「幼い子どもはハチミツ食べてはいけない」ということをご存知でしょうか? 厚生省からも「1歳未満の乳児にはハチミツを食べさせないように」との通達がありました。

今回は、なぜ子どもがハチミツを食べてはいけないのか、詳しい話を医師に聞いてきました。

ハチミツにボツリヌス菌がいるの!?

なぜ子どもがハチミツを食べてはいけないのでしょうか? それは、1歳未満の子供がハチミツを摂取すると「乳児ボツリヌス症状」という病気を発症する可能性があるからです。

日本で生産するハチミツの5~10%程度にボツリヌス菌が混在するといわれています。しかし、海外のものにはもっと多く含まれています。ボツリヌス菌は「芽胞(がほう)」と呼ばれる生殖細胞を作ります。芽胞は種子のように、何年間も休眠していることができます。

消化器系が未熟な1歳未満の乳児が発症

「芽胞」が存在するハチミツを1歳未満の乳児が摂取すると、腸内で芽胞が繁殖・増殖し、毒素を発生させます。すると主に神経麻痺症状を引き起こし、呼吸筋までもが麻痺してしまうのです。

1歳未満の乳児は、消化器系が未熟であることから、菌に負けてしまいボツリヌス菌の芽胞が成長してしまうのです。特に生後3週から6ヶ月の乳幼児に発症すると言われています。潜伏期間は3~30日と短いものから長いものもあります。

「乳児ボツリヌス症状」ってどんな症状なの?

初期は
・ひどい便秘
・食欲不振
・母乳を吸う力の低下
・表情がなくなる
・弱い啼泣(ていきゅう):声を上げて泣くこと

などの症状が現れます。

やがて
・顔面麻痺によるよだれ過多
・眼球運動の麻痺
・全身性の麻痺

など、どんどん重症化していきます。

このようにボツリヌス菌は神経系に大きな影響を与えるのが特徴で、命に関わるものですので、異変に気づいたら直ぐに病院へ行き、治療を受け受けましょう。誤ってハチミツを摂取してしまった場合には、水やミルクを摂取して流し出しでから、すぐに病院へ行ってください。

「乳児ボツリヌス症状」の検査・治療・予防!

【検査】
まずは便を検査します。便秘で採取が困難な場合には採血や摂取した食べ物を検査する事があります。

【治療】
対処療法が主となり、呼吸管理や抗菌薬などの処置が施されます。

乳児ボツリヌス症の致死率は1~3%と低めですが、発症するだけでも乳児には大きなダメージとなります。治療自体も抗菌薬の安全性を考えると慎重な治療が必要であり、乳児は大きなストレスになりますし、完治までにも数ヶ月はかかります。

【予防】
乳児に対して、とにかくハチミツを摂取させないことです。また、コーンシロップ、加熱処理がされていない野菜ジュース等にも含まれている可能性があります。ボツリヌス菌の存在する飲食物は、ハチミツに限らないということを覚えておきましょう。

医師からのアドバイス

このように、美容や健康に良いハチミツも、乳児には害になってしまうのです。飲み物などを甘くしたいときや、ヨーグルトを食べるときなど、うっかり「幼い子どもはハチミツ食べてはいけない」ということを忘れないようにしてください。また、母乳による感染はないので、母親が摂取する事には問題はありません。

(監修:Doctors Me 医師)