【産婦人科医の妊活コラム】Vol.12: 【妊活の検査3】卵巣から分泌される女性ホルモン!

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医師:樽井 智子

妊活に関連するホルモン検査として、前回は特に脳の下垂体という部分から分泌されるホルモンについて、お話しました。

繰り返しになりますが、周期的な月経(生理)が来て、その後妊娠・出産に至るためには、数々のホルモンが適時・適量にバランス良く分泌されることが必要です。

今回は、下垂体ホルモンの刺激を受けて卵巣から分泌されるホルモン(女性ホルモン)について、お話したいと思います。

女性ホルモンとは?

一般に、女性ホルモンと一括りにして言われますが、妊活に関係する女性ホルモンには
エストロゲン(卵胞ホルモン、エストラジオール:E2)
プロゲステロン(黄体ホルモン:P)
があります。

月経が始まると、女性の卵巣内では、いくつかの卵胞(卵子が入った袋)が、若い人では十数個程度、年齢が高くなると1~2個程、同時に発育を開始します。

発育を開始した複数の卵胞の中から、途中で1個の卵胞のみが選ばれて発育し、選ばれなかった卵胞は消退します。月経開始から約14日間で卵胞は発育、成熟し、排卵に至ります。

エストロゲン(卵胞ホルモン、エストラジオール:E2)の働き

女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、卵胞の中の細胞である顆粒膜細胞という細胞から分泌されます。卵胞が発育するにつれて、顆粒膜細胞の数も増加し、ホルモンの分泌も上昇します。

エストラジオールの正常値は、
• 卵胞期 13~70 pg/mL(通常は50 pg/mL前後)
• 排卵期 70~240 pg/mL (通常はおよそ200 pg/mL前後)
です。(注)正常値は検査法により若干異なります。

不妊治療で使用する注射や内服薬などの排卵誘発剤は、月経初期に発育を開始する複数の卵胞を、そのまま発育、成熟、排卵させるために、投与されます。
治療の結果、卵巣内に同時に複数の卵胞が発育している場合は、エストラジオールの値は基準値よりも高値を示します。このように、エストラジオール値は、卵胞の発育の目安となります。

また、エストラジオールには、子宮の内膜(受精卵が着床し、育つところ )に働いて、子宮内膜を厚くする作用があり、受精卵が着床するための準備をします。 卵胞期や排卵期に、経腟超音波検査をして、子宮の内膜の状態を確認することがありますが、厚さが十分でない場合は、エストラジオール値が低値ではないか、確認する必要があります。

卵胞が十分に発育すると、脳の下垂体から黄体化ホルモン(LH)大量放出され(LHサージ)、この刺激によって卵胞は排卵にいたります

着床と妊娠の継続を助けるホルモン〜プロゲステロン(黄体ホルモン:P)

プロゲステロン(黄体ホルモン)は、排卵後、顆粒膜細胞が変化(黄体化)した黄体細胞から分泌されるホルモンです。

プロゲステロンの正常値は、
• 卵胞期・排卵期・閉経期 1 ng/mL以下
• 黄体期 5〜30 ng/mL (通常10 ng/ml以上)
です。

プロゲステロンは、 子宮の内膜に作用して、内膜を分泌期と呼ばれる状態に変化させ、受精卵(胚)が子宮内膜に着床しやすくなるようにする働きや、基礎体温を高温期に維持する働きがあり、妊娠の成立、維持に必要なホルモンです。黄体中期に、プロゲステロンが10 ng/ml以下であると、黄体機能不全が疑われます。

プロゲステロンを分泌する黄体は、受精卵が着床しなかった場合にはおよそ10~14日で寿命が尽き、消退し、それにより月経が起こります。 基礎体温も低下します。

妊娠が成立した場合は、黄体はそのまましばらくプロゲステロンの分泌を続け、そのため、基礎体温は高温相のままとなります。

ホルモン検査は自分の身体を知るひとつの指標

妊活中の女性が、クリニックで受けたホルモン検査は沢山ありますが、それらの働き理解して、数値に一喜一憂するのではなく、自分の身体の状態を理解する助けにしていっていただければ、と思います。

~医師:樽井 智子~

樽井 智子Tomoko Kaneko-Tarui, M.D., Ph.D.

1971年生まれ、産婦人科専門医。医学博士。元ハーバード大学医学部・マサチューセッツ総合病院産婦人科講師。
2015年4月より、『事実に基づいた妊活に関する正しい情報を分かりやすく伝えていく』をテーマに、オンライン講座『樽井智子の妊活講座』を開講し、心身を健康にする妊活指導を行っている。
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