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もう二日酔いなんてしない!医師が教える悪酔いしないお酒の呑み方

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楽しくお酒を飲んでいたつもりが、ついつい飲み過ぎてしまって翌朝二日酔いでダウンしてしまった、なんて経験ありませんか。

出来れば美味しくいただきたいお酒ですが、二日酔いは避けたいもの。そもそもなぜ二日酔いで体調を崩してしまうのでしょうか。

今回は二日酔いのメカニズムから、起こりうる危険な症状、間違った解消法、正しい予防方法を医師の建部先生に解説していただきました。

「お酒を飲んで酔う」ということ


一年を通して、私たちはお酒をたしなみますが、冬の時期は一層、その機会に恵まれています。

今回はそのお酒を美味しく頂きすぎてしまった結果、起こってしまう二日酔いについて少しお話をしてみます。

お酒による酔いは2つある?


実は「お酒を飲んで酔う」ということには次の2つの種類があります。

■ お酒に含まれるアルコールが脳に作用することで起こるもの

■ 体内に入ったアルコールが分解されてできた物質によって引き起こされるもの(いわゆる二日酔い)

お酒に含まれるアルコールはまず胃と小腸で吸収され血液中に入ります。血液中に入ったアルコールは脳へ到達し脳の麻痺やその機能低下が生じます。これが「お酒を飲んで酔う」という状態なのです。

具体的には、軽い興奮状態となり、気が大きくなったり、気分が良くなったりする状態となります。

二日酔いの3つの分類


二日酔いは症状が現れるタイミングによって以下3つのタイプに分けられます。

1. 下戸


お酒を飲んですぐに二日酔いの症状が出ます。

2. 悪酔い


お酒を飲んでいる最中に頭痛や吐き気を催します。
(注:悪酔いには「酒を飲んで横柄な態度をとったり暴れたりする」という意味もあり。)

3. 二日酔い


お酒を飲んだ翌日に症状が出る真の意味での二日酔いとなります。

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二日酔いのメカニズム


原因はアセトアルデヒド


血液中のアルコールは、肝臓内でアセトアルデヒドを経て酢酸となり最終的には二酸化炭素と水に分解されますが、実はその肝臓での分解処理過程で出来るアセトアルデヒドこそが二日酔いの原因物質なのです。

具体的には、アセトアルデヒドが血中に蓄積されると、皮膚の紅潮や心拍数の上昇、嘔気や嘔吐などの状態が生じ、酔った状態となります。

肝臓が分解できるアセトアルデヒドの量と二日酔いの関係


肝臓がアセトアルデヒドを一度に分解できる量は限られており、血液中におけるそのアセトアルデヒド濃度が高くなると頭痛、吐き気、発汗など、いわゆる二日酔いの症状を引き起こし、アルコールの利尿作用によって生じる血管内脱水の状態やアルコール性胃炎など胃腸の不具合等も重なります。

また近年、二日酔いのメカニズムについて、アセトアルデヒド代謝後でも二日酔いの症状は続く場合もあることや、アセトアルデヒド血中濃度と二日酔いの重症度は必ずしも相関しない、という報告もあり、二日酔いにおけるアセトアルデヒド犯人説に疑問を呈する意見もあります。

二日酔いになりやすい人となりにくい人の違い


二日酔いのなりやすさは遺伝で決まる?


アセトアルデヒドを人体に無害な酢酸に変換するときに、主に働く肝臓内の酵素、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の個人差にあり、遺伝的にその強さが決まっていて全く機能していない人もいます。

今のところ、そのアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)は19種類が知られていて、主に関与するのはALDH1、ALDH2、ALDH3の3種です。

特にALDH2で大きな個人差・能力差が存在し、 その活性が弱いと二日酔いや悪酔いをしやすくなります。

ALDH2を作り出す遺伝子には、酒に強い、いわゆるアセトアルデヒド分解能力が高いとされるN型(ALDH2*1)と、突然変異で分解能力が低下したD型(ALDH2*2)の2種類があります。

3パターンのアセトアルデヒド分解能力


1:酒に強い人=アセトアルデヒド分解能力の高い人(NN型)

2:酒に弱い人=アセトアルデヒド分解能力の低い人(ND型)

3:酒が全く飲めない人=アセトアルデヒド分解能力が乏しい人(DD型)

基本的な「お酒に強い・弱い」といった体質は受け継いだ遺伝子で決定されてしまっているのです。そのため、お酒に弱い遺伝子を受け継いだ人は「二日酔いになりやすい体質」となります。

また近年の研究では、ALDHのタイプのみならず、肝臓内においてアルコールがアセトアルデヒドに変換される際に働くアルコールデヒドロゲナーゼ (ADH) のタイプとの組み合わせによって、二日酔いのなりやすさやアルコール依存症やアルコール由来の各種疾患にかかってしまう確率が変わることが分かってきています。

