のぼせに関する薬

薬剤師監修

のぼせの薬の上手な選び方・使い方

「のぼせ」とは、顔や頭を中心に異常に熱をもつ状態を言い、この時、顔などの血管が拡張して血流が増えています。のぼせの原因は様々ですが、外界からの刺激により一時的にのぼせている場合と、病気や体調不良が原因でのぼせる場合とがあります。炎天下で活動したり風呂に長く浸かったり過度の緊張状態になったりすれば、一時的にのぼせます。深刻なのは病気による「のぼせ」で、ホルモンバランスの崩れから来る更年期障害、風邪やインフルエンザなどの感染症罹患、ストレスの蓄積などから来る自律神経失調症、甲状腺に異常のあるバセドウ病、などがあります。病気が原因でのぼせる場合、病気を治療しなければなりません。この場合は、医師の処方する薬を飲むことになります。

更年期障害による「のぼせ」に効能があるとする市販薬では、生薬を調合したものがあります。更年期障害の治療では、不足するホルモンを補充する療法が第一の選択肢になりますが、漢方薬による方法も選択肢の一つです。更年期障害の「のぼせ」に効く漢方薬の処方としては、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、女神散(にょしんさん)、温経湯(うんけいとう)、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)、など多種類があります。桂枝茯苓丸は、体力のある人向けで、女神散や温経湯や苓桂朮甘湯は、体力のやや弱った人向けです。漢方薬は体質に合わせて処方を選ぶ必要もあり、薬剤師との相談も欠かせません。

のぼせの薬の副作用と注意点

更年期障害の「のぼせ」に効く漢方薬の処方の幾つかを取り上げ、その副作用や注意点について検討することにしましょう。

桂枝茯苓丸は、体力の弱った人には向きません。また、副作用としては、肝障害が報告されていて、だるさや食欲不振さらには吐き気や発熱や発疹などがあり、この時、皮膚や白目が黄色くなる症状が現れたり、尿が茶褐色になることがあります。女神散も桂枝茯苓丸と同様で、肝障害が出る可能性があり、その場合には皮膚や白目の黄変や尿の茶褐色化が見られます。温経湯には、甘草が含まれていますが、これとは別の甘草含有の漢方薬処方を重ねて服用した場合、偽アルドステロン症を副作用として発症することがあります。この時、だるさや血圧上昇やむくみ、さらには手足のしびれや痛みが現われます。苓桂朮甘湯も温経湯と同様で、それ自体に甘草を含んでいますが、これとは別に甘草を重ねて服用する時、偽アルドステロン症を副作用として発症することがあります。これらの副作用は、稀にしか発症しないものですが、どれもが重い症状ですので、副作用と思われる異変が生じた場合、直ちに服用を中止し、医師の診断を受ける必要があります。漢方薬であっても、重篤な副作用が生じることもあることに注意しなければなりません。

のぼせの薬の飲み合わせ

事例として挙げた「のぼせ」に効く漢方薬処方の4種類について、それぞれの飲み合わせについて検討しましょう。この4種類は、多種類ある漢方薬処方の一部に過ぎませんが、漢方薬を利用する場合の注意点を知る上で、良い事例になるものです。

桂枝茯苓丸は、参蘇飲(ジンソイン)や 清肺湯(セイハイトウ)などの成分が類似する漢方薬処方と重複して服用する場合、その効果が強く出る危険があります。漢方薬処方では、その処方名が全く違っているのに、その成分が類似している場合が多くあります。漢方薬処方の全般に言えることですが、複数の漢方薬処方を重ねて服用する場合、漢方薬に詳しい薬剤師に相談する必要があります。

女神散は、甘草を含む別の漢方薬処方と重ねて服用することは、悪い飲み合わせになります。これも、甘草を必要以上に摂取することで、偽アルドステロン症を発症する可能性があります。複数の漢方薬処方を長期に渡って服用する場合、悪い飲み合わせによる副作用が徐々に積み重なる恐れがあり、注意が必要です。

副作用の説明の時に述べましたように、苓桂朮甘湯も温経湯も、別処方された甘草と重ねて服用することは、悪い飲み合わせでした。甘草に含まれる有効成分は、グリチルリチンと言う名の成分ですから、甘草ではなくグリチルリチンの名称で成分が表示されている薬も、同じ悪い飲み合わせになります。
  • 薬は効果をしっかりと引き出しながら、できるだけ副作用を抑えることが大切です。使用法・用量、飲み合わせに十分注意し服用してください
  • 専門家の皆様へ。薬の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください
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