便秘薬1:飲み薬
便秘改善を目的に飲む薬は、以下の3種類に分類できます。
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緩下剤
便を柔らかくし量を増やします。
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刺激性下剤
腸の動きを活発にします。
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検査時に使う下剤
大腸内視鏡検査や胃レントゲンの際に使用する特殊な下剤です。
膨張性下剤(緩下剤)
■ 成分名
カルボキシメチルセルロースナトリウムなど
■ 効果
食物繊維と似た薬で、水分を含んでどろどろした粘り気のある液体になり、便と混ざって柔らかくし、量を増やして大腸の壁を刺激することで排便を促します。
■ 副作用
すぐには効果が出ず、飲み続けないと効果が実感できません。
また、一緒にコップ一杯以上の水を飲む必要があります。
■ 薬の特徴
安全な薬で、日常的に便秘がある時にまず試すべき薬とされていますが、実際にはほとんど処方されることはありません。
■ 有効な便秘の症状
程度が軽く、長期に続いている便秘の場合。
塩類下剤(緩下剤)
■ 成分名
酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム
■ 効果
水分を引き付け、便の水分量を増やして柔らかくし、量を増やして大腸の壁を刺激することで排便を促します。
■ 副作用
薬は腎臓を通して排泄されますが、腎臓の機能が非常に悪い場合は薬を排泄できず、心臓の動きが乱れることがあります。
腎臓・心臓に非常に重い病気がある場合は使えません。
■ 薬の特徴
飲み続けても依存性の心配がないとされています。
■ 有効な便秘の症状
長く続いている便秘の場合。
大腸刺激性下剤(刺激性下剤)
■ 成分名
センナ、センノシド、ピコスルファート、ピサコジルなど
■ 効果
大腸の動きを促す薬です。飲んで数時間で効果を実感できます。
■ 副作用
習慣的に飲むと、薬なしでは出にくくなる場合があります。飲み過ぎると下痢になり、血液中のミネラルや水分が失われすぎてしまうことがあります。
■ 薬の特徴
錠剤だけでなく目薬のような水薬もあるので、飲み物に混ぜて飲むこともでき、滴数を変えれば薬の量を微妙に調節できます。
体の小さい子どもに与えやすかったり、状態に合わせて量を加減しやすいと言えます。
■ 有効な便秘の症状
腸の動きが落ちている場合。
小腸刺激性下剤(刺激性下剤)
■ 成分名
ヒマシ油、ルビプロストン
■ 効果
小腸の動きを促したり、小腸からの水分分泌を増やして便を柔らかくします。
■ 副作用
ヒマシ油は古くからある薬で、乳幼児から内服できますが、効き過ぎに注意が必要です。
ルビプロストンも下痢・吐き気・頭痛・めまいなどの副作用が報告されていますが、頻度は低いです。
■ 薬の特徴
以前からあったヒマシ油は効果が強すぎて使いにくい薬でした。
新しくルビプロストンが発売され、下痢になりにくく、今までの便秘薬が効きにくかった人にも効果が期待できるとして注目されています。
■ 有効な便秘の症状
一般的な下剤が効かない場合に使用されます。
検査時に使う下剤
■ 商品名
ニフレック、ビジクリア
■ 効果
大腸内視鏡検査の前に腸をからっぽにするために使います。
■ 副作用
大量に水を飲むことで腎臓に負担がかかる場合があり、高齢者や腎臓の機能が低下している場合は使用できません。
■ 薬の特徴
一緒に2〜4リットルの水を飲む必要があります。
便秘薬2:座薬
成分名
炭酸水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウム
効果
体内に入れると炭酸ガスを発生し、肛門と直腸を刺激し、排便を促します。
副作用
まれにですが、肛門に異物を入れることで血圧低下などショックを起こす人がいます。
有効な便秘の症状
即効性を期待したい場合。15〜30分程度で効果が期待できる。
直腸の近くまで便が下りてきているが、あと一息で出ない場合に有効。
便秘薬3:浣腸薬
成分名
グリセリン
効果
直腸を刺激し、便と混ざって柔らかくし滑りを良くします。
副作用
効きすぎて腹痛が起こることがあります。
薬の特徴
子どもで少量だけ使用したい場合、液体なので量の調節がしやすいです。
有効な便秘の症状
即効性を期待したい場合。
便秘薬の飲み合わせ
塩類下剤の成分でもある、酸化マグネシウムなどの塩化金属は、時間を空ければ服用しても大丈夫な薬と、そうではない薬があります。
時間を空ければOK
・抗生物質
・骨粗鬆症の薬
・強心剤
酸化マグネシウムなどの塩化金属は、同時に飲んだ場合の上記の薬の効き目を弱めてしまう特徴があります。
ですが、2~3時間ほど時間を空けて飲むようにすれば問題はありません。
医師に相談が必要
・ビタミンD3を含む薬
・カルシウムのお薬
一緒に飲むことにより、高マグネシウム血症を引き起こしてしまう可能性があります。
時間を空けても解決出来ないため、服用されいる方は事前に医師に相談した方が良いでしょう。
意外なところでは牛乳が、カルシウムを含むため、大量に飲むと問題が出る可能性があります。
便秘薬を使用する際に注意をすること
腸に炎症がある場合
腸に炎症が起こって破れかけている部分があるような場合、便秘薬を使用して便を増やしたり腸を刺激して動かしたりすると、腸が破れて内容物がお腹の中のスペースに出てしまうことがあります。
強い腹痛や吐き気、発熱がある場合は、市販の下剤を使用せずに消化器内科を受診しましょう。
下剤が効かなくなった場合
下剤の中には使用し続けるとだんだん効かなくなってくるものもあります。
自己判断で錠数を増やしたり、服用頻度を増やしたりしないようにしてください。
便秘薬が効かないと判断する基準は?
排便習慣は個人差が大きく、1週間出ないのが普通という人もいれば、毎日出ないと気持ち悪いという人もいます。
本人にとって快適な排便習慣が実現できていなければ、便秘は解消していないと考え、内科で相談してみてください。
最後に医師から一言
便秘は赤ちゃんから高齢者まで誰もがなりうる状態です。ご自身の薬の作用を理解することで便秘改善に役立ててください。(監修:Doctors Me 医師)