疥癬という言葉は誰でも聞いたことがあると思いますが、ではどのような原因で起こるのかということについては、知らない方も多いのではないでしょうか。
今回は意外な原因によるこの皮膚疾患について詳しく見ていきたいと思います。
□疥癬はヒゼンダニが寄生することによって起こる感染症である
□疥癬は人にうつることもあるので注意が必要である
□適切な治療を行うことで1ヶ月から2ヶ月で治る疾患である
疥癬はヒゼンダニが皮膚に寄生することによって起こる感染症の一種です。ヒゼンダニといっても旧国名の肥前の国のダニではなく、「皮癬ダニ」(Sarcoptes scabiei var hominis)のことをいいます。
ヒゼンダニは体長約が400μmしかないので、肉眼で判別することは不可能です。
ヒゼンダニは、交尾をした後のメスが皮膚の角質層(皮膚の一番外側にある層のことです)内にトンネル(疥癬トンネルといいます)を掘り進みながら、1日に2個から3個の卵を産卵します。
産卵はおよそ1ヶ月にわたって繰り返されます。卵は3日から4日の間にはふ化し、およそ2週間程度で成虫へと成長します。
疥癬は、患者さんと一定の時間接触することで、ダニが移動して感染してしまいます。
また、同じ寝具や衣類を使用することによっても感染するということです。角化型と言われる疥癬の場合は、剥がれ落ちた皮膚に存在するダニによって感染することもあるそうです。
通常疥癬は、いわゆる普通に見られるタイプの疥癬のことを言います。人への感染力は低く、また免疫力が低下しているから罹る類の感染症でもありません。
寄生するヒゼンダニの数は5匹以下が多いですが、多数の場合もあります。寄生する数自体は少ないもののかゆみが非常に強いということです。
通常疥癬よりも重症タイプの疥癬に、角化型疥癬といわれるものがあります。角化型疥癬はノルウェー疥癬とも言われています。
日本ではちょうど幕末維新前夜の1848年に、ノルウェーでハンセン病の医師であるダニエルセン博士(ハンセン先生の義父)らによって発見されたことからこの名がついています。
角化型疥癬は痂皮型疥癬ともいい、灰色から黄白色の厚いあかが増えたような状態(鱗屑=りんせつといいます)が現れるのが特徴です。
寄生するダニの数は100万匹から200万匹と非常に多く、免疫力が低下している時に感染しやすい傾向があるようです。
疥癬という言葉からなんとなく想像できる気がしますが、症状としてはまずかゆみが挙げられます。特に通常疥癬の場合はかゆみが非常に強く、夜寝ていられないほどのかゆみが現れるということです。
稀に見られるタイプの角化型疥癬の場合は、かゆみが出ないこともあり不定であるということです。
通常疥癬に感染した場合、紅斑性小丘疹といって皮膚に赤いぶつぶつしたできものが現れるのが特徴です。特に現れやすいのが、胸やお腹、太ももの内側、肘の内側、わきの下など、お肌の柔らかい部分です。
通常疥癬の特徴としては、ヒゼンダニが掘り進んだ5mm程度の線状の皮疹が見てとれることが挙げられます。
一般的に疥癬トンネルなどと言いますが、皮膚からわずかに盛り上がって細く曲がりくねった皮疹が、手のひらや指の間、指の側面や小指側の手首などに見られるようになります。
通常疥癬の場合にはさらに、小豆大の赤褐色の小結節が、外陰部や脇の下、肘の外側などに出現することもあります。
こういった皮疹は、通常は顔や頭を除いた全身に見られるということですが、乳幼児の場合は顔や頭にもこういった皮疹が見られるということです。
角化型疥癬の場合は、灰色から黄白色の汚らしい鱗屑が、ひじやひざと言った摩擦を受けやすい場所に現れるという特徴があります。
この角化型の皮疹は、通常疥癬とはことなり、頭や首にも現れるということです。
患者さんに接触する前後にはしっかりと手洗いをし、また長時間の接触を避けるようにしましょう。同室で寝たり同じタオルを使うのも避けましょう。
角化型疥癬は感染力が強いため、患者さんに触れる時には手袋や予防着を使用し、やはり手洗いをしっかりと行いましょう。また、床に落ちた皮膚を掃除するようにすることも大事です。
疥癬は免疫力と関係なくうつってしまうので、患者さんと接触する時には十分に注意しましょう。
(監修:Doctors Me 医師)
今回は意外な原因によるこの皮膚疾患について詳しく見ていきたいと思います。
要チェック項目
□疥癬はヒゼンダニが寄生することによって起こる感染症である
□疥癬は人にうつることもあるので注意が必要である
□適切な治療を行うことで1ヶ月から2ヶ月で治る疾患である
疥癬とはどのような疾患のことをいうのですか?
