ネフローゼ症候群という言葉を聞いたことがありますか?症候群という名前から分かるように、ネフローゼ症候群は病名ではありません。

では、ネフローゼ症候群とは一体どのようなもので、どんな症状があり、またどのような原因が考えられるのでしょうか。

要チェック項目


□ネフローゼ症候群には原因がわかっているものと原因不明のものがある
□特徴的な症状は尿にたんぱくが出ることである
□治療は対症療法と原因治療を並行して行う

ネフローゼ症候群ってなんですか?

ネフローゼ症候群は、冒頭でも述べたように病名ではありません。尿に必要以上にたんぱく質が出てしまうことで、血中のタンパク濃度が低下することによって、さまざまな症状が現れることを言います。

診断


ネフローゼ症候群の診断基準は、尿中のタンパク量が1日当たり3.5gを超え、血液中のタンパク(主にアルブミン)の量が3.0g/dl以下になった場合をネフローゼ症候群と呼んでいます。

ちなみに通常の血中アルブミン量は4.0g/dl以上であるということです。

検査


ネフローゼ症候群の検査は、通常は血液検査と尿検査が行われることとなります。場合によっては、腎臓の画像検査、および腎臓の生検が行われることもあります。

一次性ネフローゼ症候群

一次性ネフローゼ症候群とは、明らかな原因がないにもかかわらずネフローゼ症候群がみられる場合のことを言います。国内には16000人ほどの患者さんがいるとされています。

原因


ネフローゼ症候群のタイプによっては、原因が分かっているものもあります。
膜性腎症に関しては、腎臓の糸球体という部分の細胞にある「膜型ホスホリパーゼA2受容体」対して、異常な抗体ができることが原因とされているのですが、日本人では半数程度にしか該当しないということです。

その他のタイプの一次性ネフローゼ症候群に関しては原因がよく分かっていないそうです。

どのような人がなりやすい?


一次性ネフローゼ症候群は、どの年齢層でも見られるのですが、壮年期までは微小変化型のネフローゼ症候群が多く、中年以降は膜性腎症タイプのネフローゼ症候群が多いということです。

症状


一次性ネフローゼ症候群の症状は、血中たんぱく濃度が低下することによってむくみが生じるという、典型的なネフローゼ症候群の症状が現れます。

二次性ネフローゼ症候群

二次性ネフローゼ症候群は、原因となる疾患によってネフローゼ症候群の症状が起こっているタイプのネフローゼ症候群です。

腎臓以外の部位で起こった病変に続いて起こることから、続発性ネフローゼ症候群と言われることもあります。

原因疾患


二次性ネフローゼ症候群を引き起こす代表的な疾患としては、糖尿尿や全身性エリテマトーデスが最もポピュラーです。

また、糸球体腎炎によって起こることもあれば、薬剤(特に非ステロイド性抗炎症薬)が原因となったり、虫刺されや遺伝、アレルギーなどが原因となることもあるそうです。

症状


初期症状としては、ネフローゼ症候群の典型的な症状であるむくみや低タンパク血症が見られます。

そのほかにもなんとなく体がだるいとか、食欲がないなどといった症状も現れます。ひどくなると腹水や胸水、さらには肺浮腫まで進行することもあるそうです。

ネフローゼ症候群の治療はどのように行われますか?


むくみの改善


ネフローゼ症候群によってむくみが見られる場合には、利尿剤を用いて、尿の排出を促します。また、それとあわせて塩分の摂取を控えるように指導されます。

腹水が見られるような場合、胃の容積が小さくなるため、食事を何回かに分けて少量ずつ食べるように指導されます。

高血圧の治療


高血圧がある場合にも、利尿薬を用いて体液のうっ滞と組織のむくみを改善することが図られます。

ただ、利尿薬を服用する際のデメリットとして、血栓が出来やすくなることが挙げられています。そのため、抗凝固薬が合わせて用いられることとなります。

原因疾患の治療


原因疾患がある場合には、それらに応じた治療を行うことで、ネフローゼ症候群が治癒することもあるそうです。

アレルギーが原因であればアレルゲンを経つ、ガンが原因となっていればガンの治療を行う、禁止薬物によってネフローゼ症候群が出ているのなら(ヘロインが有名)、

禁止薬物を経つ、薬によって起こっているのであれば、該当する薬を飲まないようにするなど、根本からの治療が行われます。

一次性ネフローゼ症候群の治療


疾患によりますが、ステロイドや免疫抑制剤などが使われます。

ネフローゼ症候群を予防するにはどうしたらいい?


定期的な検査


ネフローゼ症候群がいったん治った場合でも、再発のリスクがあります。そのために定期的に通院して検査を受けることが重要となります。

また、感染症を予防したり、その治療を行うことも大事なので、インフルエンザや肺炎球菌のワクチン接種が奨められています。また、塩分控えめの食事にしましょう。

むくみが続く場合は要注意です!

夕方になって明日がむくむことはだれでもあると思いますが、あまりにも長く続く場合には、もしかしたらネフローゼ症候群の可能性もなくはありません。

むやみに心配することはありませんが、1年に1回は健診を受けて、自分の健康状態を把握しておきましょう。

(監修:Doctors Me 医師)