診断に難しい病気だから、周囲の理解が必要不可欠
アスペルガー症候群という病気を知っていますか? 広汎性発達障害(こうはんせいはったつしょうがい)と呼ばれる病気のひとつで、診断は専門家でも非常に難しい病気ですが、一般的には「コミュニケーションが苦手で特定のものに興味やこだわりをもっているが、言葉の遅れはないもの」をアスペルガー症候群と考えるとわかりやすいでしょう。コミュニケーションが苦手といっても、必ずしも無口というわけではなく、知らない人にも積極的に話しかけるアスペルガー症候群のお子さんもよく見られます。いっぽうで、ほとんど人と交わらず自分の好きな何かに没頭していることも。
病気への理解こそが、真のサポート
どのタイプにも共通していえるのは、「空気を読むのが苦手」ということです。私たちは生活の中で、無意識のうちに置かれた状況を判断して、それに沿った行動をしています。たとえば、大きな会場にいるとき、何となくその場の雰囲気に合わせて静かになったり、自然と談笑に加わるなど。これがアスペルガー症候群の方には非常に難しいのです。誰かがはっきり、「話をしないでください」と言わない限り、声高に話し続けたりします。言葉の解釈も独特なものがあり、事実であっても言うべきではないこと、「格好が悪い」、「臭い」などを面と向かって言ってしまい、煙たがられることもあります。これらは障害によるもので本人に悪気はないのに「性格が悪い」、「常識がない」と非難されたり、しつけが悪い、などと親が責められることもあるでしょう。
わかりやすい表現で接し、一定のルールを作ってあげよう
アスペルガー症候群の子どもと接する上で重要なことは、まずわかりやすい、はっきりした表現を心がけることです。しぐさや表情から相手の気持ちを察することや、臨機応変に何かを行うことが大の苦手なので、「○○をしてください」、「○○は言わないでね」など簡潔で直接的な言葉を使うようにします。いっぽうで、一定のルールに従って生活をすることは得意なので、「1をしたら、次は2をする」といったわかりやすい生活パターンを決めることも有効です。好きなことに没頭すると周りが見えなくなる傾向もあるので、時間を区切って次の動作へ進む習慣をつけることも役に立つでしょう。子ども同士のコミュニケーションに支障をきたしていることもありますから、周囲の子どもにその子の特性を理解してもらうことも大切です。