職場の異動や業務内容の変わった、新しく入社した会社の環境になかなかうまく適応できない…心身に不調が起き、普段通りに生活することが難しくなり「適応障害」と診断されることがあります。
さらに、適応障害の診断を受け、休職するように医師に言われることもあります。

今回は適応障害と診断された後の、休職期間の過ごし方について医師に話を聞きました。

適応障害で休職って、どういうこと?

適応障害は抑うつ、不眠、食欲不振をはじめ頭痛や吐き気、発熱、体のふるえなどの身体の症状を感じることがあります。
一方、精神面での症状として不安やイライラ、焦りなど感情の変化が著しくなったり攻撃的な行動をとってしまうこともあります。

環境調整やご本人が外来でカウンセリングを受けながら、適応能力を高めていくことで状態が改善する場合もあります。
しかし、症状が重篤である場合やご本人が苦痛に思っている部分を環境調整することが難しい職場環境である場合は、やむを得ず休職に入ることもよくあります。

適応障害で休職となったとき、どのように過ごしたらよいのか…と、迷う人もいらっしゃるかもしれません。
手術を受けたり、絶対安静を指示されたりするわけでもなく、仕事を休むという状況には戸惑ってしまいますね。人によっては、罪悪感を覚えるかもしれません。

しかし、このとき最も大切なことは本人や家族が「この休職は症状を改善し、よい状態に戻るために必要なものだ」と心から認識することです。

無理に休まなきゃ…と思いつめるのはよくない

適応障害で休職する大きな目的は、心身ともに休養をとることです。
無理に休まなければと自宅にこもり、落ち着かず部屋を「ウロウロ歩き回ってしまう、などの状況は適応障害の治療の観点からも好ましくありません。

身体を無理に安静にすることよりも、気持ちをできるだけ穏やかに保てる方法で日々を過ごすことが大切です。

休み中の過ごし方の例を挙げます。
・買い物
・里帰り
・自宅で本を読んだりビデオを見る
・家族や友人と話をして過ごす
(もちろん、一例で必ずしもこの限りではありません。)

もしも社宅などに住んでいて人目が気になって休めないときは、休む場所を変えるのもよい選択です。

誤解したくない「休まなければいけない理由」

時に、適応障害による休職の必要性を、患者さんご本人やご家族、周りの方々が正しく認識していないことがあります。
適応障害と診断された本人でさえ「主治医に言われたから仕方なく休んだ」「精神的に弱いから休職することになった」もっと極端な場合には「病気でもないのに会社をさぼっている」と感じる場合があります。

いうまでもなく、これらはすべて不適切な認識です。

適応障害は仕事などに対する反応が、本人の適応能力を超えたときにつけられる診断名です。
主治医が休職を指示するのは、医学的に必要と認められた場合に限られます。出勤することは可能でも、仕事で本来の力よりもとても少ない力しか発揮できなくなり、のちの社会的立場に大きく影響する場合などにも、休職するようにお伝えすることもあります。

周りの人が適応障害で休職する人と接するときに大切なことがあります。本人の状態に合わせてプレッシャーを与えないよう自然に接することです。

【医師からのアドバイス】

適応障害での休職期間に必要なことは『まず心身ともに休養をとること』です。

ご本人もご家族や周りのかたも休職の必要性を理解し、まずは診断された本人の「休むことへの罪悪感」を払拭できるように協力できるといいですね。

(監修:Doctors Me 医師)