失恋から立ち直れない…つらいときの乗り越え方
2019.07.29
アイドルの卒業や芸能界引退など,何かとアイドルの話題はつきません.アイドルという存在が近くなった今,アイドルの引退や結婚によって精神疾患にかかる方や,多額の借金をしてまでアイドルの握手会に通う方,ストーカーになってしまう方など,アイドル依存と言えるレベルの方も見受けられるようになりました.
そこで今回は,アイドル依存について,精神科医の神楽坂やちまが解説します.
好きなアイドルがいると,QOLは上がりますし,「推し」を応援すると幸せな気分になれますよね.
このように好きなアイドルの存在で人生が豊かになる方が多い一方で,アイドルに依存しすぎて日常生活に支障をきたしてしまう方もいます.
借金し始めてしまったり,仕事ができなくなったりするなど,自分ではどうしようもならない状態になっている場合,すでにアイドル依存に陥っている可能性があります.
・物質依存
アルコールやタバコ,薬物,市販薬などへの依存
・行為依存(プロセス依存)
ギャンブルやネット,買い物,痴漢などへの依存
・対人依存
恋人や子ども,同僚など人間への依存
アイドル依存の場合は,対人依存かつ握手会やイベント参加などの行為依存です.
一見あまり深刻に見えないかもしれませんが,アイドル依存にはいくつかリスクもあります.
アイドル依存はアルコール依存などとは異なり,業務に支障が出たり借金などしてしまっても「私は誰かの役に立っている」「ファンが少ないから自分が応援してあげたい」といったような思いから罪悪感が出にくいという特徴があります.
また,周囲にとって気付きにくいという問題もあります.アイドル依存の方とただアイドルが好きな人との境目は,周囲から見ると時に曖昧です.
そのため,本人が実は困っていたとしても「あの人は好きでやっている」という風に周囲に思われる可能性もあります.
これらの要因でアイドル依存がエスカレートしてしまうと,ストーカー行為をしたり,CDを買うお金がなくなり万引きに走ったりと,最終的に法に触れてしまうあるい家庭崩壊となってしまうリスクがあります.
気づかないうちに日常生活が崩壊するだけではなく,一生を棒に振るリスクについても頭の片隅に置いておきましょう.
アルコール依存症などの病的な依存へのイメージから,「依存は悪いこと」と思っている方もいらっしゃるかもしれません.
しかし,日常生活に支障をきたしていない,周囲に迷惑をかけていないというレベルの適度な依存は,あまり問題ありません.
むしろ,1つのことだけに依存するのではなく,さまざまな物事に対して適度に依存しておくことをおすすめします.何か1つ依存先がなくなったときに,大きなダメージを避けることもできますよ.
基本的に他人を巻き込まず,それによる借金もなく日常生活が送れているのであれば,「私は依存症だ…病気かもしれない…」などと思う必要はありません.多方面にうまく依存していることは,ある意味で精神的に自立しているとも言えるかもしれません.
「私はアイドル依存にはならない」と思っている方もいるかもしれません.しかし,依存症はそのときの精神状態や環境にも左右されるため,いつ誰がなってもおかしくはありません.
特定の物事に過度に固執や依存している自分に気づいたときは,一度深呼吸して,今自分に絶対に必要なものなのか,人間関係や仕事などに影響が出ていないかなど,立ち止まって考えてみましょう.
アイドル依存について,医療の概念としてまだ確立はしておりません.
しかし日常生活に支障をきたすほどの依存状態に陥った場合は,認知行動療法を始めとした治療を施すことはできます.
あるいはそこまででなくとも,一度カウンセリングを受けてみるなどして,アイドルとの程よい付き合い方について,考え直してみたほうがいいかもしれません.