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二日酔いで起こる危険な症状


人体にとって有害なアセトアルデヒドが一定量ずつでしか無害な物質に作り替えられないため、その影響が二日酔いとして以下の症状を呈します。

・頭痛
・嘔気や嘔吐
・頻脈
・皮膚の発赤
・下痢
・胃痛
・震え
・冷や汗
・血圧低下等

中でも危険な症状としては主に次のものが挙げられます。

遷延性意識障害


大量飲酒の結果、血液中のアセトアルデヒド濃度が致死量近くになると、意識障害を生じ最終的に死にいたる場合も有り得ます。

飲酒後、ある程度の時間が経過しているにも関わず昏睡状態が続く場合は心肺停止、死亡リスクがあると言えます。

吐血


飲酒後の激しい嘔吐の繰り返しの結果、下部食道部分に裂傷が生じ、出血を起こすのがマロリーワイス症候群です。大量吐血した場合はショック状態となり得るので危険です。

震え・冷や汗


空腹の状態で大量飲酒した場合は、一過性に血糖値が危険なレベルにまで下がり低血糖発作状態になる場合があり、意識障害を伴うこともあり危険です。

また、アセトアルデヒドの血管拡張作用により血圧が低下し脳虚血状態が発生し、このような症状を経て意識障害にいたることもあります。

嘔吐後の呼吸困難


飲酒に基づく嘔吐により胃の中の未消化の食べ物が吐出される際、偶然にそれを誤嚥し窒息しかかってしまうものです。

喘息発作


アセトアルデヒドには血管拡張作用があり、それを担っているのはヒスタミンです。そのヒスタミンは分泌されると気道や気管支が収縮し狭くなることで、喘息発作とそれによる呼吸困難を引き起こす場合があります。

なお、ヒスタミンは喘息発作以外に蕁麻疹や花粉症の際の鼻水などの症状も引き起こします。

二日酔いの誤った解消方法


大量発汗を伴う運動

 
たくさん汗をかくと二日酔いの原因になっている悪いものも一緒に排出されてゆくイメージを持つ人がいます。

頭痛や脱力は飲酒による脱水状態が原因となっている場合があり、飲酒後の二日酔いに際して十分な水分摂取もままならない状態でさらに汗を出すと余計に体内での脱水状態はひどくなります。

その結果、血液の粘度もあがり脳血栓症や脳梗塞、心筋梗塞などの危険が高くなります。

鎮痛薬の服用


鎮痛薬のほとんどが肝臓で代謝されてます。

飲酒によってその肝臓の処理能力がめいっぱいのところで頭痛の改善目的で鎮痛薬を服用すると、鎮痛薬は肝臓で代謝されず高い血中薬物濃度を維持したままの長い時間が経過するため一定以上の鎮痛剤成分が体に行き渡り様々な臓器障害を呈する場合があります。

逆に、鎮痛薬の代謝が優先されアセトアルデヒドの分解が遅くなり二日酔いが長引く場合も考えられます。

ちなみに、鎮痛剤を服用後に飲酒をしてしまうと「急激に酔いやすい」「突然眠くなる」「悪酔い、二日酔いになりやすい」という症状が起こり得るのはこのような機序によるものです。

お酒の影響が体から追い出され、体調が回復するまでは鎮痛剤の服用は控えたほうが賢明です。

迎え酒・朝酒


昔から、二日酔いの症状を緩和することで知られています。

お酒のアルコールの効果により脳の麻痺によって痛覚などが鈍り、頭痛などの不快な症状を一時的に感じにくくしているためなのですが、迎え酒をすることでアセトアルデヒドが新たに発生するため二日酔い症状を後回しにしているのに過ぎません。

また、迎え酒が習慣化するとアルコール性依存症や肝障害に進んでしまったり、中性脂肪が高くなるなどの危険性があります。

栄養価の高いものを食べる


肝臓でアルコールを分解するにあたっては糖質をメインとした大量のエネルギーが必要です。これを根拠に栄養価の高い食事を摂ろうとするがいらっしゃいます。

理論的には間違ってはいませんが、飲酒、それによる二日酔いで胃腸の働きが著しく低下している点を見落としています。無理に食べれば嘔吐するだけですので、おすすめはしません。

辛い物を食べる


辛い物を食べるといったことも、二日酔いで胃腸の働きが著しく低下している点を見落としています。

胃の粘膜が大なり小なり傷ついているところに香辛料の効いた食品を摂った場合、発汗が促されて気分的に二日酔いの原因になっているものが体外に出てゆく印象があるのかもしれませんが、胃への負担は大きく胃痛の持続や下痢症状の誘発が懸念されます。

二日酔いの効果的な予防法

最大の予防は「飲酒しない」ことですが、これができない場合は、次のような予防策があります。

1:事前に飲酒する機会が分かっている場合



■体調の改善
前夜に深酒や睡眠不足・過労などが無いように肝臓を休め全身の疲れをできるだけ取っておく

■飲酒を断る
風邪症状や胃腸炎症状等の病気が出てしまった場合は無理をせず、その飲酒機会をパスする勇気も必要

■胃腸薬
飲酒する数時間前に胃腸薬を服用しておく

■空腹にしておかない
飲酒する2~3時間前に消化に時間のかかりそうな食べ物(肉類・チーズなど)を適量食べて、栄養を体内に補給しておくことで間接的にアルコールの吸収を緩やかにすると同時に肝臓での代謝・分解効率を良くしておく

