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なぜ医師は服用しないものを患者に出すの?【風邪薬は風邪を治さない】

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監修:Doctors Me医師

先日、エアコンをつけっぱなしのまま寝てしまい、夏風邪をひいてしまいました。風邪をひくと、喉は痛いし、頭はボォーっとするし、悪寒が続いてなんにもやる気が出なくなります。風邪なんて、ひくもんじゃありません。ホントに。

早く治したいと思って風邪薬を飲んでも、すぐに治らないですし。……ん、すぐに治らない? 薬がすぐに効果でないのであれば、なぜ風邪薬が存在するのでしょうか? 今回、風邪の疑問を知り合いの医師にぶつけてみたところ、「私は風邪薬は飲まないですね」との返答。
医師が飲まないのになぜ患者に出すのか? どうやら風邪薬は風邪を治さないけども、症状を和らげる効果があるため、ちゃんと食事をとったり睡眠をとったりできるように薬を処方するらしいです。

ふむ、衝撃の事実に困惑しながらも、風邪と風邪薬の関係、そして夏風邪に有効な対策方法について、医師にお話を伺いしました。

風邪薬が夏風邪に効果がない理由

風邪薬と体温計
そもそも、風邪とは一体どういう症状なのでしょうか? まず、風邪とはウイルスの感染による症状の総称を言います。喉の痛みや発熱などは、ウイルスの感染から守ろうとする体の防衛本能なのです。そして、多くのウイルスは乾燥した空気を好みます。空気の乾燥は喉や鼻の免疫力低下の原因に。冬に風邪をひきやすいのはそのためなんですね。

しかし、夏にも風邪をひくことがあります。いわゆる「夏風邪」。なぜ湿度の高い夏に風邪をひいてしまうのか、その理由は高温多湿を好むウイルスが存在するから。その数、なんと200種以上。

数百種類のウイルスに対応する抗ウイルス剤は存在しない


たくさんのウイルス
冬に活発になるウイルスとあわせると、ゆうに数百種類を越えるウイルスが存在することになります。本来、ウイルスによる感染症を治すためにはそれぞれのウイルスに対応する抗ウイルス剤を用意する必要があるのですが、もちろん数百種類のウイルスに対応する万能な抗ウイルス剤は存在しません。つまり、風邪を治すためには現状、多くのウイルスに対して自然治癒しか方法がないのです。

風邪薬の役割は治癒ではなく、ただの症状緩和


一方、風邪薬は頭痛や発熱といった症状を緩和するだけで、風邪を根本的に治すものではありません。むしろ発熱などはウイルスに対抗する体の防衛本能のため、無理に解熱しないほうがよいという見方も。そのため、医師によっては風邪をひいても風邪薬を服用しない方もいらっしゃるようです。

市販の風邪薬の多くは、解熱鎮痛成分、アドレナリン作動成分、鎮咳成分、去痰成、抗炎症成分などからなる配合薬です。風邪は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、咽頭痛、咳、痰などの呼吸器症状と発熱、頭痛、関節痛、倦怠感などの全身症状が現れますが、風邪薬の効果はその諸症状の緩和をする対症療法にあたるもので風邪の原因となるウイルスを抑える根本治療ではありません。

風邪でも症状がはっきりしている場合は、各症状にあった成分だけを含む薬を選ぶことをお勧めします。
例えば、発熱には解熱鎮痛薬、咳には鎮咳去痰薬、鼻水には抗ヒスタミン薬を選ぶことで不要な成分の服用を避けることができます。一定期間、市販の風邪薬を服用しても効果が見られない場合や症状が悪化している場合は、喉や鼻の粘膜の炎症部が更に細菌感染を起こしているなどの二次感染が疑われますので医師の診察に基づく治療が必要となります。

市販の風邪薬にも副作用が起きる可能性もありますので服用後に体調の悪化などがあれば服用を中止し速やかに医療機関を受診してください。
また、慢性呼吸疾患や心臓病、糖尿病、腎臓疾患などの基礎疾患がある場合は、市販の風薬の服用によって基礎疾患の悪化や合併症を招く可能性もありますので市販の風邪薬は避け医療機関の受診をするようにしましょう。

では、風邪薬を服用しない医師の方は一体どのような風邪対策をしているのでしょうか。医師が実践する風邪の予防対策、また風邪の治し方について教えてもらいました。

【予防編】医師が実践する8つの風邪対策

塩水で鼻うがい


手洗い、うがいは日常的に行われている方も多いかと思いますが、ウイルスの感染経路の1つ、「鼻」もうがいが必要です。そこで実践したいのが鼻うがい。やり方は、人間の体液の浸透率と同じ0.9%の食塩水(水100mlに対して0.9gの食塩)を用意し、鼻から吸って口から出すだけ。慣れるまでは手こずるかもしれませんが、日常的に行うことで風邪予防になります。

緑茶うがい


コップに入った緑茶
緑茶に含まれるカテキンには、殺菌・抗菌効果があります。通常のうがいに加え、緑茶でのうがいを習慣化すると風邪にかかる確率がグンと下がります。また緑茶の殺菌効果は口内にも効果がありますので、口臭や虫歯予防にも。コーヒーの代わりに緑茶を飲むようにするのも効果的です。

