原因

ストレス


ストレスを感じる女性
ストレスによって免疫力が低下した時に、最もよくみられるアフタ性口内炎ができやすくなります。全体が白っぽく、縁が赤い炎症です。

ストレスを完全に無くすことは難しいので、治っても同じ場所に再びできることが多いです。

ビタミン不足


野菜
ビタミンB群やビタミンCが不足していることで口内炎ができやすくなります。

歯磨き、矯正などによる刺激


矯正
口の中の粘膜は薄く、刺激によって傷つきやすくなっています。硬い歯ブラシで粘膜を繰り返し傷つけたり、とがった歯や矯正器具、入れ歯が繰り返し粘膜に当たることで、口内炎ができ、治りにくくなります。

金属の被せ物をしている場合、金属アレルギーが原因になることもあります。

歯磨き粉の成分


歯磨き粉
スクラブ剤のつぶが入っていたり、強い清涼感を得るために刺激が強い歯磨き粉は、口内炎を治りにくくする可能性があります。

発泡剤であるラウリル硫酸ナトリウムという成分が原因であるという研究もありますが、反対に関係ないと結論づけている研究もあります。

病院に行くべき口内炎

口内炎に悩む女性

長引く場合


普段なら1週間で治るのに、もう1ヶ月も治らないといった場合は、皮膚科や口腔外科で相談しましょう。全身の免疫力の低下や栄養状態の悪化が隠れている場合があります。

唇や口の中に水疱ができる場合


唇や口の中に水疱はができ、それが破れている場合、ヘルペスウイルスが原因の可能性があります。神経に感染する特徴があり、特有のピリピリとした強い痛みを伴います。

ヘルペスウイルスによる口内炎も、自然治癒しますが、数が多かったりなかなか治らない場合は、抗ウイルス薬の塗り薬や内服薬、点滴が必要になります。

口の中や性器、肛門周辺できものが多発する場合


ベーチェット病という病気の可能性があります。皮膚に赤い部分が出たり、下痢、神経症状、関節の痛みなど多様な症状を伴う場合もあります。

珍しい病気ではありますが、この病気については内科での血液検査が必要です。

数が多くて痛みが強い場合


原因に係わらず受診し、脱水や栄養不足が起こっているようなら点滴を受ける必要があります。

病気による口内炎

悩む患者

ベーチェット病


体内の様々な部分に原因不明の炎症を起こす病気です。症状は皮膚、目、神経、腸など多岐に渡りますが、そのうちの一つに重症で治りにくいアフタ性口内炎があります。唇、頬の粘膜、舌、歯茎に丸くて痛い口内炎ができ、治りにくく繰り返し起こります。

ベーチェット病患者さんのほぼ全員に口内炎ができますが、それだけではベーチェット病かどうかは判断できず、他に皮膚に赤いできものができたり、外陰部にえぐれができたり、目にブドウ膜炎が出て見えにくく充血したり、ということが合わさった時点でベーチェット病を疑います。

白血病


白血病では免疫細胞の働きが異常になるので、傷が治りにくくなり、口内炎もできやすくなります。

しかし口内炎だけで白血病を疑う必要はなく、他に微熱、疲れやすい、血が止まらない、息苦しいといったことがあった場合に疑いを持つとよいでしょう。

糖尿病


糖尿病でも免疫力の低下による傷の治りにくさが起こります。

舌がん、口腔がん


舌や口の中にできるがんは、粘膜がえぐれたものなので、口内炎だと思っていたらがんだったということがありうると考えらえます。

また、口内炎を放置し、入れ歯などによる刺激を繰り返し与え続けることでがん化するとも考えられています。

壊死性潰瘍性口内炎 、壊疽性口内炎


栄養状態や衛生状態が非常に悪い地域で見られる口内炎です。口の中の常在菌が傷に感染して、周囲を壊死させる病気です。

普通見られることはまずありませんが、薬物やアルコール中毒、寝たきり、ステロイドなど免疫状態を悪化させる薬の使用などがあれば、起こり得るかもしれません。

病院に行くなら何科?

