睡眠負債とは


睡眠負債とは、米国の睡眠に関する専門家によって提唱された考え方であり、本来その方に必要な睡眠時間を日々しっかりとれていない場合、その不足分が積み重なっていったものを睡眠負債と呼んでいます。

例えば、仕事の忙しい平日に、本来取るべき睡眠が月曜日から金曜日まで1時間ずつ不足したようなケースでは、その週の睡眠負債は5時間という計算になります。

この考え方においては、この5時間は睡眠における「借金」に該当するものであり、例えば週末に多めに寝てこの借金を「返済」しておくなど、こまめに負債を返しておくことが健康の維持のために大切であると考えられています。

睡眠負債が体に与える悪影響


「睡眠負債」が増加してしまうと、健康状態に影響を与えたり、仕事や勉強、家事などのパフォーマンスにも影響してしまうことが知られています。

徹夜した日の後などは、物事をうまく行えなかったり、非常に効率が下がって、ゆっくりになってしまったり、思いがけないミスを連発したりすることは経験があると思います。

お酒に非常に酔いやすくなったり、大事な場面で居眠りをしてしまうといったこともありますね。

週末の寝だめの効果


睡眠負債がかさんでしまいがちな生活をしている場合に、皆さんがまず思いつくのは時間のある時に寝だめしておく、ということかと思います。

実際、睡眠負債がすでにあるケースでは普段より2時間程度まで睡眠時間を多めにとって、軽減を図ることは可能と考えられています。

日中に15~20分くらいの軽い昼寝をするのも疲れが取れることがあります。ただ、これ以上になってしまうと翌日からの睡眠リズムや、夜間の睡眠に影響を与えたりする可能性があり、お勧めできません。

また、予想される未来の寝不足に対して寝だめをあらかじめしておくことは、効果が乏しいと考えられています。

週末の寝だめのリスク


週末、あるいはお仕事などがお休みの日に寝だめをしておくことは、たまった睡眠負債の軽減として短時間でなら効果的なことがあります。

しかし、それ以上になってしまうと生活リズムを乱して余計に疲れを増大させてしまったり、次の日から元のリズムに戻すことが難しくなってしまったりするリスクが考えられます。

理想的な睡眠について


睡眠時間


理想的な睡眠時間は1日7~8時間、などといわれることがありますが、実際には必ずしもそうではなく、その人ひとりひとりの体質や年齢、運動量や心身の疲労度合いなど様々なファクターによって変わってくると考えられています。

平均をとると30代で7時間くらい、50代以降になるとさらに短くなるといわれていますね。ただ、一部の研究では7時間睡眠のグループが最も長寿であったという報告などもあるようですね。

時間帯


睡眠中の脳のホルモン分泌との関連により、午後10時から午前2時までは少なくとも入眠していた方が健康に良い影響を与えやすいといわれています。この時間を含む睡眠時間を設定するとよいですね。

睡眠環境


きちんと部屋を暗くし、静かな環境で、温度や湿度なども適切に保って入眠することは大切です。寝床でスマホなどを見る習慣は、不眠の原因となりますのでやめましょう。

最後に医師から一言


睡眠は誰にとっても非常に大切なもの。慣れているから、若いからと決しておろそかにしないようにしましょう。

(監修:Doctors Me 医師)