っていくなどの動作を繰り返すという特殊な行動をします。
脳性麻痺や自閉症と間違って診断されることが多いですが上記のような繰り返し動作の行動が出た場合はレット症候群である可能性が高いと言えます。
エピジェネティクスの原因
エピジェネティクスな調整メカニズムの異常によって起こる疾患の原因は遺伝子です。レット症候群は、原因遺伝子が同定されており、この遺伝子は、他の遺伝子を眠った状態にするタンパク質の遺伝子と明らかにされました。レット症候群は、この遺伝子の変異によって起こります。
この病気は発症率が低く稀であるため世間での認知度も低いです。しかし難病とされている病気であり、遺伝子に関わる重要な原因が明らかになっているため現在精力的に研究が行われています。詳細な内容としては神経栄養因子を神経細胞に適度に補うと症状が改善されることなどが動物実験で明らかになるなど研究が進められています。
エピジェネティクスの治療法
エピジェネティクスに関わる病気は、遺伝に関わるDNAの問題のため、家族内で発症した場合、早めの診断により対処することができます。リスクが高い場合などは、遺伝カウンセリングなどを受け、対応することもあります。レット症候群については、家族の中で多発することはあまりないため、症状があれば、小児神経科などで診断をすすめていくことが大切です。
現在は特効薬は開発されていないものの、その症状を緩和させる薬剤は研究が進められています。
医療業界ではエピジェネティクスに関する病気は、関心が高いため多くの国や都市で治療を行うことが近年可能となっています。また製薬メーカーもエピジェネティクスに関する研究が行われており診断後の予防に関する研究も進められています。
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