失恋から立ち直れない…つらいときの乗り越え方
2019.07.29
仕事が忙しくなったり、責任が伴ったりすると一日中仕事のことが頭から離れなくなったり、休日も心が休まらなかったりしますよね。
そこで今回は、法政大学現代福祉学部臨床心理学科の末武康弘先生に、仕事のことが頭から離れない場合の対処法についてお話を伺いました。
今年も梅雨の季節を迎えました。蒸し暑いこの時期に、心身の疲れを感じる人も少なくないでしょう。梅雨明けや、夏の海や空が待ち遠しい人はそれほど心配ないかもしれません。
しかし、先のことがあまり楽しみに思えない場合は、少し立ち止まって自分の心の状態を確認してみることが必要かもしれません。
Aさんは、30歳代半ばの営業職として働いている男性です。最近、寝つきが悪く睡眠不足気味です。仕事も以前ほど集中できなくなり、このまま今の仕事を続けていってよいのか不安を感じているとのことです。
Aさんは真面目な方で、一生懸命仕事に取り組んでいます。やる気がないわけでも、いい加減な気持ちで仕事をしているわけでもありません。むしろ、仕事のことがいつも頭から離れず、仕事を優先させるために、趣味や気晴らし、異性とのつき合いなどは後回しになっているほどです。Aさんはどうしたらよいのでしょうか?
あることが頭から離れず、いつも気にかけてしまう場合は、それが大きなストレスになっていることが少なくありません。Aさんのように、一生懸命仕事に取り組むことは、とても立派なことです。しかし、人は休息を取って気晴らしをしないとエネルギーが消耗してしまいますし、ストレスも蓄積し続けます。
Aさんにとって仕事は大切なことのため、すべてを忘れて趣味などに没頭することは難しいかもしれません。しかし、仕事のことをしばらくの間そっとしまっておけるような、心の中に引き出しをつくることは可能でしょう。
一日の仕事を終えた後や休日は、仕事のことは引き出しの中にしまって、心や体をゆったりと休ませたり、楽しませたりすることが大事なのではないでしょうか。(*2)
Aさんは、仕事でうまくいかない自分のことを責めたり、将来に不安を感じたりもしているようです。このような思考回路(思考の癖)は、心理的な混乱を増やし、仕事などの生産性にもネガティブな影響をもたらすことがわかっています。自分を責めたり、将来を悲観するような自分への言葉かけは、減らしましょう。自分のよいところを認めて、自己肯定感を高めるような自己対話を増やすことも大切な対処法です。(*3)
自分ひとりでは、このような対処法をすぐに身につけるのは難しいかもしれません。そのようなときは、こころのつき合い方の専門家に対処法を尋ねてみるのもよいでしょう。
オンラインカウンセリングFor Me では、専門のカウンセラーがご相談に応じています。ぜひ活用してくださいね。
*1:プライバシー保護のため、複数の事例をもとに編集したものです。
*2:フォーカシングというカウンセリング技法。
*3:認知再構成法というカウンセリング技法。これらのカウンセリング技法については、末武康弘(2018)『心理学的支援法―カウンセリングと心理療法の基礎―』誠信書房を参照。