ティートリーオイルでアロマテラピー


アロマオイルが入った瓶
風邪ウイルスは空気から感染することがほとんど。そこで、殺菌・抗菌効果のあるティートリーというオイルでアロマテラピーを行うことで、ウイルスによる感染症を防ぐことができます。外出時、マスクの内側に1滴アロマオイルを垂らすだけでも感染症予防につながります。

有酸素運動を習慣化させる


健康的な体の方が免疫力がありそう、というのはなんとなく体感されている方も多いかもしれませんが、なかでも有酸素運動が免疫力アップに効果的。ランニングなど、酸素を取り込む有酸素運動を行うことで、新鮮な空気が免疫細胞を活性化させます。また運動により筋肉量が増えると、基礎代謝量がアップ。体温が上がって免疫力も向上します。

野菜・果物をしっかりと食べる


たくさんの野菜
体の免疫力を高めるためには、ビタミンバランスを考えた食事が必須。サラダなどで、野菜をしっかりと食べることが大切です。ビタミンCは特に風邪予防に効果的ですので、果物などから摂取するようにしましょう。

朝一で温めたスポーツドリンクを飲む


スポーツドリンクは電解質を含み、体液に近い成分のため、他の飲み物よりも吸収率が高くなっています。朝起きて温めたスポーツドリンクを飲むことで、体温上昇と血液の流れをよくする効果が。それに伴いウイルスと戦う役割をもつ白血球のめぐりが良くなるため、風邪予防そして風邪をひいてしまったときの治癒対策としても効果的です。

体を冷やさない


体が冷えた女性
体温が下がると免疫力も低下してしまいます。特に夏は布団から足を出して寝てしまう方も多いかもしれませんが、下半身は全身の筋肉の2/3を占めるほど、体温調節に大事な部分。寝ている間に風邪をひいてしまわないためにも、体を冷やさない心がけが大切です。

携帯など、普段触れるものの除菌をこころがける


携帯電話を触る男性
携帯電話はトイレの便器よりも汚く、菌の温床となっているという調査結果も。基本的に風邪ウイルスは空気感染がほとんどですが、携帯電話など日常的に触れるものは除菌を心がけましょう。

【治癒編】医師が実践する6つの風邪対策

漢方を飲む(体質に合っている場合)


風邪薬は症状緩和のためにあるのに対し、葛根湯などの漢方は、体質に合っていれば体の免疫力を高める効果があります。飲むタイミングとしては風邪のひきはじめのとき。風邪かな、と思ったらすぐに漢方を飲むようにしましょう。

良質な睡眠をとる


安らかに眠る女性
昔から「風邪をひいたら、とりあえず安静に」と言われていますが、やはり睡眠は大切。大人になると仕事が忙しく睡眠時間を確保できないという方もいらっしゃるかもしれませんが、起き続けることで体はウイルスと戦う以外にもエネルギーを使ってしまいます。風邪の症状が現れたら、すぐに寝ましょう。

おかゆをよく噛んで食べる


温かなおかゆ
風邪をひくと、食欲がなくなりますよね。それでもなにか食べなきゃとおかゆを召し上がる方も多いかもしれませんが、注意すべきポイントは「よく噛む」こと。風邪をひいて胃腸が弱っている状態ですと、消化不良を起こしがちで、余計に体力を使ってしまいます。

寝る前にたまご酒を飲む


風邪のときに摂取したいのが、タンパク質。特に卵は非常に栄養価の高い食べ物のため、風邪のときにこそ意識的に食べたい食材なのです。たまご酒にすることで、体が温まり、眠りにつきやくもなります。

高熱のときは、わきの下や鼠蹊部を冷やす


脇の下と鼠蹊部
熱が出ると、おでこをついつい冷やしてしまいますが、熱を下げる効果はあまり高くないそう。熱を下げたいときは、血液が集まるわきの下や鼠蹊部(そけいぶ)を冷やすのが効果的です。しかし、風邪のときの熱はウイルスを撃退する体の防衛本能ため、無理に熱を下げようとするのも逆効果。体を冷やすのは、高熱が激しいときのみに抑えましょう。

水分をしっかりと取る


水を飲む女性
体温が上昇し、発汗量が増えるため、体からは大量の水分が奪われます。脱水症状になると、血液の巡りが悪くなり、免疫力がさらに低下してしまう原因になってしまうため、こまめな水分補給を忘れずに。その際、冷たい水ではなく、白湯を飲むと体の内側から温められるので効果的です。

おわりに

「風邪は万病の元」といわれるように、風邪で免疫力が低下した体はさらなる病気を引き起こす可能性があります。風邪薬を飲むと一時的に症状がラクになるかもしれませんが、体の免疫活動を妨げ、風邪を長引かせる要因となってしまうため、服用方法については要注意です。ただ、もちろん症状が激しい時には、対症療法で症状を抑えてあげたほうが体力セーブになる場合も多いですので、ケースバイケースになりますね。

少しでも風邪かなと思ったら、無理して仕事をがんばらずに、ゆっくり自宅で療養しましょう。
また、なによりも風邪をひかないことが一番大事。ぜひ今回ご紹介した予防対策も実践してみてくださいね。

監修:Doctors Me医師

Doctors Me医師監修の元、Doctors Me編集部が企画した特集記事をお届けします。
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