働き盛りで体力もある20~30代の男性にとって、「腫瘍」はどこか自分とは関係のない遠い世界の話のように感じられると思います。

しかし、若い男性特有の腫瘍があるということをご存知でしょうか?今回は若い男性に多くみられる精巣腫瘍について医師に解説していただきました。

そもそも精巣腫瘍とはどのような病気ですか?

「精巣腫瘍」とは男性の精巣(陰嚢内にある精子の製造を行っている臓器)に生じる腫瘍の総称であり、一般的には悪性腫瘍であることが多く、「精巣癌」とほぼ同義語の病気です。

精巣腫瘍はどのような症状がみられますか?

精巣腫瘍の症状としては、痛みを伴わずに陰嚢内容物の精巣が大きく腫脹することが特徴です。

痛みを伴わないために患者さんは緊急性をあまり感じず、場所としても恥ずかしさのため、病院など医療機関への受診が遅れてしまうことが多くあります。

進行の特徴としては同じく男性特有の前立腺に生じる前立腺がんなどと比べると、進行が早く、早い段階から肺やリンパ節への転移を引き起こしてしまいます。

精巣腫瘍を引き起こす原因はなんですか?

食べ物やタバコなどといった特定される原因となるものはありませんが、環境因子としては、たとえば小さい頃に停留精巣という病気を持っていたり、家族に精巣腫瘍の方が見える時には、精巣腫瘍が発生する可能性が高くなるとされています。

精巣腫瘍の発症年齢の特徴を教えてください

好発年齢は0~10歳、20~40歳と2度のピークを迎えますが、一般的には若い男性に発生することが多いようで、その点でも非常に重要な腫瘍といえます。

自分で気が付ける精巣腫瘍の前兆はありますか?

前述したように精巣が腫れてくることが重要なので、腫れてきたときにはなるべく早くに病院を受診しましょう。

我々医師としましても、発見された時には、他の腫瘍と比べても基本的に診断から手術までの間をあけず、1週間以内に手術予定を組むことが多いほど、早期発見早期治療が大切な病気です。

精巣腫瘍を検査で調べることはできますか?

精巣腫瘍を調べるための検査としては、超音波検査で精巣内に異常所見がないかを調べることが第一です。

超音波検査は、ベッドサイドで行える非常に簡便な検査です。ゼリーを皮膚表面に塗って超音波機械の先端を当てることによって、皮膚より深部の状態を探ることのできる検査であり、体に対して痛みや苦痛がないことが特徴です。ほかに、採血で腫瘍マーカーを測定する方法もあります。

すぐに検査が完了できるため、もしも気になる症状があった場合には、できるだけ早くに医療機関の内泌尿器科へ受診しましょう。

医師からのアドバイス

精巣腫瘍は発生する場所から受診しにくい病気ではありますが、疑われた場合の検査には痛みを伴いません。

そして、放っておいた際の進行が速いことから、転移してしまう前に手術摘出するという大切な根治のタイミングを逃さないように、痛みのない精巣の腫脹を感じた際には早目に泌尿器科へ受診するように心がけてください。

(監修:Doctors Me 医師)