カエルの粘液でインフルエンザ撃退?新発見された「ウルミン」とは

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監修:Doctors Me 医師

2017年4月20日(木)、アメリカで行われた研究によって、一部のインフルエンザウイルスに対し、新発見されたカエルの防御物質「ウルミン」が有効であることが明らかとなりました。(参考

流行シーズンになると多くの感染者を出すインフルエンザですが、アメリカが行った最新研究によって発見された「ウルミン」とはどのような物質なのでしょうか。

今回はインフルエンザウイルスに対する研究背景、アメリカで行われた研究内容、カエル以外にも生物や自然が医療に役立っている例を医師に解説していただきました。

インフルエンザウイルスに対する薬への問題点


インフルエンザウイルスに対してはワクチン(予防接種)がありますが、ワクチンのタイプと実際流行しているウイルスが一致するとは限らず、ワクチンを打っていても完全に感染を予防することはできません。

また、タミフルやリレンザといった抗インフルエンザ薬もありますが、ウイルスの変化により薬剤耐性が出て、薬が効かないウイルスも存在することが問題となっています。

そのため、新しい仕組みでインフルエンザウイルスを撃退する薬が求められています。

タミフル、リレンザについてはこちら:

1歳未満の乳児にもタミフル解禁 3種類の抗インフルエンザ薬を医師が解説

アメリカで行われたカエルの粘液に関する研究


アメリカエモリー大学医学部から報告された研究によると、インドに生息するカエルの粘液に、インフルエンザウイルスを破壊する力があるとのことです。

カエルは自分にとって有害な病原体に対抗するために粘液を分泌しており、粘液中には抗ウイルス作用を持つ防御タンパク質が含まれています。

カエルの病原体とA型インフルエンザウイルスは構造が似ており、カエルの防御物質がインフルエンザに対しても効果を持つのではないかと考えられています。

《参照》
CNN

新しく発見された防御物質「ウルミン」


今回の研究によって発見されたカエルの防御物質は「ウルミン」と名付けられました。ウルミンは、インフルエンザウイルスの表面にある突起を壊すことでウイルス粒子を破壊します。

ウルミンの威力は強力ですが、H1というタイプの突起を持つウイルスにしか効きません。例えば1997年に流行した鳥インフルエンザであるH5N1型には効果がないということになります。

「ウルミン」の発見による今後の課題


カエルから発見された抗ウイルス物質であるウルミンを人間の治療に応用するためには、どうやって人間に投与するかを検討する必要があります。

また、カエルが分泌する防御物質には、細菌やエイズウイルスにも効果があるものがあり、薬への利用ができないか研究が進むことと思います。

生物や自然が医療に役立っている例

コモドドラゴン



トカゲの仲間であるコモドドラゴンの唾液に、殺菌作用のある物質が含まれており、多くの抗生物質に耐性を持つ細菌にも有効ではないかと期待されています。

《参照》
BBC

妊娠した馬



妊娠した馬の尿は多量のエストロゲン(女性ホルモン)を含んでおり、妊娠した馬の尿から抽出した女性ホルモン製剤が存在します。

豚や馬



美容や滋養強壮のために使用されるプラセンタ(胎盤)は、豚や馬から採取されています。

鶏の卵



インフルエンザウイルスのワクチンは鶏の卵にウイルスを移植し、できた液体を精製して作られています。

そのため、重症の卵アレルギーを持っている人はインフルエンザの予防接種が受けられません。



ポリオのワクチンや、A型肝炎ウイルスのワクチンは、猿の腎臓の細胞を使って作られています。

チャイニーズハムスター



チャイニーズハムスターの卵巣の細胞は、培養がしやすく、多くの細胞実験に使用されています。

山から取れた土



臓器移植後などに免疫機能を抑制するために使用されるタクロリムスという免疫抑制剤は、製薬会社の研究所付近の山から取れた土から発見されました。

最後に医師から一言


生き物はみんな、自分に害をなす病原体から身を守る仕組みを持っています。

自然の仕組みを研究していくことが、新しい薬や治療法につながるかもしれません。

今後のさらなる研究が期待されます。

(監修:Doctors Me 医師)
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