【声優のアイコ事件】解離性障害と性同一性障害の関連性とは?

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監修:Doctors Me 医師

昏睡強盗などの罪に問われていた「声優のアイコ」を名乗る神いっき被告に、2017年4月28日東京地裁は「懲役10年」の実刑判決を言い渡しました。
参考

弁護側は、一貫して解離性障害を主張していたようですが、結果は主張を退いた形になったようです。

今回は、解離性障害についてと、神いっき被告に見られたという性同一性障害との関連について、詳しく医師に解説していただきました。

目次

「声優のアイコ事件」を医師が考察 


今回の事件では、被疑者が、「犯罪を行ったのは自分の中の別人格であり、自分には止めることはできなかった。別人格が生じたのは病気のせいだから、自分が責任を取る必要はない」と主張をした訳ですが、それに対して精神鑑定の結果が分かれました。

解離性障害であるという鑑定と、多重人格は演技だという鑑定があったのです。

解離性障害は血液検査や画像検査で分かるものではなく、本人の証言や行動を頼りに診断するものなので、特に今回の事件のように質病利得がある場合は判断が難しくなります。

つまり、病気だと認めさせられれば、罪が軽くなる可能性があり、被疑者にとっては得になるということです。

解離性障害と性同一性障害の関連性はある?


解離性同一性障害では、年齢・性別が様々な人格が代わる代わる現れ、例えば幼女の人格であれば声まで変わり、男性の人格のときは力が強くなるといった変化があります。

しかし一度に現れる人格は通常一つであり、自分が本来男性であるか・女性であるかという認識まで変わることはありません。

そのため体の性と心の性が一致しないという性同一性障害とは別のものであり、特に解離性障害の患者が性同一性障害を合併しやすいということはないと思われます。

解離性障害とは

精神障害の一つで、自分が自分であるという実感が失われ、現実感がなく、記憶が抜け落ちたり、どうして自分がここにいるのかわからないといった症状が現れます。

解離性障害の原因


何らかのつらい体験があったとき、その体験を生々しく感じるよりは、「こんなつらい目にあっているのは自分ではない」と一歩引いて感じることで、自分の精神を守ろうとして、解離が起こると考えられています。

つらい体験とは、戦争・交通事故・殺傷事件・いじめ・虐待など様々です。

解離性障害の症状


解離性同一性障害


解離性障害のうち、自分の中にいくつもの人格が現れ、代わる代わる役割を果たすような、いわゆる多重人格と呼ばれる状態です。

解離性健忘


精神的なストレスにより、その出来事の記憶をなくしてしまいます。数日で戻ることが多いようですが、場合によっては長期に及ぶこともあります。

解離性遁走


自分がどこの誰でどうやって生きてきたかを忘れてしまうため、家や職場を飛び出して、ふらふらと彷徨ってしまします。放浪しているところを保護されたというケースもあります。

解離性昏迷


体を動かす動作や、日常会話などが普通にできなくなります。

カタレプシー


体が硬くなり、体が動かなくなります。強硬症、蠟屈症とも言われます。

解離性障害の治療


本人が安全で安心だと感じられる環境を提供し、周囲が病状を理解することが治療であるとされており、特に決まった薬物治療はありません。

解離性障害による合併症


ガンゼル症候群


刑務所や収容所に閉じ込められた人が、的外れな言動をする症状です。

心因性失声


ショックな出来事なので強い精神的なストレスが原因となり、声が急に出なくなってしまいます。声帯にはなんら問題がないのに声が出なくなるのが特徴です。

トランス状態


恐山のイタコや神の代弁者であるシャーマンのように、他の人格になりきる状態です。

解離性障害予備軍セルフチェック


□ 非常に強いストレスを感じる体験をした

□ 記憶がとぎれている部分がある(健忘)

□ 自分の体が自分のものでないような感じがする。外から自分の体を眺めているような気がする(離人)

□ 自分が自分であるという感覚がない(自己同一性の喪失)

□ 他人から、自分らしくないと思われるような行動をする。違う名前を名乗るなど

□ 統合失調症やアルコール・薬物などの影響がない

□ 上記のようなことで、自分や周囲の人が苦痛を感じたり社会的に支障を生じている

最後に医師から一言


「自分は多重人格だから、自分の行動に責任を持つ必要はない」という主張を認めてしまうと、誰もが罪を軽くするために自分は多重人格と言い出すかもしれず、判断は難しいところでしょう。

(監修:Doctors Me 医師)
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