子どもが突然不登校に…親としてどう接すればいいの?

精神科医 神楽坂やちま

子どもが不登校になってしまったら,どのように関わればよいのかわからないですよね.今までは普通に学校に通っていたのに…と親として不安になることもあると思います.

そこで今回は,子どもが不登校になったときの関わり方について,精神科医の神楽坂やちまが解説します.

子どもが不登校になったら…

子どもの思いを聞いて原因を探る

決して怒ったり,叱ったりせずに,子どもの気持ちに寄り添いましょう.一人ひとり不登校になる原因は異なります.「きっとこれが原因だろう」と決めつけずに,子ども本人の言葉に耳を傾けましょう.

「なんかいやなことあった?」,「話せそうだったら聞くからね」などと優しく話しかけ,子どもが話せそうであれば頭ごなしに否定せずに話を聞きましょう.

子どもが話したくないようであれば無理に話させる必要はありません.自分の思っていることをうまく言葉にできないことや,本当の原因を言いたくないこともあるでしょう.

不登校の原因がわかれば,解決の糸口が見えることもありますが,わからなかったとしても何の問題もありません.登校させることがゴールなのではなく,その子どもに合った生き方を見つけることがゴールということを覚えておいてくださいね.

必要であればカウンセラーに相談を

今後どうしていけばよいのかわからず,誰かに相談したいという場合は,親だけでカウンセリングに行くのもよいです.学校には,学校関連の相談を専門とするスクールカウンセラーがいることもあります.直接的な解決につながらなくても,親としての感情を整理することができますし,1度利用してみてもよいでしょう.

子どもが親には何も話したくないという場合は,1人で悩みを抱え込まないように子どもにカウンセリングを提案してみるのもよいでしょう.

どうしても親子というのはとても近い関係で,今後も深く関わらざるを得ないですから,重要なことを隠されてしまうことが多々あります.ですので,カウンセラーのほうが話の本質を引き出せるという場合も多いです.

ただし,強制してはいけませんし,話した内容を子どもから無理に聞き出さないようにしましょう.親子であっても最低限プライバシーを守ることが大切ですよ.

また,カウンセラーも人間ですので,相性が合わないこともあります.この人は合わないな…と思ったら,遠慮せずに他のカウンセラーを探しましょう.チャットや電話でのカウンセリングだと,いろいろなカウンセラーと出会えるので対面の相談にこだわらない方にはよいかもしれません.

児童相談所で相談してみる

各自治体にある児童相談所では,18歳未満の子どもに関する悩みであればなんでも相談することができます.

児童相談所に相談する主なメリットとしては,行政サービスのため無料であることと,医師や児童福祉司,児童心理司などの専門家がいるため,多くの場合適切なアドバイスもらえることでしょう.児童相談所に相談したいときは,事前に電話で連絡しておくとスムーズですよ.

子どもの体に異変があれば早めの受診を!

子どもが不登校になり,食事をとらなくなった,どか食いするようになった,寝なくなった,感情のコントロールができなくなった,自傷行為をするようになったなどの異変があれば,精神科や心療内科,子どものこころの問題に特化した児童精神科(主に15歳以下が対象)を受診しましょう.

症状によっては医療的な介入が必要になる場合もあります.怒ったり,叱ったり,親の指導で解決しようとせずに,専門家に頼りましょう.

人生において学校が全てではない

不登校になると,子どもの将来を不安に思うこともあると思います.しかし,激しく嫌がる子どもを無理に登校させても,根本的な問題は解決しません.

今は,さまざまな生き方が認められるようになってきています.定時制の学校も,ネットで授業を受けられる学校もあります.学校に通わなくても勉強はできますし,学校外のコミュニティでも協調性を身につけることができます.

親としてついつい介入したくなる気持ちはよくわかりますが,子ども本人の人生です.不登校だから幸せになれないということは全くありませんし,不登校だから友達ができないということもありません.不登校でも勉強をすれば大学に入れますし,就職できないということもありません.

過度に心配しすぎず,まずは目の前の子どもの気持ちに寄り添い,意思が芽生えたときはサポートしてあげましょう.