失恋から立ち直れない…つらいときの乗り越え方
2019.07.29
いつもは仲良しでも,たまに彼女や彼氏から受ける言動に「これってもしかしてデートDV…?」と思うことはないでしょうか.デートDVは身近な問題で,誰でも加害者にも被害者にもなりえます.
そこで今回は,デートDVを受けたときの対応について,精神科医の神楽坂やちまが解説します.
デートDVとは,性別や年齢を問わず,交際中の恋人間で起こるさまざまな暴力を指します.殴ったり蹴ったり,身体的な暴力だけがデートDVではありません.
デートDVは暴行罪や傷害罪に問われることもあり,軽く考えてはいけない問題です.以下に思いあたることはありませんか?
・身体的暴力
(例)殴られた,物を投げられた,刃物などの危険な物を向けられたなど
・精神的暴力
(例)罵倒された,SNSに悪口を書かれた,LINEはすぐに返信しろと強要された,別れるなら死ぬと言われたなど
・性的暴力
(例)同意していないのに性行為をせまられた,避妊してくれなかった,裸の写真を撮られたなど
・経済的暴力
(例)お金を貸したけど返ってこない,アルバイト・仕事を辞めさせられた,強制的におごらされたなど
嫌と言えない方もいると思いますが,可能であれば嫌なことは嫌と相手に伝えましょう.
もしかすると相手はあなたが嫌がっていないと思っていることもあります.
「こうされると傷つくから改善してほしい」,「悪口の書き込みをやめてくれないと信頼関係が築けない」など,いやだと思ったことは具体的伝えましょう.
ひょっとすると,あなたと相手の距離が近すぎてしまっているために,デートDVにつながっているのかもしれません.
物理的あるいは精神的に距離を置くことで,あなたの存在がより大切に思えれば,デートDVを防止することもできるでしょう.
恋人にやめてと言っても嫌がることを続けてくる場合や,逆上してそもそも話を聞いてくれない,話し合いをしてくれないということもあると思います.
そのような場合は,学生であれば,まずは保健室の養護の先生やスクールカウンセラー,親など,信頼できそうな大人に相談しましょう.
社会人であれば,自治体やNPO法人などが運営する電話相談を利用したり,カウンセラーに相談してみるのもよいでしょう.
友人に相談するのも悪くはありませんが,情報が漏れてしまうリスクがあったり,のろけ話と捉えられる,すぐに別れればよいと言われるなど,根本的な解決につながらないことがあります.
別れたいのに別れてくれない,ストーカー化した,暴力がエスカレートしているなど事態が深刻な場合は,早めに警察や弁護士などに頼りましょう.
性暴力を受けたら,頭が真っ白になり,どうすればよいかわからないということがあると思います.そのようなときは,
#8103に電話するということを覚えておきましょう.各都道府県の性犯罪被害相談電話窓口に繋がります.性暴力に関して相談ができ,必要であれば医療機関を紹介してくれることもあります.
好きだから,私が悪いと思うから,この人と別れたら結婚できないかもしれないから,子どもを産む最後のチャンスだから,この子には僕しかいないからなど,恋人からの暴力を我慢してしまう背景には,さまざまな思いがあると思います.
暴力を受けても,あなたは決して悪くありませんし,我慢して1人で抱え込む必要はありません.
デートDVを受けていると自分では思えなくても,恋人のことが大好きでも,もし少しでも違和感や不安,恐怖を感じた場合は,まずは誰かに相談することが大切です.
信用できる人に相談しつつ,最終的にあなたの意思で,恋人と話し合いをしたり,距離を置いたり,自分の納得する選択をすることが長期的に考えてよいでしょう.