頭痛生理痛がつらいとき、イブプロフェンが配合された鎮痛薬を服用する方は多いと思います。

 

イブプロフェンは一般用医薬品 (OTC医薬品)の痛み止め薬の主成分としてよく使われているものですが、先日アメリカのある研究にて「イブプロフェンが男性不妊に影響する可能性がある」と発表され、話題になりました。*

 

イブプロフェンに限らず、男性の不妊を引き起こす要因は様々です。不妊は男女のどちらにも起こりうる問題ですので、夫婦で男性不妊について正しい知識を身につけておきましょう。

 

 

目次

 

 

イブプロフェンってどんな薬? 

内服薬 

イブプロフェンは痛み止め薬や解熱剤に含まれる成分の一つで、市販薬・処方薬ともに使われています。

 

痛みの原因物質であるプロスタグランジンの合成を抑えることで、痛みを抑えたり熱を冷ましたりする効果があります。

 

 

イブプロフェンを飲むと男性不妊になる? 

研究結果

 

先日、イブプロフェンが男性不妊に影響するという研究結果が、米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表されました。

イブプロフェンによって、男性ホルモンの1つであるテストステロンが減少し、精巣で精子を上手く造ることができなくなってしまう可能性が指摘されていますが、まだ研究段階のため因果関係が断定されたわけではありません。

 

 

男性不妊ってどんな状態? 

不妊検査を受ける夫婦

 

不妊症の原因は男女それぞれにありますが、男性不妊とは男性側の要因で不妊になっている状態を指します。

 

不妊といえば産婦人科のイメージがありますが、男性不妊の場合は精巣などの視診や触診も必要になるので、多くの医師は泌尿器科医の技術も身につけています。

 

 

男性不妊の種類や原因はどんなものがある? 

男性不妊 

男性不妊の原因は以下の5つに分けることができます。

 

・造精機能障害

精巣で精子をうまく造ることができない障害

 

・精路通過障害

精子が通る道筋にトラブルがあり精子が通過できない障害

 

・副性器機能障害

精巣上体や精嚢などにトラブルのある障害

 

・性機能障害

膣内で射精ができないや勃起障害があるなどの障害

 

・その他の染色体や遺伝的な問題

 

原因として最も多いのは一番上の造精機能障害であり、70~90%以上になります。

 

 

男性不妊の検査ってどうするの? 

病院で検査

 

精子のチェック

精子検査では、精子の数や生存する精子の数、運動する精子の数、正常な形態の精子の数などを検査します。

 

この検査は、自然妊娠が可能かどうかを判定するための検査として、まず最初に行われることが多いです。

 

検査自体は、不妊治療を行う施設や泌尿器科で行うことができますが、検査の後に不妊治療が必要な場合も考慮して、最初から不妊治療を行う施設での検査の方がスムーズです。

 

精巣のチェック

精巣の検査は、精巣の大きさなどを調べるために視診や触診を行い、超音波で精索静脈瘤や腫瘍の有無も確認します。

 

ホルモンのチェック

血液検査では、男性ホルモンや女性ホルモンが正常に分泌されているか確認します。場合によっては、その他に染色体検査を行って、染色体の構造に異常がないかなどを確認することもあります。

 

 

男性不妊の治療は? 

体外受精

 

男性不妊の原因がはっきりしているものは、その原因に的を絞って治療を行うことが多いです。

 

精子に原因がある場合

精子が通常よりも少ない場合は自然妊娠は困難であり、人工授精を考慮します。 

 

また、運動する精子が少ない場合にも卵子と精子が体内で出会うことは難しいと考えて、体外受精を行います。

 

精巣に原因がある場合

超音波の検査で精巣静脈瘤が見つかった場合は手術を行います。

 

また、精子の通り道である精管が詰まっているような場合にも、手術で精管を開通させることがあります。

 

ホルモンに原因がある場合

血液検査でホルモンの分泌低下が分かっている場合には、ホルモンを直接投与するホルモン療法が有効です。

 

 

最後に井上先生から一言

夫婦力を合わせて

 

妊娠の責任は男女平等にあります。ですから不妊治療も夫婦のどちらかに問題があると決めることよりも、夫婦が妊娠するプロセスでどこに問題があるか一緒に考えていくべきです。

 

男性の不妊治療についても、妊娠のメカニズムや女性に関することを全く考慮しないでいいわけではありません。夫婦で力を合わせて乗り越えていきましょう。

参考資料

* Kristensen, D. M., Desdoits-Lethimonier, C., Mackey, A. L., Dalgaard, M. D., Masi, F. D., Munkbøl, C. H., . . . Jégou, B. (2018, January 23). Ibuprofen alters human testicular physiology to produce a state of compensated hypogonadism. Retrieved February 25, 2018, from http://www.pnas.org/content/115/4/E715