視神経脊髄炎の症状

視神経脊髄炎(NMO)は女性に多い病気で、主な症状は視神経や脊髄の炎症です。

視神経に炎症が起きると、視力障害が起こります。重度の炎症が発症すると、失明の危険性があります。
  
また、脊髄に炎症が起きると、両脚を中心に脱力や感覚の障害を引き起こします。重症化すると歩くことが困難になる場合があります。
  
また一旦改善した後に再発することが多く、再発するごとに神経細胞が破壊されることから、早期治療と併せて再発防止が重要な病気と言われています。

視神経脊髄炎の原因

残念ながら、視神経脊髄炎の明確な原因はわかっていません。
ただ、視神経脊髄炎は近年まで、多発性硬化症(MS)という病気と同じものあるいはその一種ではないかと考えられてきました。しかし視神経脊髄炎では、血液の中に「アクアポリン4」というたんぱく質に対する抗体(抗AQP4抗体)が作られ、中枢神経を構成するアストロサイトという細胞がダメージを受けることで中枢神経の組織破壊が起こることがわかり、この病気の原因となっているのではないかと考えられています。
また何らかのウイルス感染などをきっかけとして、免疫のバランスが崩れ、誤って上記のように、自己の神経にダメージを与えてしまうのではないかと考えられています。

なお、近年は臨床試験も実施されており治療に向けて研究が進んでいます。

視神経脊髄炎の治療法

視神経脊髄炎は比較的最近になってよくわかってきた病気ですので、はっきりとした予防策はまだわかっていません。

視神経脊髄炎の治療は、副腎皮質ステロイド薬を短期間で大量に投与する、パルス療法という治療方法を取ります。この方法で効果が得られない場合は、血漿交換療法という治療方法を行います。そして、再発防止のため血漿交換後にはステロイドや免疫抑制剤を継続的に飲みます。ステロイドや免疫抑制剤を使うのは、アクアポリン4抗体を作り出さないようにするためです。
  
なお、もし再発してしまった場合、発症してから時間が経ってしまうと症状が固定化してしまう可能性があります。時間が経っても症状が改善する可能性はありますが、早急に治療することが重要です。