唇に突如現れる、痛くて半透明のぶつぶつの口唇ヘルペス。一度なったことがある方は繰り返しみられるのも特徴です。

口唇ヘルペスとはどういったもので、どのような時にみられるのでしょうか? 口唇ヘルペスについて詳しくみていきましょう。

要チェック項目


□口唇ヘルペスはヘルペスウイルスが原因で起こる
□口唇ヘルペスは抵抗力が低下している時に再発しやすい
□日頃から疲れやストレスを溜めないようにして規則正しい生活を心掛け、口唇ヘルペスの再発を予防する

口唇ヘルペスの正体とは

口唇ヘルペスとは、唇にできる水ぶくれです。小さな水ぶくれのぶつぶつが何個か密集して唇の一部に現れます。半透明のぶつぶつが密集した様子が華のように見えることから、「熱の華」とも呼ばれます。

口唇ヘルペスの正体はヘルペスウイルスです。ヘルペスウイルスは、子供の時に感染して、もともと持っている人も多く、大人の人では半数以上の人に潜伏していると言われています。

感染したヘルペスウイルスは三叉神経節に住みつきます。三叉神経は痛覚や触覚、温冷覚などの感覚を伝える神経で、顔全体に分布しています。

初めて感染した時に症状が現れることもあれば、無症状で過ごし、体調が悪くなったことをきっかけに症状が現れる場合もあります。大人になってから初めて感染した方が子供の頃の感染よりも症状が重くなると言われています。

ヘルペスウイルスは8種類あり、ウイルスの種類によって症状や見られる場所が異なります。

口唇ヘルペスのヘルペスウイルスは単純ヘルペスウイルス1型(HHV-1)で、水疱瘡や帯状疱疹を起こすヘルペスウイルスは水痘・帯状疱疹ウイルス(HHV-3)です。

口唇ヘルペスが繰り返し見られる原因とは

口唇ヘルペスが繰り返しみられるのは、感染したヘルペスウイルスが一生、顔の三叉神経節に住みつくからです。

普段はヘルペスウイルスは大人しくしており、症状は現れませんが、体調が悪くなったことをきっかけにして大人しく潜伏していたヘルペスウイルスが増殖して暴れ始めます。

増殖したヘルペスウイルスは、三叉神経節から三叉神経を通って唇の方へ移動します。唇にヘルペスウイルスがたどり着くとピリピリ、チクチクしたような神経の痛みが現れます。

そのうち、唇が赤く腫れだし、唇上でもヘルぺスウイルスが増殖して、唇に水ぶくれのぶつぶつがいくつかみられるようになります。

この水ぶくれの袋の中にたくさんのヘルペスウイルスが入っており、水ぶくれが破れて中のヘルペスウイルスが他の人の口や鼻から体の中に入ることで感染します。

自分のヘルペスウイルスが唇の他の部分について感染し、なかなか治らないこともあります。次第にヘルペスウイルスの増殖は治まり、水ぶくれは乾燥してかさぶたとなって治ります。

口唇ヘルペスはどういった時にみられるの?

主に症状が出るシーン


・疲れている時や強いストレスを感じている時
・過労、風邪をひいた時
・紫外線を浴びた時
・月経前

上記のように体が疲労し、ウイルスに対する抵抗力が低下している時にみられます。

ヘルペスウイルスに接触してから3~7日間の潜伏期間を経て発症すると言われており、初回感染時は5ミリ以下の大きさの水ぶくれがたくさん生じ、顎や耳の下のリンパ節の腫れや発熱なども見られます。

もともとヘルペスウイルスを持っている人でも抵抗力が落ちている時にはヘルペスウイルスが増殖して症状が現れますが、初回感染時に比べると症状は軽く、唇などの一部分のみの症状がみられます。

その時の体調によっても症状の重症度は変わります。口唇ヘルペスができていると、「疲れているのね」と言われるのは抵抗力が落ちている時にみられるためです。

口唇ヘルペスの治療法

ヘルペスウイルスの増殖を抑える、抗ヘルペスウイルス薬の塗り薬を口唇ヘルペスがみられる箇所に、1日数回塗ります。

薬を塗るのはできるだけ早い時期の方が症状を抑えやすく、ピリピリ、チクチクするといった前駆症状時に塗るのが望ましいとされています。早期治療が予後を改善します。

症状が重い時は、内服薬の抗ヘルペスウイルスを用いることもあります。内服薬でも症状が改善しない場合は入院治療にて点滴やその他の薬で治療することもあります。

早期の治療が予後に影響するので、外用薬でも良くならない場合や再発を繰り返している人は、口唇ヘルペスの症状がみられたらなるべく早く受診するようにしましょう。

口唇ヘルペスがみられたときの注意点

日常生活で注意が必要なこと


・食器類やタオルの共用は避ける
・キスでもうつるので顔を近づけたり唇が触れることは避ける
・口唇ヘルペスができている部分は触らないようにし、もし触った場合は必ず石鹸で手を洗う

特に注意が必要な人


・免疫のない新生児
・白血病や癌などで療養中の人
・アトビー性皮膚炎の人など

抵抗力がないためうつると重症化するので接触は控えましょう。特に目に感染すると失明することもありますので注意が必要です。

口唇ヘルペスを早く治すには

口唇ヘルペスは抵抗力が低下している時にみられやすいので、日頃から規則正しい生活と栄養バランスの良い食事を心掛けるようにしましょう。

ストレスや疲れは溜めないようにし、体調の優れない時は無理をせずにゆっくりと体を休ませましょう。口唇ヘルペスの徴候がみられたら、早めの治療を心掛け患部を刺激しないようにしましょう。

(監修:Doctors Me 医師)