失恋から立ち直れない…つらいときの乗り越え方
2019.07.29
最近よく聞くようになった「毒親」という言葉.明確な定義はありませんが,主に子どもにとって悪影響を及ぼす親を指します.暴力やネグレクトというわかりやすいタイプだけではなく,一見外からはわかりづらい精神的な虐待から,子どもを支配下に置く過干渉なタイプまで,毒親の種類はさまざまです.
このような毒親に長年悩まされている方もいるのではないでしょうか.そこで今回は,毒親の対処法について,精神科医の神楽坂やちまが解説します.
毒親に育てられた場合,以下のような悪影響が出る可能性があります.
・精神疾患(うつ病や摂食障害,睡眠障害など)
・対人関係の問題
・自己肯定感や自尊心の喪失
・依存傾向
目に見える病気だけではなく,本人が生きづらさを感じたり,コミュニケーションを思うようにとれなかったり,自分の子どもとの向き合い方に支障が出たりと,生涯にわたって苦しめられることもあります.我慢しすぎず,早いうちに今の状況から抜け出しましょう.
毒親は,自分が毒親だと自覚がない場合や発達障害を抱えているという場合もあり,話し合いで解決できないことも多々あるでしょう.親にどんなことを言われても,性格的に言い返せないということもあると思います.
そのため,一人暮らしが可能な状況の場合は,実家を離れてできる限り距離を置きましょう.物理的に距離を置くことはもちろん,親からの連絡に丁寧に対応しすぎないなど精神的にも距離を置くことが重要です.依存されないように,必要以上に気を使うことなく淡々と接することも時には必要です.
距離をおくことで良好な関係を保てる場合もありますし,親が子ども以外の依存先を見つける場合もあります.
一人暮らしができない場合でも,なるべく顔を合わせないように外出の時間を増やしたり,自分の家事は自分でやるようにするなどで,ある程度の効果がみられることもあります.
信頼できる友人やパートナーなど,安心して話せる人がいると心が落ち着くものです.嫌な感情は溜め込まず,一人で抱え込まないようにしましょう.
また,毒親という言葉が広まると同時に,毒親育ちの方たちが集まるコミュニティも増えてきています.毒親から抜け出した人の話を聞けば,何かしらヒントを得られるかもしれません.注意点として,毒親育ち同士でも状況は一人ひとり全く異なるため,毒親度合いは比べないようにしましょう.
家族のことを友人に話すのは抵抗があるという方は,カウンセリングをおすすめします.個人情報が守られるため,親や友人に知られるということはありません.
また,話を聞くプロであるカウンセラーに話すことで,冷静に,客観的に親のことを考える機会になるかもしれません.カウンセリングは,心が壊れる前に受けることが重要なポイントです.
親が精神的な負担やトラウマになり,すでに心や体に不調が現れている場合は,精神科や心療内科を受診しましょう.
親に受診を止める権利はありませんが,親に知られると後々面倒ということもあると思います.そのようなときは,知り合いのいない地域にあるメンタルクリニックに行く,会社の産業医に相談してみる,女性の場合は精神科もあるレディースクリニックに行くなどして状態が悪化しないうちに受診しましょう.
一般的に家族を大事にすることが美徳とされる風潮がありますが,危害を加えてくる親を無理に大事にしようとしなくて良いのではないでしょうか.一人ひとりに人権があるのです.家族だから子どもを傷つけてもよい,支配してもよいということにはなりません.
親は選べませんが,これから人生を共に過ごす友人やパートナー,仲間などは自分で選ぶことができます.一人で抱え込むのではなく,まずは誰でもよいので,話してみようと思える人に助けを求めることから始めましょう.