食あたりに関する薬

薬剤師監修

食あたりの薬の上手な選び方・使い方

「食あたり」は「食中毒」とも呼ばれ、同じものです。天然の毒キノコや毒魚を食べて起きる食中毒、人工的な有毒化学物質を含む食品を食べて起きる食中毒、細菌が増殖した腐敗食品を食べて起きる食中毒などがあります。細菌も結局は有害物質を放出しているので、食中毒は、何らかの有害物質による症状です。

食あたりになれば、食べた物を吐き出すことが先決ですが、その後の処置としては、食あたりの薬を飲むことになります。食あたりの薬には、有害な細菌を殺菌するもの、有毒物質を吸着するもの、腸の粘膜を保護するもの、腸の運動や分泌を抑制するもの、などがあります。食あたりの原因および症状に応じた薬が必要で、対応を誤ると逆効果となり、症状をさらに悪化させることもあります。例えば、下痢は有害な毒素や細菌を排泄する働きがあり、毒素や細菌への対応をしないまま単純に下痢止めをしてしまうと、毒素や細菌を腸内に留めることになってしまいます。

毒物による食中毒の場合には即刻入院が必要で、腐敗食品による食中毒で軽い場合に限り市販薬での自己対処が可能です。最も一般的な市販薬は、日局木クレオソートを主成分とする止瀉薬でしょう。日局木クレオソートには殺菌作用と腸の運動および分泌を正常にする働きとがあります。

食あたりの薬の副作用と注意点

食あたりの薬として最も使用されることの多い日局木クレオソートを主成分とする止瀉薬で言いますと、その服用には注意が必要です。日局木クレオソートは、強力な殺菌作用があるだけでなく、高濃度の塊で付着した場合、人間の細胞を壊死させる作用もあります。この止瀉薬は、大粒の丸薬になっているのが普通ですが、規定量以上に大量に服用すると、丸薬が充分に溶けず大きな塊となって腸壁に固着することがあり、稀なことですが腸壁の壊死に至ることがあります。この問題を改善するために、細粒にしたり糖衣錠にした製品もあります。安全性を考えた場合、旧式の丸薬ではなく、新式のものが安心です。また、用法用量を守ることも大切で、特に安直な大量服用は危険です。

止瀉薬は、下痢を止めますが、そのことが逆効果になることもあることは既に述べた通りで、食あたりになった原因を正しく推理し、原因が毒キノコなどではなく、細菌が原因である場合にだけ使用することにします。日局木クレオソートの殺菌作用が効くためです。細菌が放出した毒物を無害化する効果はありませんので、その効果は細菌の増殖抑制に限定されます。日局木クレオソートを主成分とする止瀉薬は、日露戦争以来広く長く使われていて、正しく使う限り安全です。

食あたりの薬の飲み合わせ

食あたりの薬の概念は曖昧で、止瀉薬や整腸薬や腹痛薬などを含めて、幅広く解釈されることがあります。そのため、食あたりの薬と悪い飲み合わせになるものを挙げる場合にも、多少の曖昧さが生じます。

止瀉薬には殺菌成分が含まれるのが普通で、整腸剤には生きた乳酸菌が含まれるのが普通です。だとすれば、この2つを同時に服用することで、殺菌成分が乳酸菌を殺すことになり、止瀉薬は整腸薬の効果を無効にします。止瀉薬と整腸薬とでは、どちらか一方しか使えません。また、整腸薬は、食あたりに即効性は期待できないでしょうから、整腸薬に頼るのも無理があります。

また、腹痛薬では、鎮痛剤が含まれているでしょうから、止瀉薬と鎮痛剤との飲み合わせが問題になります。鎮痛剤の代表としてロキソプロフェンがあります。ロキソプロフェンは、食あたりに伴う腹痛を効果的に抑えますが、副作用として下痢を誘発することがあります。止瀉薬とロキソプロフェンとでは、このように明らかに相性が悪いです。食あたりの場合、止瀉薬を用いず、腹痛の薬だけで対処することも考えて良い対処法になります。腸内に留まっている細菌や毒物を下痢によって排泄させることも、間違った対処法ではありません。なお、下痢が続くと水分不足になりますので、スポーツドリンクなどで水分を補う必要があります。
  • 薬は効果をしっかりと引き出しながら、できるだけ副作用を抑えることが大切です。使用法・用量、飲み合わせに十分注意し服用してください
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