病気の家族を支えるあなたへ~共倒れを防ぐために~

病気の家族を支えるあなたへ~共倒れを防ぐために~

精神科医 神楽坂やちま

一生に一度は、家族や恋人が病気になることがありますよね。そんなとき、つい自分が支えなければと無理をしてしまうと共倒れになってしまうことがあります。

そこで今回は、家族が病気のときに気をつけたいことについて、精神科医の神楽坂やちまが解説します。

 

支えるあなたもケアを受ける対象

今は、2人に1人ががんになる時代であり、ストレス社会でいつ誰が精神疾患にかかるかもわかりません。人は、誰しも病気と隣り合わせです。そのため、自分が病気ではなかったとしても、家族が突然病気になることも往々にしてあります。

 

「家族は第2の患者」と言われるくらいに、病気の家族を支えることは簡単なことではありません。はじめに、患者さんだけではなく、患者さんを支えるあなたもケアを受ける対象なのだということを覚えておいてください。

 

共倒れにならないために意識したい3つのこと

つらい気持ちを溜め込まない

つらい気持ちを溜め込まない

つらいな、誰かに話したいなと思ったときは、溜め込まないことが大切です。友人や信頼できる人に気持ちを打ち明けることもよいですが、話を聞く専門家であるカウンセラーに頼ってみるのもひとつの手です。

 

せっかく勇気を出して友人に相談したのに「一番つらいのは患者本人」、「あなたがしっかりしなくてどうするの?」など、当事者意識のない言葉で追い詰められてしまっては元も子もありません。

 

がんをはじめとする病気の家族を支える人は、うつ病になるリスクが高いことがわかっています。弱音を吐く場所がほしい、不安でぐちゃぐちゃの感情を整理したい、というときは共倒れになる前に気軽に心理カウンセリングを利用してみてください。自分は大丈夫と過信しないことが大切です。

 

カウンセラーを探す元気すらないというときは、主治医や看護師に話してみましょう。あなたの精神状態に合わせたケアが受けられるように、動いてくれるはずです。

 

食事と睡眠に気を配る

食事と睡眠に気を配る

病気の家族がいると、ついつい自分のことを後回しにしがちですよね。もちろん家族も大切ですが、いつも以上に自分の心と体のケアをすることを忘れないでください。

 

不規則な生活や、栄養バランスの偏った食生活をしていると、体調だけではなく、心の調子も崩しやすくなります。十分な睡眠時間を確保して、疲労が溜まらないように意識しましょう

 

また、精神的なストレスがたまると、不眠になることがあります。睡眠環境を整えてもぐっすり眠ることができない場合は、心療内科や精神科を受診しましょう。食欲がなくなったっ場合も同様に、心と体の不調のサインです。重症になる前の段階で、食い止めましょう。

 

自分にとって楽しい時間を大切に

自分にとって楽しい時間を大切に

家族が病気で苦しんでいるからといって、自分の楽しみやリラックスできる時間を無理に減らすことはやめましょう。気晴らしができる時間がないと、精神的に追い詰められるのは時間の問題です。

 

将来の不安を考えすぎるときりがありません。一度思考をリセットするためにも、お買い物に行ったり、友達と会ったり、漫画や映画を楽しんだり、自分の笑顔でいれる時間を大切にしましょう。

 

精神的に余裕がない状態は、言動に現れてきます。お互いのためにも、楽しむ時間を作って肩の力を意識的に抜いていきましょう。

 

つらさ比べはやめよう

自分と誰かのつらさ比べをしても何も解決しません。病気には病気のつらさ、支える側には支える側のつらさがあります。

 

大切なのは、つらいときは早めに周囲に助けを求めることです。自分一人で支えようと気を張る必要はありません。そもそも、病気の家族を一人で支えることは非常に困難なことです。必要であれば専門家の力も借りて、共倒れにならないようにより良い体制を作っていきましょう。