器質性精神障害の症状

器質性精神障害の主な症状には、認知症と意識障害があります。認知症とは、脳の器質的な変化によって正常に発達した知的能力が低下する状態のことで、記憶障害、知能障害、性格が変わる人格変化などが現れます。精神の不安定さやうつ状態などの感情面での変化、意欲や気力がなくなる発動性の低下や、妄想や幻覚などの精神症状が見られることも多いです。
  
意識障害には、どんなに強い刺激を与えても眠ったままで目を覚まさない重度の昏睡から、一見すると正常に見えても、注意力が散漫で、ぼんやり・うとうとするような軽度のものまでさまざまなレベルがあります。

器質性精神障害の原因

器質性精神障害の原因としては、アルツハイマー病などの神経変性疾患、脳梗塞・脳出血などの脳血管障害、頭部外傷、脳腫瘍・硬膜下出血などの頭蓋内占拠病変などがあげられます。
  
そのほかには、脳炎・髄膜炎・肺炎・インフルエンザなどの感染症や炎症、全身性エリテマトーデス・ベーチェット病など自己免疫疾患、肝性脳症・尿毒症・糖尿病などの代謝障害、甲状腺・副腎などの機能亢進または機能低下などの内分泌性障害、有機水銀や鉛などの金属中毒による中毒性障害、ステロイドなどの薬剤性精神障害などがあります。つまり、脳に障害を与える可能性のあるもの全てが原因になります。

器質性精神障害の治療法

器質性精神障害の予防・治療は、原因となる疾患を治療することです。頭部外傷や頭蓋内占拠病変などには外科的な処置、感染症・炎症や自己免疫疾患などには内科的な治療、アルツハイマー病などには薬を使いながらのリハビリをすることになります。精神症状が重い場合は、向精神薬を使用しながら治療を行います。
  
一部の疾患を除いて、症状が重い急性期の治療のあとは、長期にわたる通院治療をすることになります。無理のない介護環境を整えることが必要です。