【産婦人科医の妊活コラム】Vol.15:【妊活の検査6】自分の卵巣年齢は? 抗ミュラー管ホルモン検査AMH

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医師:樽井 智子

前6回にわたり妊活に関する検査についてお話ししてきましたが、今回は、女性の卵巣年齢が分かる検査、抗ミュラー管ホルモン検査についてお話ししていきたいと思います。

卵子の元となる原始卵胞は、毎日減っている。

一般に、女性は生まれる時に、卵子の元となる原始卵胞を約200万個持って生まれ、生後その数は減少し、思春期には約20〜30万個に、そしてその後は毎月約1000個の原始卵胞が失われていくと言われております。

女性の年齢と卵子の質は反比例する

そして女性の卵巣内では、 女性の加齢と共に卵子も年齢を重ね、老化し、卵子の質が低下していくことが知られています。女性の年齢の上昇と共に、染色体異常の発生が増加し、流産が増えていくのは、この卵子の質の低下によるものと考えられています。

卵巣内の卵子の数が分かる、抗ミュラー管ホルモン検査

生後、徐々に数が減少していく卵巣内の卵子ですが、実際に一人一人の卵巣内の卵子の数はどのくらいなのでしょうか?

卵巣内にある卵子の数の目安となる検査が、今回のテーマ、卵巣予備能検査、抗ミュラー管ホルモン検査です。抗ミュラー管ホルモン(AMH)は、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンです。血液中のAMHの値は、卵巣内の原始卵胞と発育過程の前胞状卵胞と呼ばれる卵胞の数を反映すると考えられております。

簡単に言うと、AMHの値は、卵巣内にどのくらいの卵子が残っているか、つまり卵巣の予備能がどのくらいかを反映していると言えます。このAMHの数値が低いと、卵巣内で原始卵胞(卵子の元となるもの)の数が減っている、すなわち卵巣の予備能が低下している、と言えるのです。

卵子の数は人により様々

卵子の質とは異なり、卵子の数は、個人差がとても多いことが知られています。

(Fertil Steril 2011 Feb; 95(2): 747-50)

この図は、24歳から50歳の女性17,120人のAMHを調べた研究論文のものです。このグラフからも、AMHの値は、年齢の上昇と共に減少していくことがわかりますが、同じ年齢でも、値には大きなばらつきがあることがわかります。

AMHの値は、あくまで卵子の数、在庫の目安であり、在庫の卵子の質が良いかには、関係がありません。卵子が良いか、順調に育つかは、女性の年齢と相関しています。

卵子の数≠女性の年齢
卵子の質=女性の年齢


なのです。

AMHが低いと妊娠できない?

ここでよく聞かれるのが、AMHが低いからもう妊娠はできませんか?という質問です。AMHが低くても、受精卵ができれば、年齢相当の妊娠率で妊娠することができるのです。卵子の数が少ないということは、妊活、不妊治療ができる期間が限られていることを示しますが、妊娠できないということではないのです。

AMHはいつでも検査できます

他の女性ホルモンと異なり、AMHは月経周期のどの時期でも、採血して検査できます。妊活中の女性は、AMHを調べることで、ご自身の卵巣の予備能を知り、妊娠が可能な期間があとどのくらいあるのかを知って、今度の妊活を進めていくための助けにしていただきたいと思います。

検査の誤差に注意!

ここで一つ注意があります。AMHは、測定による誤差(同じ検体でも、異なる値が出ること)が大きく、約15%程度あることが知られていますので、何回か調べたAMH検査の値が、少し上下しても、一喜一憂しないようにしましょう。

将来子供を授かりたいと考えている女性の皆さんには、是非一度AMH検査を受けていただき、ご自身の卵巣予備能を知り、今後のご自身の人生計画を立てる助けにしていただきたいと思います。

~医師:樽井 智子~

樽井 智子Tomoko Kaneko-Tarui, M.D., Ph.D.

1971年生まれ、産婦人科専門医。医学博士。元ハーバード大学医学部・マサチューセッツ総合病院産婦人科講師。
2015年4月より、『事実に基づいた妊活に関する正しい情報を分かりやすく伝えていく』をテーマに、オンライン講座『樽井智子の妊活講座』を開講し、心身を健康にする妊活指導を行っている。
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