医師監修

日本住血吸虫症とは

日本住血吸虫症は、日本住血吸虫と、その卵により引き起こされます。日本住血吸虫は、中国、台湾、フィリピン、インドネシアなどに広く棲息しています。日本でもかつて甲府盆地、筑後川流域、広島県旧神辺町などでみられ、肝硬変の原因の1つとなっていましたが、撲滅に成功しています。

日本住血吸虫症の症状

日本住血吸虫症は、幼虫であるセルカリアが皮膚から侵入した際に、強いかゆみを伴う2~5mmの紅い丘疹を生じます。その後、蕁麻疹、倦怠感、食欲不振、微熱などがみられ、急性期に移行していきます。
  
急性期では、感染から3~10週間後に急な発熱がみられます。微熱と高熱を繰り返し、数週間続きます。併せて、下痢・粘血便などの消化器症状、高度の貧血、喘息様発作等の呼吸器症状が認められます。これらの症状は、4~5週間続いた後、次第に収まり、慢性期に移行します。
  
慢性期の特徴的な症状は肝硬変です。腹水や脾臓の腫れを伴い最終的に死に至ることもあります。虫卵が血流に乗って脳に達した場合は脳炎を引き起こすこともあります。

日本住血吸虫症の原因

日本住血吸虫症は、中間宿主であるミヤイリガイ(淡水に棲む5mmほどの巻貝)の体内で成長した幼虫(セルカリア)が、ヒトの皮膚から侵入することによって感染します。日本住血吸虫の卵は、成虫が寄生しているヒトや動物の糞便とともに水中に流されます。
  
虫卵中のミラシジウム(卵の中に形成される寄生虫の幼生)は水中に出てミヤイリガイに侵入し、その体内でセルカリアに成長します。ミヤイリガイから出たセルカリアは水中を泳ぎまわっていて、終宿主であるヒトや動物が水に入ってくると、酵素で皮膚を溶かして体内に侵入します。セルカリアは血液により体内を移動し、門脈の中で成虫になります。

日本住血吸虫症の治療法

日本住血吸虫症は、かつて、甲府盆地、筑後川流域、などでみられましたが、中間宿主であるミヤイリガイを駆除し、生息できないよう用水路をコンクリート化することで、撲滅に成功しました。
  
しかし、世界では2億人以上が住血吸虫症に感染していると言われています。住血吸虫が国内に入り、ミヤイリガイが生息する環境に戻れば、再び流行する可能性は残っています。住血吸虫は、アジア、アフリカ、中南米など世界中に広く棲息しています。それらの地域では素足で川や湖に入ったり、泳がないようにしたりすることが効果的な予防策です。
治療は抗寄生虫薬が使用され、症状に対して対症療法を行われます。
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