医者

歯科、口腔外科を受診する場合


歯、入れ歯、矯正器具が当たっている部位に口内炎がある場合、歯科、口腔外科を受診しましょう。

自分に合った歯磨きの方法を習い、虫歯治療や歯周病治療を行うことで再発を予防することができます。

内科を受診する場合


発熱や皮膚の異常があったり、体の症状で気になることがある場合は内科を受診しましょう。ベーチェット病の専門科は病院によって呼び方が異なりますが、免疫内科、膠原病内科、リウマチ、血液内科などが担当になります。

耳鼻咽喉科を受診する場合


上記以外の場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。単に耳鼻科と書かれている場合も、のどや口の中も診療してもらえます。

治療法

歯科でアフタ性口内炎と診断されると、以下の治療を行います。


外用薬


■ 軟膏(ステロイド含有)の塗布
■ ケナログやアフタゾロンなど

口腔内の炎症を抑え、痛みなどを改善するものです。 通常、慢性剥離性歯肉炎、びらんまたは潰瘍を伴う難治性口内炎および舌炎の治療に用いられます。

<ケナログ>
日頃から口内炎ができるのであれば「よく口内炎ができるので、塗り薬を出してほしい」と歯科医師に伝えると、多くの場合ケナログという軟膏が処方されます。ケナログは1日3〜4回繰り返して塗ると、徐々に痛みが軽減されていきます。

しかし、口内炎に黄色い膿がある、小さな水疱がいくつかできては潰れ、繰り返すようであれば、ウイルス性口内炎が疑われるので、これらの薬を止めて、歯科を受診しましょう。

これをいつもの(アフタ性)口内炎だと思ってこれらの外用薬を塗布し続けたり、 痛みを止めるためにロキソニン、ボルタレンなど(非ステロイド性鎮痛薬)を服用すると感染が悪化する場合があります。

内服薬



ウイルス性の口内炎の場合、歯科では抗ウイルス薬を処方します。 その場合、外用薬で皮膚や粘膜の病変だけを抑えることに加え、内服薬で神経節のウイルスの増殖を抑えます。
(外用薬のみを処方することもありますが、基本的には内服薬を併用します。)

内服薬は特徴があります。
■ 早期に服用しないと効果が出にくいこと
■ 二次的に細菌感染などを起こして大きな口内炎になっていると他の口内炎と同じように治りにくく対症療法しかないこと
■ 薬効をなかなか感じにくい

レーザー治療

レーザー治療器具
歯科では従来のドリルで削る、メスで切る治療に代わって、レーザー光線を使用して虫歯や歯周病を治療することが増えています。

口内炎にもレーザー光線を照射することで治療効果がありますが、現在のところ保険適応外の自費診療になり、またレーザー機器自体を所持していなかったり、所持していても口内炎治療は行っていない施設もあります。

効果


レーザー光線には、細菌を殺す、炎症を抑える、止血する、傷が治るのに必要な細胞の働きを促進する効果があります。レーザー光線を当てても痛みは軽いため、麻酔をする必要もありません。子供や妊婦でも実施可能です。

費用


費用については自由診療のためクリニックごとに異なりますが、施術自体は1000円程度の施設もあります。これに診察料や初診料が加わります。

所要時間


1〜2回程度で治療効果が表れるとされています。

病院に行かずにできる対処法

口の中を清潔に保つ


歯ブラシ、洗口剤
歯磨きや洗口剤で口の中を清潔に保ちます。歯磨き粉は刺激の少ないものを使うか、水のみで磨いてもかまいません。ビタミンA,B,C、亜鉛などの欠乏が傷の治りを遅くするので、野菜、肉、魚、レバーなどをバランスよく食べ、睡眠やストレス解消にも気を付けてみてください。

口内炎に効く食べ物


納豆ご飯
ビタミンB2が効果的と言われていて、ビタミンB2には以下のような効果があります。
■ 皮膚や粘膜の健康維持
■ 糖質、脂質の代謝を促進
■ 脳や肝臓の働きをサポート

<ビタミンB2を含む食材>
■ 納豆
■ 牛乳、乳製品
■ わかめ
■ ほうれん草
■ 卵
■ レバー
■ サバ

またビタミンB2は単独で摂取しても効果が薄いようです。ビタミンB1、ビタミンB6とともに摂取することでビタミンB2の働きをよくすることができます。

<ビタミンB1を含む食材>
豚肉 、ごま、アジ、大豆

<ビタミンB6を含む食材>
キャベツ 、じゃがいも 、メロン 、バナナ、鶏のささみ

はちみつ


はちみつ
口内炎に対する民間療法として「はちみつを塗る」という方法があります。

はちみつには殺菌力があると言われており、その殺菌力が口の中の雑菌が増殖するのを抑え、口の中を清潔に保てるのではないか、という考え方がこの民間療法の出どころではないかと思われます。

しかし、市販のはちみつにどの程度の殺菌力があるかは製品や、口の中の状態によって差があると思われます。

また医学的に効果が証明されているわけではありませんが、はちみつは栄養も豊富ですので治療目的ではなく、栄養補給の目的も兼ねて摂取することは良いでしょう。