意外と知られていない事実として、甲状腺に関する病を抱えている人は多いです。

特に、福島第一原発事故以降は、小児の甲状腺がんのリスクが高まると見られていることも踏まえ、症状や治療法などを詳しくご紹介していきます。

要チェック項目


□甲状腺がんの増加と放射線との因果関係
□甲状腺の代表的な病はバセドウ病
□甲状腺の4つの治療方法

放射線と甲状腺がんの因果関係はあるのか?


2011年の東日本大震災では、多くの被害が発生しました。その中で、長期に渡る復興の妨げになっているのが原発事故です。

事故により放射性物質が外部に流出し、今でも原発周辺に立ち入ることが禁止されています。周辺では高い線量が記録されているわけですが、その中で懸念されるのが小児の甲状腺がんの発生です。

事実、チェルノブイリ原発事故の際には、原発事故の発生から2~3年で急激な甲状腺がん患者の増加が見られました。

そのデータもあり、福島第一原発事故においても甲状腺がん発生のリスクが高まるのでは?という懸念が広がりました。

甲状腺の病気にとして知られる「バセドウ病」とはどのようなものがあるの?


甲状腺に関する病気は、何も甲状腺がんのみではありません。様々な病気が存在しています。代表的な状腺の病としてはバセドウ病です。

バセドウ病とは、甲状腺ホルモンが過剰に生成されることにより発生する病気です。1840年にこの病気を見つけ出したドイツの医師カール・フォン・バセドウから取られたものになります。

根本的に治療することが難しい病気として知られており、心臓病や甲状腺クリーゼを併発するため、命に関わる病気として注意すべきなのです。

実は、このバセドウ病を患っている患者の方は有名人にも多いです。バセドウ病を公表した方として、歌手の絢香さんがいらっしゃいます。

人気絶頂の2009年にバセドウ病であることを公表し、活動を2年ほど休止します。今でも完治はしていないようですが、歌手として一線で活躍されています。

甲状腺セルフチェックをご紹介


甲状腺の病気が発症しているかどうかを簡易的にチェックする方法があります。

甲状腺は首にある部位ですので、首周辺にを触ることでチェックすることができます。甲状腺に異常をきたすと、首から喉仏の周辺が異常に腫れあがる症状が出ます。

その腫れた部分をを手で触ると、明らかに腫れている感触を得ることができますし、外観でも異常であることが把握できます。この変化が見えたら、すぐに専門医で検診を受けることをお勧めします。

甲状腺の治療方法は?

甲状腺の病気が発覚した場合の治療は、大きく分けて以下に分類されます。

薬物治療



主に甲状腺ホルモン薬や抗甲状腺薬を飲んで治療することになります。甲状腺ホルモン薬は甲状腺ホルモンが減少する病気に於いて効果を示します。

この薬自体が治療のために使われるというイメージではなく、他の治療の補助的な役割となっています。一方の抗甲状腺薬は、甲状腺ホルモンの合成を抑える効果がある薬です。

アイソトープ治療



放射性ヨウ素内用療法とも呼ばれており、甲状腺の細胞がヨウ素を取り込むことに着目し、放射性ヨウ素を摂取してそれを甲状腺に直接取り込んで治療する方法です。

主にバセドウ病や悪性腫瘍の治療で使われる手法です。

放射線治療



甲状腺腫瘍が出来た場合に、病巣部に放射線を照射して治療を行う方法です。長期にわたる治療が必要となり、病巣周辺の喉などに副作用を発生させるので、決して楽な治療法ではありませんが、体力的に弱い方でも治療が行い易いというメリットもあります。

外科治療



短時間で効果を発揮する治療方法であり、バセドウ病や悪性・良性腫瘍のどのケースでも使用する手法です。

病状に応じて甲状腺の部分摘出、もしくは全摘出を行います。首に手術跡が残るため、躊躇する患者さんも多い手法でもあります。

甲状腺病には早期治療と予防が重要!


甲状腺は早期発見と早期治療が重要になります。また、発生させないための予防も重要となりますので、普段の生活から十分心がけていただきたいものですね。

(監修:Doctors Me 医師)