【目からウロコのお悩み相談室 vol.4】夫婦のコミュニケーション編

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家族カウンセラー・エッセイスト・評論家:宮本 まき子

こんにちは、家族カウンセラーの宮本まき子です。前回の、【目からウロコのお悩み相談室】子育てコミュニケーション編 vol.3では「思春期」についてお話させていただきました。
今回は「夫婦のコミュニケーション」についてお話します。

夫婦編 その1 「とりあえず離婚しちゃおうか」の損得勘定

「百組の結婚があれば、百通りの離婚への筋道あり」で、万人に共通の「正統派離婚」なんてありません。敢えて共通項を探すなら、「くっつくのは簡単で、離れるのは大変」ということ。結婚年数がたてばたつほど、わが子、双方の親たち、職場仲間、地域の知人たちと「情が絡んだしがらみ」がぎっしりと増殖していて、時間もエネルギーも使います。どちらかが「(早急に)離婚したい」と思い、でも配偶者に伝えられない(というか、ずっとコミュニケーションレス)の方々、次のQ&Aが「いまそこにある危機」に気づいて、「とりあえず保留にする」か「多少時間をかけて再考」にたどり着くかもしれません。


Q:結婚5年、2人目ができた直後から「セックスレス」。夫は自称草食系、「授乳中の動物に性欲は感じない」と夜は自分の趣味に没頭。誰が母乳を出させた?別れてやるぅ!

A:自分の女に自分の子を産ませたら、それは全部「自分の所有物」「自分の一部」と信じて疑わない「自分に都合のいい世界にしか棲まない男」。俺が草食系なんだから自動的に妻子も草食系、牧場で平和に草を食もうと本気で思ってますよ。セックスは会話がなくても短時間で伝いあえる「幸せな気持ちになれるコミュニケーション」法です。

だからセックスレスの場合は他の夫婦より2倍も3倍も多くの会話やいたわりや思いやり、抱擁などのスキンシップでコミュニケーション不足を埋めなければなりません。その努力もせずに、妻を「ママ」にして自分は「大きな長男」になるのが定石コース。やるならいま、「アタクシは肉食系、あなたの母親にはなりません」の爆弾宣言で「いまここにある危機」を悟らせるべし。

もし医学的なEDなら受診を勧めて。某大国ではセックスレスは重大な離婚理由となり、裁判でガッポリ慰謝料と財産分与をとられるので、夫族はバイアグラを常用してでもコミュニケーション義務を果たすのだとか。それに比べて「盆暮れのご挨拶ていどにしている」や「仕事とセックスは家庭に持ち込まない」なんて平然としているこの国の夫族は危機感が足りませんナ、危機感が。


Q:65歳で完全リタイア、毎日やりたかったことをあれこれ楽しんでます。最近体調不良の妻が「心身症」で「適応障害」と診断され、ドクターに「別居」を勧められました。妻にいなくなられたら生活が不便です。

A:「夫在宅ストレス症候群」、俗に言う「夫原病」、でしょ。真面目でよく尽くしてくれる妻に、上から目線であれこれ指図する厳格な夫という組み合わせに多いそうです。これまでは亭主が留守の時間帯に適当にストレス発散していたのに、いまでは四六時中そばにいて気が抜けない。心身ともに疲れ切って「うつ病」みたいになっているから、ストレス源を取り除くには「夫から一歩でも遠くに離れる、一秒でも長く離れている」のが最良の方法だと、ドクターは言っているのですよ。

心身症というからには、アタマでは「夫と離れたい」とか「夫が嫌い」なんて夢にも(ホントに)思っていないのに、カラダが「もう限界!」と悲鳴をあげている状態。治すにはまずカラダから、自律神経をやすらかにさせましょう。これが離婚に直結してはあまりに気の毒。

何十年も生活の不便を感じさせなかった優しい奥様へ、長期休暇のプレゼントはいかがですか?「あなたはあなたでお好きなように。ただし、アタクシの邪魔しないで」と言える妻は絶対にかからない心身症です。


