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こんにちは。柴犬(メス)と1才の娘との生活について相談させてください。 先日か...

獣医師への相談

相談者37歳/女性
こんにちは。柴犬(メス)と1才の娘との生活について相談させてください。
先日から、3ヵ月の柴犬を飼い始めました。今後も家の中で飼っていく予定です。

まだ娘が1才になったばかりなので、一緒に大きくなっていくんだなあと思っているのですが、子犬と1才娘がこれから一緒に生活していくうえで気を付けたほうがよいことがあれば教えてください!

娘は触りたそうにしているのですが、今はまだ触らせていません。
栗原 周子先生からの回答
こんにちは、ご相談ありがとうございます。
回答までお待たせいたしました。

女の子の柴犬ちゃんをお迎えになったのですね。これから娘さんと姉妹のように育っていく様子が目に浮かび、思わず笑顔になってしまいました。

まず、3ヶ月のワンちゃんと1歳の娘さんでは、お互いに「赤ちゃん度」は同じくらいと思われて良いかと思います。どちらも、自分の意思である程度動き回ることができて、好奇心旺盛でなんでもやりたがり、そして大人の人間や飼い主の言い聞かせでコントロールすることができません。
人間の赤ちゃん同様に、病気と同じくらい、日常生活の中では事故に気をつけることが一番比重を占めます。赤ちゃんが2人いるような感じになりますので大変かと思いますが、まずこれを前提にさせてくださいね。

ワンちゃんとお子さんの生活の中で、注意すべき点は大きく2つです。①衛生面、②しつけとルールです。

①衛生面
基本的に、犬と人間とで動物種が異なると、病気を起こす病原体も違います。犬も人間もいわゆる「風邪」を引きますが、犬のかぜは人間には移りませんしその逆もそうです。どちらかが体調不良になっても、基本的にはもう一方に移らない(体調不良にならない)ものと考えて大丈夫です。
ただし例外があります。
ノミ、ダニ、回虫などの消化管内寄生虫といった寄生虫と、パスツレラと呼ばれる細菌です。これは人間にも感染して病気を起こします。

寄生虫は、ワンちゃんが動物病院で処方される予防薬を適切に使うことで確実に予防できます。3ヶ月のワンちゃんですと、予防薬によっては使用対象月齢に満たずまだ予防薬がしっかり使えていないこともあるかもしれません。この場合は、念のため予防薬がしっかり使えるようになってから接触する(遠くから見るだけ)にすれば万全でしょう。

またパスツレラとは犬の口の中に常在する細菌で、犬には無害無症状なのですが、人間では傷口などから菌が体内に入り込むと発熱やリンパ節の腫れなどを引き起こすパスツレラ症の原因となります。
キーワードとしては、免疫の弱い子供が犬に噛まれないようにすること、犬の唾液を口から取り込まないようにすることとなります。大人も子供も、ワンちゃんとの食器の共有はやめましょう。また、子供もなんでも舐めることがあると思いますので、ワンちゃんとお子さんがおもちゃ(ボールなど)を共有しないようにしましょう。

②ルールとしつけ

・まず何よりも大切なことですが、ワンちゃんに触った後は大人も子供も石鹸で手を洗うということを小さいうちから徹底するようにしてください。逆に、衛生面でも手洗いは消毒等は不要で石鹸で十分です。
幼い頃からワンちゃんといっしょの生活ではワンちゃんとの距離感が近くなりがちで、それは素晴らしいことでもあるのですが、衛生上の線引きもしっかり押さえておくことが大切です。

・3ヶ月のワンちゃんと1歳のお子さんとではお互いに手加減がきかず、興味のままにお互いを触ったり引っ張ったりしてしまうと思います。ワンちゃんも乳歯が生え揃う頃で、甘噛みも含めてなんでもかじってしまう時期です。思わぬ事故に繋がる恐れがあるため、お子さんとワンちゃんを2人きりにしないようにしましょう。
少なくともお子さんと親御さんが言葉で意思疎通ができ、してはいけないこと、いいことを理解できるようになるまではこの方が安全です。

・ワンちゃんは誤飲が多い時期です。
お子さんのおもちゃや衣類(特に靴下)は小さいものが多いため、注意が必要です。
ある程度大きくなると、特に女の子のお子さんはよかれと思って(お世話のつもりで)、ワンちゃんに食べ物を与えてしまうことがあります。玉ねぎやチョコレートなど、ワンちゃんにとって時に致死的な中毒を起こすものには気をつけましょう。いまは基本的に大人が見ていないところではワンちゃんとお子さんが接触できないように、お子さんが理解できる年になったら、勝手に食べ物を与えてはいけないことをよく説明してあげてくださいね。

・お散歩について。小さいお子さんを連れてワンちゃんを散歩することもあると思いますが、どちらも不規則な動きをすることが多いため、ワンちゃんの逃走や事故の恐れがあります。十分に注意を払えるように(散歩中のしつけのためにも)、ワンちゃんに1人、お子さんに1人、大人の目があった方が安全です。
しかし、そうもいかない場合もあるかと思います。この場合、ワンちゃんをいざというときもしっかりと軽い力で安全に制御できるように、首輪ではなく胴輪(ハーネス)を、リードは長さを調節できるタイプではなくしっかりとした綱のタイプを選ばれた方がよいでしょう。また、リードの持ち手は輪にして手首にかけてからさらに綱を持つというようにしましょう。

・個性もあるのですが、柴犬のなかには家族内の順位付けを重視して自分より下と見なすと強気になってしまう気質の子がいます。お子さんを下と見なすと、噛んだり吠えたりといった行動が今後現れる恐れもあります。
家族として仲良く過ごすためにも、犬と人間とで順位が逆にならないように、最低限の線引きには気をつけるようにしましょう。ワンちゃんがお子さんを威嚇するような行動に出たら、厳しく(体罰ではなく)ノーと叱るようにしましょう。また、お子さんもワンちゃんが嫌がるような触り方をしないように気をつけてあげましょう。


以上、大変長くなってしまい、また羅列になってしまって申し訳ありませんが、思いついた点を列挙いたしました。ご参考になれば幸いです。
ワンちゃんとの生活をどうぞ楽しんでくださいね。
相談者37歳/女性
こんなに丁寧にご回答いただけるなんて驚きました。
知らなかったことが多く、すごく勉強になりました!相談をして本当によかったです。
栗原先生に教えていただいたことを全て肝に銘じて、トラブルなく、みんなで仲良く暮らしていこうと思います。

またなにかあれば相談させていただきます。
ありがとうございました!