失恋から立ち直れない…つらいときの乗り越え方
2019.07.29
皆さんは「カウンセリング」と聞いて,何を思い浮かべますか?
病気の人が受けるものでしょうか?深刻な話をするものでしょうか?
カウンセリングについて,実は詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか.
カウンセリングには様々な種類がありますが,今回は心理的な援助を指す「カウンセリング」について,精神科医の神楽坂やちまが解説します.
カウンセリングとは,心の専門家である臨床心理士や心理カウンセラーなどが,専門的な知識・技術に基づいた対話を通して,みなさんの悩みや不安な気持ちを軽くしていくことを指します.カウンセリングは医療行為ではなく,あなた自身で悩みを解決していけるようにサポートしてくれます.
カウンセリングは,実際に会って対面で行うイメージが強いかもしれませんが,最近は電話やメール,チャットなどで気軽に受けられることもあります.カウンセラーが学校や会社にいることも増え,利用しやすくなっています.
日本では,まだカウンセリングを受けることに馴染みはないかもしれません.しかし,アメリカなど諸外国では,カウンセリングに通うことは比較的一般的なんですよ.
米国の保険福祉省(日本で言う厚生省)によれば,2017年は15%近い人々がメンタルヘルスサービスを受けているようです.
カウンセリングでは,基本的になんでも話すことができます.
「不安な気持ちを吐き出したい」
「気持ちを整理したい」
「家族や友人には言えない悩みを持っている」
「なんとなく生きづらい」
などなど…
このような「心が少し不安定かも」という段階で,カウンセリングを受けて心を落ち着けることができれば,自律神経の乱れやうつ病などの病気を予防することもできます.
多くの研究でカウンセリングの効果は報告されており,心の健康を保つ方法の1つとしてカウンセリングは重要なのです.
WHO(世界保健機関)によれば,例えばうつに対してサイコセラピーは三環系抗うつ薬と同等の効果(3~8ヶ月後の改善)を示したという報告があるそうです.
友人や家族に悩みや愚痴を聞いてもらうと,一時的にすっきりするかもしれません.しかし,周囲の人は基本的に心の専門家ではないですよね.
周囲に相談内容が漏れてしまうリスクや,友人から受けた言葉で逆にモヤモヤしてしまうこともあるでしょう.相手を暗い気持ちにさせてしまうことや,相談内容によっては相手にとって精神的な負担になる可能性もあります.
臨床心理士をはじめとするカウンセラーは,話を聞く専門家です.心理学の知識を持ち,しっかりと訓練を受けてきており,相談内容が漏れるということもありません.カウンセラーは第三者であるからこそ,気を使わずに安心して話すことができるはずです.
基本的にカウンセリングを受けるタイミングは,いつでも構いません.しかし,心を壊してからでは遅いので,病気になる前に受けることが望ましいです.
日常生活の中で,「少しつらいな」「悩みを誰かに聞いてほしいな」などと思ったときはいつでも,あなたがカウンセリングを受けるタイミングです.
診察室で患者さんを診ていると,「もっと早めに専門家に相談していただいていれば…」と思うようなことは多いです.どうしても日本人は一人で頑張ろうとしてしまうからかもしれません.
つらさの度合いや悩み事というのは人それぞれです.カウンセリングを受けるタイミングに早すぎるということはありませんよ.
カウンセリングに対して,ネガティブなイメージを持っている方もいるかもしれません.しかし実際には,気持ちや問題を整理して,より調子の良い生活を送るために行うポジティブなことでもあるんです.仕事や勉強のパフォーマンスを高めるためにカウンセリングを受ける人もいます.
「少しお腹の調子が悪いな」と思ったらヨーグルトを食べたりしますよね.それと同じように,「少し心の調子が悪いな」と思ったらカウンセリングを受けて心の調子を整えてあげることが大切です.