「潔癖症」であったり、「物が捨てられない」であったりと、1つのことに異様なまでに神経を払う症状を「強迫性障害」と呼びます。

精神疾患の1つですが、意外とこのような気質を持った方は多いのではないでしょうか。

そこで今回は「さまざまな強迫性障害とその対処方法」を医師に教えていただきました。

「強迫性障害」とは


強迫性障害とは、精神疾患の一つで、不合理だと自分でわかっていても、自分の意志に反して何かを繰り返し行ったり思考したりしてしまうものをいいます。

強迫性障害は、大きく分けてその不合理な行為を何度も繰り返ししてしまう「強迫行為」と、不合理な思考を何度も繰り返してしまう「強迫観念」の二つから成り、どちらかがない場合、強迫性障害と診断はされません。

「縁起強迫」とは

症状


自分が宗教的に間違ったことをしたり、縁起の悪いことをして病気や不運を招いてしまうのではないかという恐怖を抱く症状。ジンクスにこだわったり、儀式的な行為を行わないと病気になるといったものも含まれる。

解決方法


あくまで参考とはなりますが、強迫性障害に対する行動療法は一般に、曝露反応妨害法と呼ばれる、その恐怖や嫌悪感の対象となる行為に曝露させたうえで、それをリセットするための儀式的な行為を禁じるという方法が用いられます。

その考え方でいくと、縁起強迫の場合、ばちが当たる、縁起が悪い、不吉だと思われることをわざとにして、強迫行為をしないことが治療的といえるでしょう。

また、抗うつ薬を中心とした薬物療法やストレスの軽減なども強迫性障害に効果があると考えられています。

「不潔強迫」とは

症状


いわゆる潔癖症と呼ばれる症状で、清潔を保つために何度も手を洗ったり、日に何度も繰り返し入浴して 身体などを洗い続けるなどの症状が患者さんによって違った形で見られます。

解決方法


前項同様、行動療法としてなら、本人が汚い、不潔だと思う行為を行って、手洗いや頻回な入浴などをしないでおくことが治療的といえるでしょう。

最初は不安が強いでしょうが、徐々に不潔に対する不安に慣れていくことを期待するものです。

「確認・加害強迫」とは

症状


確認強迫は、家の火の元、カギや、水道の蛇口を閉めたかなどが気になって何度も繰り返し家に戻って確認してしまうものです。

加害強迫は、自分が知らないうちに人に危害を加えて、自分が気づいていないのではないかと恐れるもので、例えば、車を運転していて誰かをひき殺しているのに気づいていないのではないかと考え、走って来た道を戻って確認する、といった行為がある場合があります。

対策


こちらも、わざと確認に一度も戻らないで一日過ごしてみる、といったやり方が治療上有益な場合がありますね。 確認しない不安になれる、という意味ではほかの項目と同様です。

「保存強迫」とは

症状


大事なものを捨ててしまったらどうしようという恐怖感から、ものを捨てられずため込んでしまうものをいいます。

対策


ほとんどのものは全く不要なものですので、自分一人では難しい場合は家族など他人の協力を得たりして、思い切って整理し捨てる不安に慣れていくことが治療的と言えます。

「不完全恐怖」とは

症状


本人にとってものが完璧な順番や秩序を保って並べられていないと不安が強くなるものを指します。 郵便物などの宛先が間違っていないか、何回も確認してしまうものも含まれる。

対策


例えば机のものをわざと本人の秩序と違う風に並べてそのままにし、不安に耐えるトレーニングなどをおこなうこともあります。

医師からのアドバイス


強迫性障害は、精神疾患の中でも比較的治療の難しい病気とも言われています。

ストレスが症状の悪化に影響を与えるケースが多いので、ストレスマネージメントを同時に行っていくことも大切なことですね。

(監修:Doctors Me 医師)