職場のパワハラがつらくて苦痛!どうすればいいの?

精神科医 神楽坂やちま

近年,パワハラやセクハラ,ブラック企業という単語をよく聞くようになり,悲しい事件が後を絶ちません.
実際に,働く環境や職場の人間関係に悩んでいる方も多いのではないでしょうか.

そこで今回は,パワハラを受けたときの対応について,精神科医の神楽坂やちまが解説します

パワハラは人権侵害!あなたは決して悪くない

パワハラを受けると「自分のせいなのでは?」「僕に原因があるからだ」と思ってしまうことがあるかもしれません.

しかし,大前提として,パワハラを受けた側は全く悪くありません.パワハラというと,少し軽く聞こえてしまうのが残念ですが,精神的・身体的苦痛を与えることは「人権侵害」です.自分のことを責める必要は全くないということを初めにお伝えしておきます.

同僚や後輩からでもパワハラに該当する

パワハラは,上司が部下にするというイメージがあるかもしれません.

しかし,それだけではなく「職場内での優位性」があれば,部下から上司,同僚や後輩から受けた精神的・身体的苦痛もパワハラとなります.

パワハラを受けたらどうすればよい?

起きたことを記録しておく

それどころではないかもしれませんが,可能な限り自分の身を守るために,パワハラの際は可能であれば録音し,されたことは時系列とともにメモしておきましょう.メールやチャットによるパワハラの場合は,スクリーンショットを撮っておくと良いでしょう.

パワハラが原因で病気になった場合などに,このような証拠は非常に重要になってきます.
また,起きたことを書き出してみることで,本当にパワハラなのか,ただの指導なのか,きちんと客観視することもできます.

環境を変えてみる

大きく体調を崩す前に退職や転職をするのは,有効な手段の1つです.信じられないかもしれませんが,日本にはパワハラのない職場が存在しています.

しかし,パワハラによって,すでに転職する元気すら失われているかもしれません.そのような,すぐに退職や転職は考えづらい場合は,部署の変更や時短勤務を希望してみるのもよいでしょう.

各都道府県の総合労働相談コーナーに相談する

各都道府県には,総合労働相談コーナーがあります.働くことに関しての悩みであれば,無料で相談に乗ってもらえる場所です.

もし,職場に意見しづらい,言うとさらに状況が悪化しそうということがあれば,利用してみてください.

心や体の不調を感じたら

無理して働かない!無理をしてでも休もう

パワハラを受け続けると,心や体の不調が出てきます.眠れない,食欲がない,頭が痛い,喉が変な感じ,体のどこかがしびれる感じ,など.女性の場合は,月経が止まることもあるかもしれません.このような変化は,体からの限界のサインです.すぐにでも休みましょう.

心や体の不調で日常生活に支障が出るようであれば,迷わず心療内科や精神科を受診しましょう.そこまでではないけど,誰かに話を聞いてもらいたい,今の状況や気持ちを整理したいという場合は,カウンセリングがおすすめです.
「同僚はパワハラに耐えているのに…」「私が弱いだけかも…」など,人と比べる必要は全くありません.つらさを感じる度合いに,個人差があるのは当たり前です.あなたがつらいと思えばつらいんです.

体調が悪いときと同様に,心の調子が悪いときもしっかり休むことが大切ですよ.