■飲酒前に購入すると良い物
飲酒前後の対策として、ペットボトル入りのスポーツドリンクを数本や胃腸薬を買っておく

2:突然、飲酒することになった場合・飲酒の直前



■軽食を取る
少し軽食を取って、胃からのお酒のアルコールの吸収を緩やかにする。栄養を体内に補給しておくことでアルコールの代謝・分解効率を良くしておく

※牛乳を飲んでもあまり効果なし
牛乳を飲むと胃に膜が形成されてアルコールの吸収がゆっくりになるというのは事実ではありません。

胃の中で膜が形成される事象自体がなく、仮に胃の中で膜が形成されたとしても牛乳由来のタンパクや脂肪等ですから、お酒のアルコールや分泌される胃酸で変性され洗い流されてしまいます。

■呑む前におすすめのドリンク
効果は限定的ですが、栄養ドリンクやスポーツドリンクを飲んでおく

3:飲み会中



■水分を補給でアルコール血中濃度を下げる
飲み会の途中でスポーツドリンクやソフトドリンクなどを飲んで、水分補給、アルコールの血中濃度を下げる

■胃に食べ物を入れながら飲酒
何かを一定量の料理やおつまみ食べてから、または食べながら飲酒する

■乾杯後から飛ばして飲まない
お酒のアルコールは空腹時だと飲酒後30分程度で血中濃度のピークを迎えるので、乾杯後の飲酒ペースはゆっくりにする

■最初は度数が低いお酒を飲む
乾杯後30分以上経たないうちは度数の高いお酒を多く飲まないようにする

4:飲んだ後



■悪酔いしたら無理をしない
すでに二日酔い症状が出始め、頭痛や嘔気を伴ってきた場合は無理をせず飲み会の場より退席し帰宅する

■嘔吐を我慢しない
嘔吐がしたくなったら我慢せず迷惑にならないところで吐く

特に嘔吐を我慢して入眠すると睡眠時に嘔吐し誤嚥、窒息のリスクがあります。

■帰宅後も水分補給を忘れずに
帰宅後、入眠前に胃腸の負担にならない程度の水分補給(できれば常温のスポーツドリンクを適量飲んでおく)

■寝る前にスポーツドリンクを常備する
ひどい二日酔いで移動もままならない状況での水分補給対策として、就寝前に枕元にペットボトル入りのスポーツドリンクを数本置いておく

5:翌日



■水分補給と十分な睡眠
お酒のエチルアルコール(エタノール)由来のアセトアルデヒドや、さらにその分解産物である酢酸によって二日酔い症状はもとより体は酸性に傾き、肝臓は疲弊しているうえ体は脱水状態

その為、こまめに少量ずつ常温のスポーツドリンク等で水分補給をし、無理をせず十分に睡眠をとることが必要

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二日酔い症状に効果的な食べ物、飲み物

時間の経過とともに少し二日酔い症状が軽減してきたら、以下の食べ物、飲み物を摂取すると効果的です。

ハチミツ



少量ずつよりアセトアルデヒドの分解を促します。

シジミの味噌汁



肝臓のアルコール分解、代謝を助けるアミノ酸、オルニチンが豊富です。

梅干し入りのお粥



体内でアルカリ性となってくれます。

大根おろし



二日酔いの胃もたれや嘔気に有効な消化酵素を多く含みます。

緑茶、コーヒー



頭痛軽減作用のあるカフェインを含みます。

他にも胃腸薬の服用やキュウリのピクルスなど酢の効いた物を食べると楽になる場合もあります。

最後に建部先生から一言


個人的な経験も踏まえて申し上げますと、二日酔いは失恋と同じで特効薬がありません。

時間がすべてを解決してくれるまで基本的には常温のスポーツドリンクを少量ずつ飲みながらで体を横たえておくのがベストです。 気分よくお酒を飲んで二日酔いにならなければ、これに越したことはありません。

ですが、お酒を飲みすぎてひどい二日酔いになってしまったり、二日酔いになってしまうのを心配してみんなと楽しくお酒を飲むことができないのは本末転倒です。

深酒は慎みつつも、気持ちよくお酒を飲んで二日酔い予防することへの参考になりましたらなによりです。

(監修:医師 建部雄氏)
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監修:医師 建部 雄氏

京都市生まれ。社会人を経て医師を志す。2001年、昭和大学医学部医学科卒業。
卒後、東京都内の大規模総合病院にて救急科の経験を積む。

その後、阪神淡路大震災において内科医が避難所等で切実に必要とされていた事実を知り、より多くより幅広く患者さんに対応できる医師を目指して総合内科へ転向を決意。
急性期病院・クリニックの勤務を経て、最も身近な医師としての研鑽を積んでいる。
現在は、横浜市内の総合病院に勤務中。週末を中心に休日夜間の非常勤先病院 救急外来勤務をほぼ趣味としており、失敗も成功も含めて経験は豊富。
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