人間ドッグや健康診断、また緊急時の血液検査項目のひとつとして必ず含まれるCRPですが、どんなものを測定しているか知っていますか。

実は身体の中の炎症や、組織の様子を反映している数値のようです。

CRPが何を示しているのか、どんな疾患に関係しているのかをまとめてみました。

何を測定しているの?

血液検査項目のCRPは「C反応性たんぱく質」(=C-リアクティブ-プロテイン)の数値を示しています。

C反応性たんぱくは、体内で細胞や組織が壊れたり、炎症性の反応が起きているときに増加します。

検査項目としては、一定量の血液中にどの程度含まれているのかを測定した数値が示されます。CRPは炎症が起こったときに急増し、2~3日後には減少します。そのため、炎症の早期診断に役立ちます。

何の指標になるの?

CRPの測定は、元々は肺炎球菌によって生じるC反応たんぱく質を測定する目的で行われていました。肺炎球菌の感染では様々な内臓器官に炎症反応が起きます。

その際に、細胞が壊されて生じるサイトカインという物質が肝臓を刺激することで、C反応たんぱく質が生成されるということが判明したためです。

しかしその後、C反応性たんぱく質の生成はサイトカインの刺激だけではなく、さまざまな炎症性反応によっても生じることがわかりました。

現在では、細菌感染、ウイルス性感染、微生物による感染症でも、数値が上昇することが解明され、一般的な風邪症状や、外傷でも上昇する場合もあるそうです。

そのため現在は、肺炎球菌のみではなく、さまざまな「炎症反応」を示唆する数値とされています。

CRPの基準値とは?

現在の値についてみていきます。

一般的な基準値の範囲


~0.3mg/dlです。 検査結果としては「陰性(-)」と示されることもあります。


軽い炎症とされる範囲


0.04~1mg/dlでは軽度炎症とされます。ウイルス感染などの初期段階でも軽度の上昇がみられます。


中程度の炎症とされる範囲


1.0~10mg/dlは中等度炎症とされます。なんらかの原因で炎症が悪化している状況です。


高度炎症とされる範囲


10mg/dl以上は高度炎症とされます。炎症がかなり進んでいます。

数値は基本的には、ほとんど0(ゼロ)に近いものです。軽度の炎症であっても、放っておけば命に係わる疾患も隠れています。

また、高ければ高くなるほど、細胞や組織の破壊が進んでいることを表しており、命の危険にもさらされていることを示しています。

CRPが高くならない疾患もあるの?

原則的には上昇しない場合もあります。以下に主な疾患を挙げておきます。

上気道ウイルス感染症 ・気管支喘息 ・狭心症 ・動脈硬化 ・本態性高血圧症 ・炎症がない胆石 ・胃炎 ・胃潰瘍 ・ネフローゼ ・貧血 他

これらの疾患では原則的にはCRPの異常はみられませんが、中には重症化する疾患もあるため安心はできません。

数値だけではわからないことも

CRPの数値と診断


数値が高い場合は「なぜ高くなっているのか」の原因を更に突き止め、必要な治療を行っていくことになります。しかし、異常値を示していることはわかっても、それからさまざまな疾患が検討されます。

また、数値が上昇しない疾患もあります。数値だけでの診断は難しいため、実際に現れている症状や、他の検査数値を組み合わせたり、更に詳しい検査を行うなどして複合的に判断をしていきます。


治療はどのように行うのか


治療の方法は原因によって多様になるため一概には言えませんが、基本的にはCRPは0(ゼロ)に近くなることが望ましい数値ですので、細菌やウイルスを減少させるための治療や、臓器の機能回復のために投薬や放射線治療、外科的な治療などがとられていきます。

最後に

CRPは極身近な疾患から、重度な疾患まで様々な疾患に関係している数値のようです。

数値が小さくても、重大な疾患が隠れていることもあります。

この機会に自身や家族の検査結果を見直してみてはいかがでしょうか。

(監修:Doctors Me 医師)