重複腎盂尿管の症状

重複腎盂尿管の症状は、一般的には無症状なので超音波や静脈性腎盂造影の検査を行って初めて知ることができます。
重複腎盂尿管は尿官異所開口や膀胱尿管逆流などを合併していなければ特に治療の対象になることはないので、経過観察で済みます。
尿官異所開口とは女性に多くみられる病気で、男女比は1対3となっています。尿官異所開口は尿官が正常な膀胱の開口部以外の場所に開口してしまう病気で尿漏れなどの原因となってしまいます。
膀胱尿管逆流とは、膀胱に尿が充満したときや排尿時に尿官と腎盂内に逆流してしまう現象のことをいいます。膀胱尿管逆流の治療法は小児期には自然に治る可能性もあるのですが、膀胱尿管の逆流が強いと自然治癒が難しくなるので手術をしなければなりません。

重複腎盂尿管の原因

重複腎盂尿管の原因は、奇形なので外的なものが要因である場合と内的なものが要因である場合があります。
外的なものが要因である場合は、感染症や薬剤、放射線によるもので、内的なものが要因である場合は、遺伝子異常や染色体異常によるものが原因となっています。
このような外的な要因や内的な要因の影響を最も影響を受ける時期は、胎児が器官の形成を最も行う胚芽期の時期です。妊娠後期では器官の形成がほとんど完成しているので影響を受けることはあまりありません。
重複腎盂尿管は男性と女性によって症状が異なり、男性の場合は後部尿道や精巣が開口するため水腎症や尿路感染を起こしやすいです。女性の場合は尿道や膣、子宮が開口する場合が多いので尿失禁の原因となる場合が多いです。

重複腎盂尿管の治療法

重複腎盂尿管によって尿路感染症を繰り返し起こす場合は、尿路感染症を予防するために抗菌薬を長期に服用しなければなりません。
尿路感染症とは、尿の通る腎臓から尿官、膀胱や尿道のどこかで感染が起こり炎症を起こす病気です。男性に比べて尿道の短い女性の方が多くみられ、子どもやお年寄りに多い病気だといわれています。
重複腎盂尿管で治療が必要な場合は、子どものうちにわかる確率が多いので手術が必要な場合は小児泌尿器科でどのような手術を行うか選択します。
胎児のうちに重複腎盂尿管の疑いがある場合は、出生後に超音波やMRI検査等のさまざまな検査を行う必要があります。