「腓骨神経麻痺(ひこつしんけいまひ)」という病気をご存知ですか?あまり聞き慣れないかもしれませんが、その症状を聞くと、経験したことがある人もいるのではないでしょうか。今回はこの病気の症状や原因、治療法について医師に解説してもらいましょう。

■ どんな症状が起きるの?

その症状とは、例えば以下のようなものです。

ヒザ下の外側から甲にかけて、しびれたり感覚が鈍くなったりします。まるで正座をした後の、足にびりびりとしびれを感じるような状態です。また、足首より先が曲げられなくなり、足先がだらんと垂れ下がってしまう「下垂足」という状態が起きます。スリッパがすぐに脱げやすくなったり、足を引きずって歩くといった症状がでます。

■ 原因は一体……?

原因は、腓骨神経がそれぞれの部位の感覚運動を支配していることに起因し、その腓骨神経が外部から圧迫されることによって生じます。

腓骨神経は、皮膚から浅い位置でヒザの裏から外側へと回り込むように走行しています。そのため、長時間ヒザの裏や外側を圧迫し続けるような姿勢、たとえば深い位置で腰掛けていたり、足を組み続けるといったことでも生じます。また、周囲の筋肉が腫脹することでも圧迫されるため、長時間しゃがんだ状態で機械整備や草むしりをすることでも生じます。

■ 治療や改善方法ってあるの?

保存的に神経を休めてあげることを3カ月続けることで、症状の改善を図ります。なによりも、日頃から圧迫しないように気を付けることが最も大切なのです。例えばハイソックスをやめてパンストにするなど、ごく簡単な工夫についても脊椎外科学会において推奨されています。

【医師からのアドバイス】

実は、骨折や脱臼など、ヒザの関節に関わる外傷を受けることで、ヒザ近くの神経が損傷することもあり得ます。その場合には、手術による治療が必要になります。

例えば、どこかでぶつけたり、転んだりした後からしびれなどの症状が続いたり、3カ月間様子を見ても改善がないときには、整形外科でレントゲンなどの精密検査が必要となりますので、すぐに病院にかかってくださいね。