粟粒結核の症状

粟粒結核の代表的な症状は、ひどい高熱です。それ以外については病変のある臓器によって変わってくるため、一概には言えませんが、頭痛や息切れ、衰弱などが見られます。
  
粟粒結核による病変を起こしやすい部分としては肺が代表的です。胸部X線写真やCTを撮影すると、肺野全体に1~3mm程度の粒状の陰影が無数に見えられます。それ以外の部分では、骨髄、肝臓、副腎、腎臓、髄膜などに病変を形成するケースが目立ち、尿や血液、骨髄液などにも結核菌の感染を認めることがあります。
  
かつては若年者に多く見られる病気でしたが、現在では悪性腫瘍や膠原病、HIV感染者など、免疫力の低下した人での発症が増えています。予後は全体的に不良で、小児で15~20%程度、成人で20~30%程度の死亡率となっています。

粟粒結核の原因

粟粒結核は結核菌によって引き起こされる病気です。結核菌は基本的に咳を介して伝染します。食器などを介して感染することはありません。また、結核菌は紫外線に弱いため、咳によって放出されてもすぐに別の人に吸い込まれなければ死滅します。そのため、家族間での感染が目立ちます。
  
通常の免疫状態の方では、結核菌の感染が気道を通じて肺結核を生じることはあっても粟粒結核となることはありません。しかし、体質や病気、治療などによって免疫力が低下している場合は、結核菌が血管内に侵入すると、血流に乗って全身に行きわたることとなります。そのため菌が撒き散らされ、同時多発的に複数の臓器に病変が形成されることになります。

粟粒結核は今まで結核に感染したことがなかった免疫力の低い方が初感染時に発症するものと、過去に結核になり治癒した方が免疫力が低下した際に結核菌が再活性化し発症するパターンがあります。

粟粒結核の治療法

粟粒結核の予防としては免疫力の低下を避けることと、結核菌への感染を避けることです。免疫力の低下する病気には避けられないものも多いですが、結核の疑いがある方との接触や不特定多数の方が利用する密閉空間はなるべく避けるとよいでしょう。

粟粒結核の治療は、一般的な肺結核に対するものと基本的に共通です。抗結核薬を用いた薬物療法が主体で、使用されるものとしてはイソニアジド(INH)、リファンピシン(RFP)、硫酸ストレプトマイシン(SM)などが代表的です。投薬期間は6-9か月が一般的です。
  
入院での治療が一般的で、進行した場合には急性呼吸窮迫症候群(ARDS)という重篤な状態を合併し、長期の入院を必要としなければならなくなります。