ヒゼンダニによる感染症
疥癬はヒゼンダニが皮膚に寄生することによって起こる感染症の一種です。ヒゼンダニといっても旧国名の肥前の国のダニではなく、「皮癬ダニ」(Sarcoptes scabiei var hominis)のことをいいます。
ヒゼンダニは体長約が400μmしかないので、肉眼で判別することは不可能です。
寄生
ヒゼンダニは、交尾をした後のメスが皮膚の角質層(皮膚の一番外側にある層のことです)内にトンネル(疥癬トンネルといいます)を掘り進みながら、1日に2個から3個の卵を産卵します。
産卵はおよそ1ヶ月にわたって繰り返されます。卵は3日から4日の間にはふ化し、およそ2週間程度で成虫へと成長します。
人にうつることがあります
疥癬は、患者さんと一定の時間接触することで、ダニが移動して感染してしまいます。
また、同じ寝具や衣類を使用することによっても感染するということです。角化型と言われる疥癬の場合は、剥がれ落ちた皮膚に存在するダニによって感染することもあるそうです。
疥癬にはどのような種類があるのでしょうか?
通常疥癬
通常疥癬は、いわゆる普通に見られるタイプの疥癬のことを言います。人への感染力は低く、また免疫力が低下しているから罹る類の感染症でもありません。
寄生するヒゼンダニの数は5匹以下が多いですが、多数の場合もあります。寄生する数自体は少ないもののかゆみが非常に強いということです。
角化型疥癬
通常疥癬よりも重症タイプの疥癬に、角化型疥癬といわれるものがあります。角化型疥癬はノルウェー疥癬とも言われています。
日本ではちょうど幕末維新前夜の1848年に、ノルウェーでハンセン病の医師であるダニエルセン博士(ハンセン先生の義父)らによって発見されたことからこの名がついています。
角化型疥癬は痂皮型疥癬ともいい、灰色から黄白色の厚いあかが増えたような状態(鱗屑=りんせつといいます)が現れるのが特徴です。
寄生するダニの数は100万匹から200万匹と非常に多く、免疫力が低下している時に感染しやすい傾向があるようです。
疥癬の症状にはどのようなものがありますか?
かゆみ
疥癬という言葉からなんとなく想像できる気がしますが、症状としてはまずかゆみが挙げられます。特に通常疥癬の場合はかゆみが非常に強く、夜寝ていられないほどのかゆみが現れるということです。
稀に見られるタイプの角化型疥癬の場合は、かゆみが出ないこともあり不定であるということです。
紅斑性小丘疹
通常疥癬に感染した場合、紅斑性小丘疹といって皮膚に赤いぶつぶつしたできものが現れるのが特徴です。特に現れやすいのが、胸やお腹、太ももの内側、肘の内側、わきの下など、お肌の柔らかい部分です。
疥癬トンネル
通常疥癬の特徴としては、ヒゼンダニが掘り進んだ5mm程度の線状の皮疹が見てとれることが挙げられます。
一般的に疥癬トンネルなどと言いますが、皮膚からわずかに盛り上がって細く曲がりくねった皮疹が、手のひらや指の間、指の側面や小指側の手首などに見られるようになります。
結節
通常疥癬の場合にはさらに、小豆大の赤褐色の小結節が、外陰部や脇の下、肘の外側などに出現することもあります。
こういった皮疹は、通常は顔や頭を除いた全身に見られるということですが、乳幼児の場合は顔や頭にもこういった皮疹が見られるということです。
鱗屑
角化型疥癬の場合は、灰色から黄白色の汚らしい鱗屑が、ひじやひざと言った摩擦を受けやすい場所に現れるという特徴があります。
この角化型の皮疹は、通常疥癬とはことなり、頭や首にも現れるということです。
疥癬の治療はどのようにしておこなわれますか?
疥癬の治療には、イベルメクチンという内服薬を空腹時に服用したり、フェノトリンローションやイオウ剤、クロタミトンクリームや安息香酸ベンジルといった塗り薬を使用したりします。疥癬を予防するために気をつけることはありますか?
通常疥癬の場合
患者さんに接触する前後にはしっかりと手洗いをし、また長時間の接触を避けるようにしましょう。同室で寝たり同じタオルを使うのも避けましょう。
角化型疥癬の場合
角化型疥癬は感染力が強いため、患者さんに触れる時には手袋や予防着を使用し、やはり手洗いをしっかりと行いましょう。また、床に落ちた皮膚を掃除するようにすることも大事です。
家族や親しい人の間で感染しないよう気をつけましょう
しっかりと治療すれば、通常疥癬は1カ月以内、角化型疥癬は2カ月程度ほどで治ってしまいます。疥癬は免疫力と関係なくうつってしまうので、患者さんと接触する時には十分に注意しましょう。
(監修:Doctors Me 医師)