【Dr.野菜ソムリエのコラム】vol.6: ルチンたっぷり、5月のアスパラガス

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アスパラガスはどんな植物?

ヨーロッパでは春を象徴する野菜といわれているアスパラガスは、成長した草の根から出てくる若芽を食用とします。
さて、アスパラガスについて述べた次の説明のうち間違っているのはどれでしょう?

(1) ヒラヒラしている部分“はかま”で光合成が行われる。
(2) 日光を遮断して育てると、色白のホワイトアスパラガスになる。
(3) アスパラガスには雄株と雌株がある。
(4) 細い若芽は、日にちがたっても太い若芽にはならない。

答えは・・・

(1) ヒラヒラしている部分“はかま”で光合成が行われる

“はかま”と呼ばれるヒラヒラしている部分は、葉です。
葉を持つ植物では、通常、葉が光合成の場となりますが、アスパラガスは葉ではなく茎で光合成を行います。
ちなみに、“はかま”の役割は、茎を寒さから守ることです。また、アスパラガスは太さにばらつきがありますが、細いものが
成長して太くなるわけではありません。最終的な太さは、根から出てきたときに既に決まっています。

アルツハイマー病予防の可能性も

認知症のひとつであるアルツハイマー病の発症には、脳内の炎症が関わっています。
ラットの実験では、3週間、毎日一定量のルチンを摂取していた場合、アルツハイマー病に関連する脳の“海馬”の炎症が抑えられました[※1]。アルツハイマー病の予防にも役立つかもしれません。

また、ルチンは、脂肪の燃焼促進にもはたらくことがわかっています。
ただし、マウスの実験を参考にすると、ヒトが確実に体脂肪量を減少させるには、1週間あたり太いアスパラガスを30本程度摂取することが必要になりそうです[※2]。

食物中のルチン含有量は、蕎麦と並び、アスパラガスでダントツですが、特に、4~5月のアスパラガスの穂先(先端8cm)に多く含まれます[※3] [※4]。
7月以降はルチン含有量が減っていきますので、この時期にたくさんいただきたいですね。

食感を保って味を染み込ませよう

アスパラガスは、表面積が大きくなる切り方をしたり切れ目を入れたりしても、比較的味が染み込みにくい野菜です。一方で、味を染み込ませようとして加熱しすぎると食感が損なわれます。

食感を損なわずに味を染み込ませるには、茹でずに熱湯に1分間ほど浸し、水気を切って調味料で和えて15分ほど置くだけで十分です。
今回のメニューは、オイスターソースや味噌だれで味を染み込ませたアスパラガスを、平湯葉で巻いたものです。

青々とした色と香りをお楽しみください。

~医師:吉田 菜穂子~

脚注

[※1] Javed H et al.Neuroscience. 2012:17;210:340-352
[※2] Gao M et al. Pharm Res. 2013.30(11): 2940–2950
[※3] Maeda T et al. HortScience. 2005:40:1221–1224.
[※4] 前田ら. 北大農研邦文紀要. 2005:27(2):269~313

吉田 菜穂子Yoshida Nahoko

群馬大学医学部卒、東京大学大学院医学系研究科内科学専攻修了。東京大学医学部附属病院等で内科及び心療内科の診療にあたったのち、早稲田大学生命医療工学研究所客員准教授等の研究職を経て、現在は嘱託産業医として勤務。料理・野菜・栄養学への関心が高く、日本野菜ソムリエ協会認定・野菜ソムリエの資格を取得。
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