Q:年ごとに会話が減っていき、いまでは何を話しても「ああ、うん、いいよ、いらない、ダメ」の最小限の意志表示だけ。機嫌が悪いとそれさえせず、無言のまま一週間ぐらい過ぎてしまいます。このまま一生終わるのかと思うと絶望的になります。

A:「子どもとは話している」ので、妻子でワンセット感覚で「妻とも話している」と思い込むケースが多いです。単なる勘違いの場合は「私にも会話を。こっち向いて」と催促を。「仕事で疲れている」「家の中ぐらい、静かにさせてくれ」とあれこれ理由を列挙したら、妥協点の問題でしょう。「無言の抵抗」は最近では「モラハラ」で離婚理由になります。

それに日本独特の「察して文化」のコミュニケーションはアテになりません。犬じゃあるまいし、スネてそっぽを向いてシッポをチロチロ振っても、愛嬌や可愛げがなければ注目もされず。「無言の亭主はATM。カネさえ出てくればよろしい。アタシは外でおしゃべり三昧」の、これまた定番コースをたどる前に、双方で軌道修正の努力をなさってみてはいかが。


Q:女房は家事の手抜きをするし、文句がうるさいので「出てけ」とか「いつでも離婚するぞ」と脅していたら、突然、署名捺印した離婚届を置いて実家に戻ってしまいました。メールも電話も無視されて、話し合いの糸口も作れず、「なぜだ??」と自問する毎日。

A:夫が妻に「離婚してもいい」と言う時は、後釜のアテがあるか、妻の非難やグチを黙らせたいときか、「離婚」を駆け引きに使いたいときです。英語で言うなら「 I will」の意志を含んだ未来形で、相手の出方次第でいつでも引っ込みがきくと思っています。

一方、妻が「離婚する」と言ったら、今後の生活のアテがある、自分の生き方を全面的に変えたい、問答無用、ヤなものはヤダ。英語で言うなら「I have decided」の「もう決めちゃいました」の決定事項で、事後承諾をして欲しいだけ。同じ「離婚する」でも、男と女の間には温度差と時間差があるのです。「次に行く決意をした妻」と「これまでのライフスタイルを維持したい夫」を同じ土俵にのせるのは本当に難しい。双方が信頼する人に「行司」に入ってもらい、仕切っていただくようお勧めします。

まき子おばちゃまからの伝言

欧米諸国、とくにキリスト教文化圏の離婚動機は「愛が冷めたから」だそうですね。「ダブルベッドで寝られなくなったらおしまい。寝息や触れるのがいやになったら離婚するしかない」とNYの友人の弁。日本では「同じ家の空気を吸いたくない」だから、夫婦生活というものの距離感が違うのでしょう。

もっとも日本人の離婚動機のトップは「生活の破たん、家庭内暴力や貧困など」ですから、「神様に嘘ついてまで結婚生活を続けられない」という欧米人の感覚とはだいぶズレます。恋愛の領収書として結婚し、あとは「暮らしのシステムとしての巣作り」にいそしむ。トラブルがおきたとき、早急に離婚の結論を出すと、文字通りネグラを失う恐れもあります。保留できる離婚ならとりあえず棚の上へ。熟考を重ねて、来し方行く末を眺めてほんの少しでも成長するチャンスかもしれません。

次回は離婚の結論が出たケースを追ってみましょう。

~家族カウンセラー・エッセイスト・評論家:宮本 まき子~

宮本 まき子Miyamoto Makiko

津田塾大学アメリカ研究科卒業後カウンセリングを学び、主婦の友社の電話相談室創設メンバーとなり22年間勤務。出産、育児、結婚、離婚、親子問題、家族問題のカウンセラー、講演講座の講師として活躍。1999(平成11)年より国立山梨大学非常勤講師。新聞や雑誌への執筆、テレビのコメンテーターとしても活動、「団塊世代の孫育てのススメ(中央法規出版)」「輝ける熟年」(東京新聞)」「自分も幸せになる『姑道』十ヵ条(PHP研究所)」「熟年離婚より孫育て(東京新聞出版局)」など著書多数。団塊世代女性のエスプリが効いた代弁者。
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