カウンセリングはメンタルが弱い人が受けるもの?日本人が誤解しがちなメンタルヘルス

精神科医 神楽坂やちま

「メンタルが強い人」と聞くと,皆さんはどのような人を想像しますか?
どんなことも1人で解決していく人,悩みがなさそうな人,楽天的な人など,誰か思い浮かぶ人がいるのではないでしょうか.

今回は,誤解されがちなメンタルヘルスについて,精神科医の神楽坂やちまが解説します.

日本人が誤解しがちなメンタルヘルス

メンタルは強くなくてもよい!?

「メンタルが強い人」と聞くと,誰に何を言われても動じない鋼メンタルのような人を想像するのではないでしょうか.

しかし,どんなことがあっても全く心が傷つかないということは,まずありえません.大切なのは,誰でも多少なり心は傷ついてしまうもの,メンタルは弱るものという前提でいることです.

「悲しみや苦しみに耐え続ける力」を伸ばすことがメンタルヘルスケアではありません.メンタルヘルスにとって重要なのは,心が弱ったときに自分に合ったケアができる「メンタルを回復させる力」です.

自分に合う心の回復方法を見つけよう

たとえば,髪がパサついたときはトリートメントしようかな…と考えますよね.それと同じように,心の調子が悪いときに,家族に相談したり,カウンセリングを受けたり,転職したり,運動したりして,その都度メンタルを回復できれば問題ありません.

あまりよくないのは,心の不調をケアせずに放置することです.耐え続けると心を壊すのは時間の問題になってしまいます.

「強くならなきゃ」と思う必要はありません.メンタルを回復させる方法を見つけることが,しなやかな心作りにつながります.

回復方法の1つとしてのカウンセリング

欧米で浸透しているメンタルヘルスケアとして,カウンセリングがあります.

よく「カウンセリングはメンタルが弱い人やうつ病の人が受けるもの」と誤解されている方がいます.しかし,心の不調を感じてカウンセリングを受けに行くことは,自己管理能力があることの証です.

また,「これくらいの悩みでカウンセリングを受けてもよいのだろうか…」という方がみなさんの中にも多くいらっしゃいます.そもそもカウンセリングは,ちょっと心の不調を感じたときに,小さな悩みのうちに解消しておくことで心の病気を防ぐものです.

悩みが大きくなりすぎたり,心が壊れてしまったりしてからでは,回復するのにも時間がかかってしまいます.ちょっと心がもやもやするな…という段階で,その都度カウンセリングを受けて心を整えておくことがメンタルヘルスを保つコツです.決して「これくらいの悩み」と思わないようにしましょう.

もしカウンセリングに少しためらいがある場合は,まずは信頼できる人に悩みを打ち明けてみることから始めましょう.人に話してみることで,「自分ってこう思ってたんだ」と何か気づきを得られるかもしれません.